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#1837 中学1年生 日本語語彙の現実  Feb. 10, 2012 [62. 授業風景]

  このところ、中学生の語彙の問題を採り上げることが多い。一昨日の中1の授業から・・・

 2月3日に実施された学力テストの報告を聞いてから数学の授業だ。このクラスは根室に戻って塾を開いて10年目だが一番問題の多いクラス。

 早く来た生徒が授業が始まるまで英語の教科書の予習をやっていいかと聞くので、認めた。早く来て教科書の予習をやっていいとはこの前伝えたが、珍しいことがあるものだとちょっと違和感を感じる。黒板に書いた英語の問題演習をいつも五分の一も書かない生徒である。
 授業が始まって理由がわかった。塾用の数学問題集も学校の数学のワーク(問題集)ももって来ていない。忘れたのなら、
「問題集もってくるの忘れました、申し訳ありません」
と素直に謝るべきなのだ。男は言訳をするな、間違ったらまっすぐに謝れと何度言い聞かせてもわからぬ。この生徒は問題集をもってこないことが多いのだが、塾へ来る前に点検してから来いといくら言っても屁理屈ばかりで、一向になおらぬ。
 三つの問題を抱えているようにみえる。

 ■悪い癖は直そうという素直な心
 ■お喋りをやめ授業に集中するためのセルフコントロール力
 ■生活習慣(躾け)

の三つである。友だちと目上の者に対する言葉の使い分けができないことも気になる。敬語を使った大人の表現ができない。彼の使える語彙には敬語がない。社会人になったときにきちんとできればいいが・・・普段やらぬことはにわかにはできないものだよ。
 しかたがないから、予備の問題集でやらせた。姿勢が悪いから何度も注意をする。姿勢の良し悪しは集中力とスタミナに関係している。姿勢の悪い生徒は特定の筋肉に負荷がかかるのでそれを調整するためにしょっしゅうぐらついてその都度集中が切れてしまう。他にも2人姿勢が悪くて注意を受ける生徒がいる。結局、注意90分かかってノート1ページの三分の一も書いていないから、ほとんど勉強していない。他の生徒からもなんどか"うるさい、静かにして"と注意を受ける始末。回りに迷惑をかけているという自覚はあるのだろうが、それが行動にならないのは自己抑制力が育っていないからだろう。こういう生徒は高校へ進学しても三人に一人も卒業できないだろう、だからクビにしたくない、いま直さなければダメになる。おそらくこの子にとっては最後のチャンスだ。
 授業中に周りの生徒とお喋りがはじまって、何度注意されてもすぐにまたはじめる生徒は当然のことだが成績が上がらない。3分おきに注意だ。このクラスは数人セルフコントロールのきかない生徒が半数を超えているが、塾を開設して10年間こういうクラスの経験がない。生徒たちに何が起きているのだろうと心配になる。
 この生徒たちの学校はこの3年ほどで学力テストの平均点が30点ほど下がり、以前は存在しなかったようなレベルの成績下位層がどんどん肥大化している。授業中に先生の声が聞こえないという生徒たちが増えた。4年前にはそういうクレームを生徒から聞いたことがなかった。生徒たちは授業に集中し、静かに聞いていたのである。成績が悪かろうはずがない。市街化地域の3校で学力テストの平均点が一番高かった。その中学校で成績下位層の"底抜け現象"とでも表現したくなるようなことがこの数年間続いている。B中学校である。

 一人の生徒が教科書の正多面体の問題がわからないと言うので該当箇所をみた。図をみれば一目瞭然なのだが、考えさせるために工作をさせた。正四面体を二つ逆さまに(?)してくっつけた六面体が正六面体ではない理由を言えという問題だった。
 「1辺5センチの正三角形を6個この紙に描いて、各辺に糊代をつける」
 作業をし始めたが、手を止めて
 「先生、「味付けしろ」ってどういうこと」
と聞くので、
「味付けではなく糊代と言っただろう?」
 前に座っている女生徒が
「何聞いてんの?先生、糊代ってさっき言ったでしょ」
 女の子たちは語彙が多いから、指示をきちんと聞き分けている。生徒が描いた正三角形の各辺に糊代を付け足してみせ、ここで折って糊で貼り付けるんだと説明する。

 口頭で指示したときに日本語語彙の貧弱な生徒の欠点がでてしまう。自分の知っている日常会話外の語彙だと理解できずに、頭の中で知っている語彙に変換してしまう。だから、意味がちんぷんかんぷんになる
 学力テスト国語の点数が10点台なら小学3年生の語彙力、20点台ならせいぜい4年生だ。40点以下は学力(五科目合計点)が伸びない。こういう生徒が成績下位層(30~40%)にはごろごろしている。
 頭の中では語彙変換がショッチュウ起きるから、授業の内容が理解できるわけがない。音読トレーニングでも読み間違いが頻発する。学力全般に影響し五科目合計点が上がらない。日常会話外の語彙が出てくると、彼らが使っている日常会話の語彙に勝手に変換してしまう

 生徒は正四面体を二つくっつけた六面体をつくる作業をしているがはさみの使い方をみたらとてもぶきっちょだ。ちょっと手伝ってあげたが、なかなか完成しない。見かねて女子生徒が三分の一の時間もかからずつくってしまった。
 さて、問題は正三角形6個で作られる6面体がなぜ正多面体でないかであるが、そこを理解させなければならない。

