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#1964 Married women want to work〔既婚女性は働きたいと思っている〕 June 7, 2012 [74.高校・大学生のためのJT記事]

 標題は6月4日付のジャパンタイムズ社説の見出しである。この記事も問題提起に富んでいるのでニムオロ塾の時事英語テクストとして使う。読んでそして自分の頭で考える、(長文対策)時事英語授業は知的で楽しいもの。

(小さな私塾だからこういう授業が可能だ。自分ひとりでやれる範囲はどれぐらいか?小さな塾の道東No.1の特別レッスン。
 少ない人数の方が個別指導を徹底できる。それでも昨年は断りきれずに生徒を増やし過ぎたと反省。生徒が「先生、友達なんだけど連れてきていいですか?」とこういうことに弱いのである。
 人口減少が加速する町ではこどもの数は総人口の減少の4倍の速度で減少している。この10年間でおよそ40%も根室市内の中学生数は減少しており、次の10年間で三分の一まで減少することになるのだろう。
 ニムオロ塾ではじわじわ生徒数が増えて昨年度は許容限度オーバー気味、1クラス10名に抑えているのだが、補習したい生徒が同時に5名以上来ることがある。なんどか私の席も生徒に明け渡して授業することになった。(笑い)
 個別指導だとレギュラー授業の合間に補習に来た生徒たちの質問をさばける。もちろんレギュラークラスが優先だ。
 町が小さくなってもレベルの高い学力の子どもたちが一定数いて、しっかりした私塾が残っていれば根室の未来に希望がもてる。)

 日本全体が1万年の歴史をもつ縄文時代以来はじめて人口縮小時代を迎えているのだから、にっこり笑って人口減少を歓迎しよう。日本人の叡智を生かすべき時代が到来している。根室には全国平均値よりもはるかに先鋭的な形で人口減少が出現している。
 日本という社会はパラダイムシフトの時代を迎えているのだが、そういう大きな流れの中で、女性の働き方がどう変わっていけばいいのか、意識がどう変わりつつあるのか、そうした文脈でこの社説を読んでみたい。

 前置きが長すぎた。2012年度版の『こども・子育て白書』の基礎データとなる調査資料が公表されており社説はその中から数字をいくつかあげて問題を析出して見せてくれる。
 子どものいる女性の86%が働きたいと思っており、働きたくないのはわずか11.6%にすぎない(fact①)。専業主婦希望はかくも少ない。働きたいと思っている女性は多いのだ。子育ては案外お金のかかるもの、子供を産んでみてはじめてわかる生活のきびしさもあるだろう。19歳以下の子供を持つ20歳から49歳の45.3%がパートタイムの仕事を希望し、25.8%が正規社員で働きたいと思っている(fact②)。思っていることと実情には大きなギャップがあることを社説は次のように数字を挙げて敷衍してみせる。
 2010年の総務省人口統計局調査によれば、15歳から70歳までの労働力参加率は、男71.6%、女48.5%となっている(fact③)。働きたい女性がたくさんいるのに働く場がないというのが実情。
 さらに畳み掛けるように数字を挙げる。お母さんの23.8%が出産後できればすぐに働きたい、22.1%がこどもが幼稚園か保育所へ入ってから仕事をしたい、20%が小学校へ入学してから働きたいと語っている(fact④)。
 少子化と高齢化による労働力の不足という人口動態的かつ経済的な危機を打破するためには、女性が労働市場に参入しやっすいような働き方を政府や企業が提供する必要があるとなだらかに結論へと導いていく。

