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#1902 経済縮小の時代 : ソニーとシャープ赤字拡大  Apr. 11, 2012 [91.経済]

【ソニーの凋落】
 ソニーは2000億円の赤字がアナウンスしていたが5200億円に拡大した。繰り延べ税金資産に対して評価性引当金を積むからというバカバカしい理由だ。子どもじゃあるまいし・・・これが日本を代表する企業ではお粗末過ぎる。

 繰り延べ税金資産自体があやしげなものだ。過去の損金を黒字がでたときに利益と通算会計処理できるというもので、黒字が出なければ幻に終わるというあやしく、資産性が疑われる代物。繰越欠損金を翌期以降の利益と通算できるのは7年間だけだから、7年損失が出続ければ順にアウトになるのであり、そんなことはどんなに経理部門がバカでも決算前に予測がつく。いくらなんでも経理部門が見落としたわけがないから、2月の決算短信公表時に社長がストップかけたのだろう。何とかなると思ったのだろうか?取締役は全員入れ替えた方がいい。売るものがないからソニーは事業規模を半分以下に縮小せざるを得なくなる。従業員持株会はたいへんだ。

 経理担当役員が会社の商品や戦略、経営のことをあまりよくわかっておらず、後付で決算のみやっているような会社だとこういうことが起きることはある。年次決算で業績が大きくぶれるのである。だから経理部門こそ会社の経営内容がよくわかり、社長に対して物をいえる優れた人材が必要だ。
 にわかに繰り延べ税金資産の期限切れが来るわけがないから、大チョンボである。2000億円の赤字見込みというアナリストへのアナウンスは虚偽事実の公表に該当する疑いアリだろう。上場企業の経理部門にいたこともあるので、これほど杜撰な経理は信じられない。

*ソニー、最終赤字が5200億円に拡大 税金関連で引当金計上(ITメディアニュース)
 
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1204/10/news074.html

【シャープ:貧弱な能力の経理部門の疑いあり】
 さて、シャープだが、こちらも2900億円の赤字をアナウンスしておいて、急に4000億円に拡大した。こちらはさっぱり理由がわからぬ。推定できるのは月次決算精度が悪いということだ。年次決算で決算調整項目が多すぎるのではないだろうか?通常は月次にばらして処理するから、年次決算で数字が大きく変わることはない。
 経理部門担当役員や部長の頭が固くて、会社の経営全体を捉えていないということはよくある話だ。この企業はそういう匂いがする。

*過去最悪 最終4000億円弱の赤字=シャープ、テレビ低迷で―堺工場の株譲渡へ(時事ドットコム)
 
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2012041000109 

【企業経営における経理部門の役割】
 軍事&産業用エレクトロニクスの輸入商社にいたときに最初の1年間は経理部門、次に経営管理部門、その次は統合システム開発('84)だった。利益が上がり、財務体質を強化するために、マイクロ波計測器やミリ波、光などの技術セミナーに毎月数回出席していた。営業部門や技術部門の人間とは仕事が終わった後で毎日のように話しをする機会をつくった。そうしなければ具体的な経営改善策が創り出せぬ。臨床検査会社に転職したときも臨床検査と臨床検査を取り巻くコンピュータシステムの学習はした。常に先端の技術のインプットを怠らなかった。原書で読まざるを得ない専門書の数も少なくなかった。そうでなければ事業全体が理解できないし、具体的な事業戦利略も思い描くことができない。具体的な構想していれば、実行に移すチャンスは案外早く訪れるものだ。
 さて、経理部門にこうした人材がいない会社、経理部門が決算だけやっているような企業はいつか大コケに転ぶものだ。