 社説は別の数字を例示して日米・日欧比較をしてみせる。本来40代で強力な戦力となったはずの高学歴女性へとピントを絞り込むのである。
 大卒女性の「自発的」離職率は日本人が74%なのに対して、米国は31%、ドイツは34%で半分以下である(fact⑤)。
 この数字は日本の女性は結婚や出産で仕事をやめるケースが多いことを物語っているが、出産後や子育てにめどがついた後でもとの職場や職種に戻ることは難しい。出産後元のキャリアーと同様の仕事に就けるのはわずか43%であると書いてあるが、わたしはそんなに多いのかとおどろいた。そういう好条件の職場は一部の大企業と公務員のみだから比率が高すぎるように感じる。
 中小企業では珍しいし、零細企業ではもっと困難である。人材のやりくりがつかないから別の人を雇わざるを得ない。そうすると復職をOKしたら採用した人はピンチヒッターということになり、復職と同時に解雇せざるを得ない。そういう採用の仕方は小さな企業では情においてしのびないだろうし、中小企業や零細企業にそういう条件で働いてくれる有能な人材はなかなか見つからないのもあたりまえだ。fact⑤で重要なことは高学歴で企業にとって戦力となるべき人材を失っているということ。これらの人たちが子育てを終わって40代の仕事盛りに全力で仕事に没頭したらどれほど日本経済の活力アップに貢献できるだろう、そういうことが可能になるように雇用環境をつくりかえるべきだと社説は繰り返し語っている。
 まとめると、このような有様では国際競争力が低下するから、女性の希望に即した新しい雇用形態を政府も企業も生み出し、女性の労働力市場への参加を促すべきだというのがこの社説の論旨である。

【クロスオーバー】
 さて、ここから話しは6年前に出版された本に転ずる。三砂ちづるさんが『オニババ化する女たち』の中で、次のようなことを書いていたと記憶する。
 生物学的に旺盛なパワーのある若いうち(恋人同士や新婚カップルなら三度の飯よりセックスという精力の旺盛な時期(笑い))に子供を産むべきで、子供を産んだ後の子育て期間中は社会とのつながりが切れない程度に1日1時間から数時間パートタイムで働き、子育てが終わった40代で出産前の仕事にもどって全力で仕事をする、そういうライフスタイルが女の性にあっている。人生で一番仕事のできるのは40代で、そのときに全力で仕事のできる制度や雇用形態が用意されているのが望ましい。望ましい雇用形態についての提言はこの本の射程外であるからもちろん言及はない。それは現実の企業経営者や政府や経済学者の仕事である。

 たしかに、生物学的にみても18歳から20代前半がこどもを産むにはベストである。若い女性が体内に持っている卵(卵子)の遺伝子は一年ごとに大気汚染・食物汚染・放射能被曝などで傷ついていくから、"perfect baby"を産み育てるなら、生物的なパワーが一番強い10代後半から20代前半の時期に出産することが望ましい。
 福島1号原発事故で東日本中に放射能がばら撒かれてしまって除染が不可能な現在、老いも若きも年々放射能が体内に蓄積されていくから、子孫へ遺伝的な影響がさまざまあることを覚悟しなくてはならない。それゆえあまり遺伝子が傷ついていないうちに出産することは分子生物学的にも遺伝学的にも望ましいのだろうと思う。
 チェルノブイリのあるウクライナやその北側に位置している国ベラルーシュは全土が放射能汚染され、遺伝的な障害のある子供たちがたくさん生まれている。なかには目を背けたくなるような事例がいくつもある。ネット上に画像がぶらさがっているから検索してみたらいい。「放射能による奇形児」をキーに検索すると画像が出てくる。現実はむごすぎる。
(これは日本の二十年後の姿である。枝野・細野・野田・菅元総理・仙石・斑目などの「戦犯たち」の名前と顔をしっかりと記憶にとどめ、二度とこのようなことが起きぬように、彼らが何をしたのか後世に伝えたい。もちろん原子力行政に加担した、あるいはいまも加担する学者、知事、地方議会議員や国会議員の名前も忘れてはなるまい。)

 大局的にみると日本は人口縮小時代に突入した。国民所得の総和は人口減少にともない容赦なく減少していくから経済成長はありえない。日本経済は既に衰退期へ入っている。中高生を見ていると今後の労働力の質の低下が強く懸念される。学力や辛抱力や躾け力の平均値が著しく下がり始めている。これらは経済社会を支える重要なファクターである。
 労働力人口は今後激減していくから、それを緩和するためにも女性や老人の労働力参加率を上げることは重要な政策であるにちがいない。そのためには働きやすい選択肢(労働時間や雇用条件)を具体的に提示する必要がある。
 ワークシェアも含めてどのような現実的な雇用形態がありうるのか、大学生や高校生にも考えてもらいたい。そのためにこのジャパンタイムズ社説を紹介する。URLを書いておくので遠慮なく全文ダウンロードすべし。

 根室は涼しい、夏でもエアコンなど要らぬから、高校生は毎日数時間勉強してあたりまえ。前期中間テスト中だが、金曜日で終わった後、さらに勉強時間を増やして全国一涼しい夏休みに突入してほしい。
 この涼しい夏を勉強に利用すれば根室の子供たちの学力が全国最高水準になることは疑いがない。こどもたちはいずれ大人になるから、こどもたちの学力をなんとかすれば根室の未来は明るい。がんばれ、ねむろっ子!


http://www.japantimes.co.jp/text/ed20120604a1.html
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Monday, June 4, 2012


Married women want to work

Married women want to work, according to a government survey that will form the basis for a 2012 white paper on children, child rearing and mothers. The survey results, released early, show an astounding 86 percent of women want to continue working after having children, though most find it almost impossible to do so. Only 11.6 percent indicated they do not wish to seek employment.

Of women aged 20 to 49 with children under 19, the survey found that 45.3 percent said they wish to work part time and that 25.8 percent would like to become regular employees. Another 14.9 percent wanted to work part time at first and later as regular employees. The gap between wanting to work and being employed, though, is vast.

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【『オニババ化する女たち』について一言】
*三砂ちづるの『オニババ化する女たち』は賛否両論があるが、日本人が伝統的に受け継いできた身体知や性に関する奔放な慣習をベースにしつつ、女性の性やライフサイクルを考慮した働き方の提唱は漠然としているが、先見の明を認めたい。女性が大量に労働市場へ参入するためには、女性の性や出産・子育てというライフスサイクルにムリをかけない雇用環境、雇用条件、雇用制度の創出が必要なのである。少子高齢化社会は同時に縄文以来はじめての人口減少社会の到来でもあるから、経済社会制度が根底から変わらなければならないことはたしかなようだ。そういう観点から、もう一度三砂ちづるの本を読み返してみるのは無駄ではない。
 もう一点指摘をしておくと、性に関する身体知を伝承するための慣習が失われた現在、それを受け継ぐためにはあるていどさまざまな本を読んで学習しなければそれらを受け継ぐことができない。これは性に目覚めた高校生や大学生に読んでほしい本だ。看護師や助産師を志望する人にもあまねく読んでほしいと願っている。
 性に関する民俗学的な研究書もあわせて読むと興味は広がる。日本人は実におおらかで現代人よりもずっとしっかりした考え方や性に関する身体知伝承の仕組みを戦時中までもっていたことがわかるだろう。日本人が本来もっていた性風俗についてしっかりした知識を取り戻してほしい。日本経済の未来はそういう文化の基層部を再発掘した上に築かれるのだろう。
 わたしたち戦後生まれは1万2千年に渡って日本列島で受け継いできた性に関する伝統・慣習・文化と大きく断絶してしまっていることを知り、うすっぺらな欧米流の性文化を一度相対化してみるべきだ。
 自分たちの伝統・慣習・文化を知るためには読書力という基礎的学力が必要だ。本はたくさん読め、読めば読むほど語彙が増え読書力や豊かなコミニュケーション力が育つ。

オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書)

オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書)

  • 作者: 三砂 ちづる
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/09/18
  • メディア: 新書

*#1964-2 Married women want to work (2) June 9, 2012[授業風景] 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-9-1