 要請がありある医師会センターの経営支援をしたことがある。事前に決算書類を3期分調べたら民間検査センターに比べてコストが2倍かかっていた。お役所仕事はこういうものだ。
 わたしはできる限り現地に足を運び、ラボを見ることにしている。事前に数字を分析し、現場を見てその理由を確認する。診た後で1時間ほどヒアリングして経営改善の具体策をまとめる。わかってしまえば事前の分析から現地視察、経営改善の具体案を書き上げるのにほぼ2週間かかる。
 おどろいたことが一つあった。部門損益計算をしていないのである。これではどの部門で赤字が出ているかわからぬ。わたしはラボ内を一回りして、それぞれの責任者に質問を数個投げるだけで、どの部門が問題かはすぐにわかるが、検査現場や業務の仕組みを理解していない経理担当者だとそれがわからぬ、もちろん経営者にも。部門別損益計算は利益管理のツールであり、これがないということは企業経営の体をなしていないということ。仕組みづくりは簡単だが、能力の低い経理部門がやるとシステムに数倍コストがかかる。原価計算システムも要注意だ。製品別計算をやると、その資料を見て勘違いを起こす営業担当役員、経理担当役員がいる。採算の合わない製品から順に切っていき、会社が倒産することは昔はときおりあった。仕組みを理解していない者が資料を利用するとそういう間違った判断をすることになる。原価計算論に精通し、役員も説得できる人間が必要だ。ツールの精度が上がり、便利でよくなればなるほど使い方のリスクも大きくなる。切れる包丁を下手な料理人がいじると自分の手を切るようなもの。

【市立根室病院の会計システムと経営改善】
 話しは飛ぶが、市立根室病院は部門損益計算をしているだろうか?おそらくしていない。企業経営の体をなしていないことからそう判断できる。慌てて余計なことはしないほうがいい。コストが何倍もかかる。病院のオーダリングシステム、電子カルテシステム、消防デジタル無線、惨状をていしているといってよいのではないか。
 経営改善のために部門損益計算システムを導入するときはebisuに援助を申し出られよ。古里のためだからボランティアでやってあげる。根室にはこういう方面で理論と実務を知り尽くした人材がいない。謙虚に学ぶ気持ちをもってほしい。

【リストラと人材や生産の海外流出が始まった:経済規模縮小の時代】
 このほか日本電気やナショナルなど家電メーカはみな数千億円の赤字に陥り、大量に人員整理を行うことになる。韓国や中国の家電メーカがこうした人材を雇い入れることによって日本と同等の生産設備や生産管理方式を導入することになる。技術者を簡単にリストラするとしっぺ返しが起きる。リストラの仕方をよくよく考えないと、日本から物づくりのノウハウが人毎海外へ流出する。
 大きな流れになってしまったからもう止められないのだろう。人口減少に伴って日本経済が縮小するだけではない、国内企業が生産拠点を海外に移すことで雇用が失われたが、今度はリストラをすることで、優秀な人材とともに生産も資本も海外に流出することになる。ワークシェアリングをやって耐え忍び、規模を縮小しても生産を日本の残す工夫が必要だ。こうした観点から鎖国経済論=管理貿易を考えてみるべきだ。
 経済成長などありえない。日本経済は物づくりの基本のところから崩れ始めたのである。

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コメント 2

miopapa

つい先日、
これまで凍結されていた東海北陸自動車道の
我が自宅のある町以北の複線化の許可が
災害時への対応という元に、出たというニュースが・・・
それとは別に、最近田舎でも
本当に必要なの?と言うくらい新しい道が出来
旧道等がそのまま放置され、耕地が減り
荒れっぱなしの土地が増える一方なのを見ると
公共施設等の老朽化に対し、地方自治体が対処しきれず
とても大きな課題となっている・・・ことも含め
益々高齢化が進み、就労人口が減っていて
若者の自動車離れが云われる中で
公共事業の名の下に、本当に必要? 良いのだろうか?
この先、このツケ?が回ってくることにならないのだろうか
と、今回のソニーとシャープのニュースを見ながら ・ ・ ・


by miopapa (2012-04-12 16:48) 

ebisu

miopapaさんへ

長文のコメントありがとうございます。

ところでブログに載っていた写真、透明の円いガラスの中に色ガラス細工のセントバーナード犬の置物、とってもシンプルなつくりで美しいものですね。
*「ガラスの玉に心奪われ ・ ・ ・ [お気に入り玩具] 」
http://kids-dream.blog.so-net.ne.jp/2012-04-10

人口縮小、経済縮小の時代に入っているのに、相変わらず新しい道路を増やす。本当に必要かどうかしっかり考えてからにしてほしいですね。
全部、子どもたちや孫たちの世代の負担になります。

わたしたちは大人の責任を果たしから死にたいものです。
効果があろうとなかろうと、ダメなことはダメと叫ぶだけ叫び続けましょうね。


by ebisu (2012-04-13 00:00) 

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