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コメント 4

Hirosuke

性に関する倫理や道徳の観念は、
時代背景に影響される上に、
表立って教育されない故、
不完全に継承されて、
ますます歪んでいきます。

「古代の原始社会」が最も正しい筈です。

それ即ち、「母権社会」。

現代社会と正反対です。

by Hirosuke (2012-06-08 20:19) 

ebisu

Hirosukeさんへ

こんばんわ。
縄文以来1万2千年の歴史では圧倒的に母権社会が長かったのでしょうね。
いい女のところへは何人も男が通うから誰のタネかはわからなかったのでしょう。子供は産んだ女のもの。
母権社会はおおらかなセックスを前提にしています。

お祭りや盆踊り(乱交の場)にそうした性風俗が残っていたのですが、昭和30年ごろを境に消えてしまいました。

セックスに関する伝統的な身体知は色町に受け継がれて残っていたのでしょうね。
現在の性風俗産業にはそうした伝統的な身体知はうけつがれていません。

日本人は一からそうしたものを築きなおさないといけない。生命を受け継ぐというだいじなラインの上にあった知識や身体知をなくしたしまったようです。
だから、戦後の母親たちは娘にいいセックスして子供を産み育てるという性教育ができない。

学校で避妊教育を性教育として習うのみです。性教育はセックスをすることを学ぶのではなく避妊について学んだり、エイズなどの性感染症に罹らないようにセックスしないことを学ぶ場になっています。おかしな話です。

男の子も女の子もセックスの仕方を年上の世代から実地教育で学ぶ機会がなくなっています。

男の子なら叔母さんや後家さんが手ほどきをして教えてくれたというおおらかな風習もなくなってしまいました。
祭りや盆踊りもそうした性の実地教育の場でした。・・・

性教育の場がなくなってしまっています。

あ~、草食系男子が増えて日本人は自然消滅するかもしれません。

【ここからは若者たちへのメッセージ】
若者たちよ、『源氏物語』『枕草子』『和泉式部日記』などの古典を読め。そして生殖に励め!

男が活発に生殖活動に励むことができるのは15歳から40代半ばまでだ。それ以降はがんがん能力が落ちていく。性行動が活発なのは男はたかだか30年だ。女は死ぬまで(?)。
年頃になったらいいセックスをして出産をすることは女の身体にとってもいい。身体がそういう風にできている。

男と女が身も心もひとつになれば生命が誕生するのはあたりまえの話で、生命を受け継ぐ行為がセックスだ。とても神聖でいいことだ。

若い人たちは日本人が受け継いできた性風俗について何冊か本を読んでみたらいい。目からうろこが落ちる思いをするだろう。とってもおおらかだよ。(笑い)
by ebisu (2012-06-08 23:22) 

Hirosuke

こんな経済モデルは成り立つでしょうか。

===============================
子供を儲けた夫婦または個人は、
生活保護の対象とする。
(これ以外は、認めない。)

ただし、
大学卒業レベルの学業を修める事を条件とし、
達成できない場合は2倍額返還の義務を負う。

また、
修めた分野において特に秀でた成績を残した者は、
その社会貢献を期待して返還を免除する。
===============================

by Hirosuke (2012-06-11 16:27) 

ebisu

うーん、憲法25条違反となりそうですね。
子どものいない人を生活保護の対象から外すことはできないでしょう。

65歳を過ぎたらHirosukeさんの条件に当てはまる老人は優先的に生活保護世帯とするくらいは法律を作れば可能でしょうね。

学費については大学入学後夏休みに全国一斉試験を課して一定成績以上(上位15%)の学生には返済免除の奨学金(月額12万円+学費)を支給する。
奨学金を受け取るものはアルバイトを禁止し勉強に専念してもらう。違反した場合は奨学金の受給資格を剥奪し、返還義務を負わせる。

これに洩れた学生でもAの数が90%以上の学生は学費相当額を卒業時に支給する。

勝手に国の制度を創る作業は楽しいですね。(笑い)
by ebisu (2012-06-11 23:29) 

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