「天辺の頂点には辺が何本集まっている?数えてごらん」
「3本」
「側面、つまり横の頂点に集まっている辺の数は?」
「4本」
「じゃあ、正多面体の定義をみよう。教科書(東京書籍)144ページに正四面体の定義がある。
(1)どの面もすべて合同な正多角形である
(2)どの頂点にも面が同じだけ集まっている
2番目の方は説明が必要だね、問題集の説明だと頂点に同じ数の辺が集まっているというのがあるね、この多面体には3本集まっている頂点と4本集まっている頂点があるから、正多面体の定義から外れるんだ。わかったかい?」
「な~んだ、そういうことか」
「おいおい、な~んだじゃないぞ、しっかり覚えておけ、数学というやつは"定義"が大切なんだ」
数学で出てくる定義はぜ~んぶ暗記!口に出して早口で言ってみる、言えるようになったら書いてみる、書けたらOKだ、ここだけは英語の勉強と一緒だよ
 
 たまには工作させて確認しないと知識が身につかない。頭で理解してもすぐに忘れる生徒には有効な方法だ。"体験"というのは結構重要なのだ。

 やらせている間にもう一人がこんなことを言ってきた。
「先生、おれ立体の見取り図が描けないんだ」
「じゃあ、前に出てきてホワイトボードにやってごらん、わからないところから手伝うから」
・・・
 四角を描いたところで、上面の線が平行に引けずに戸惑っているので、見本を描いてみせる。
「ポイントはこの線とこの線を平行に引くこと、つまり平行四辺形を描けばいい」
 ポイントはこうだ。
 面を3つに分ける⇒上面の平行四辺形を描く⇒側面の平行四辺形を描く
 こうすれば誰にでもやれる。立方体の見取り図をを正方形と二つの平行四辺形に分割したわけだ。

(数学では「分割⇒総合」という操作が複雑な問題を考えるときに有効である。デカルトは『方法序説』で科学の方法を4つの規則の"その二"にある。彼は科学の方法を研究して四つの規則にまとめ上げ、その第二で「」必要なだけの小部分に分割する」ことと説明している。便利がいいので、私は折に触れてデカルトの科学の方法の使い方を生徒に教えている。デカルトは哲学者であっただけではなく優れた数学者でもあった。)

 ゆっくり線を引き始めたが、じつに遅い。別の女子生徒が横から口を挟む。
「もっと速く描かなきゃ」
 一理ある。高校生になると試験の問題量が多いから、こんなにのんびりやっていたら問題の半分も手がつけられぬから、スピードも重要な要素。
「出てきて、速く描くコツを教えてごらん」
 二人で作業をしている。何個か描いているうちに立方体は大丈夫になった。この生徒にとってはステージが一つあがったわけだ。
「先生テッシュの箱はどうやって描くの?」
というので、描いてみせたら、そうではないとテッシュの箱を持ってきて、この角度から見た見取り図だという。見本を描いたら真似ていた。今度はずっとスムーズだ。
 この生徒は30分ほどかかって直方体の見取り図も複数の角度からのものを描けるようになった。

 毎年、立方体の見取り図が描けない生徒がいる。いままでは女生徒だけだったが、今年初めて立方体の見取り図が描けない男子生徒が"出現"した。心配いらない、だれでも描けるようになるんだから。

 生徒9人のクラスだが個別指導だから実際の授業はこれら二つのことが同時進行し、他の質問が次々飛んでくる。やる気のない生徒はおしゃべりを始めるからちょっと長すぎるとストップをかけその都度「はい、おしゃべりはやめる、他人の勉強の邪魔はしない、自分の仕事に集中しろ」と注意が飛ぶ。
 手が完全に止まっている生徒がいる。
 机を回って歩いて、ノートを確認。
「30分経ってたったこれだけ?なにやってるの?」
 巡回確認の何度目かにやる気のなさに腹が立ってきた。
「たったノート三分の一しか問題やっていない、このままでは成績上がらないからどうしてもやる気がでないならいったん塾辞めていいよ、お金の無駄だから」
 家庭の経済的事情で通塾できない生徒たちが少なからずいる。どうして自分は幸せだと実感できないのだろう。親が塾へ通わせてくれることへ感謝の気持ちがあれば、もっともっとしっかり勉強しなくっちゃ申し訳がないという気持ちになれるだろう。
「この次やってこなかったら、もう見込みがないから塾を辞めるかしばらく休んでもらうことになる、困ったときは助けてやるが、自分でできることをやらない、塾長が指示したことをやらない生徒はどうしようもない、さっさと塾を替えた方がいい。」
「どうしようもなくなって戻りたいと言えばそのときは二つ返事で受け入れてあげるが、その代りこんどは問答無用で指示通りにやってもらうよ。」

 国語の点数が悪い生徒に音読テキストに使っている斉藤孝著『読書力』の漢字の書き取りを宿題にしているのだが誰ももってこない。やってこない理由は「ブカツが忙しい」、「やる暇がない」と言訳のオンパレード。一人も「申し訳ありません、次回は今回分も含めて必ずやって来ます」という者がいない。そのくせゲームやインターネットのモバゲー、ケイタイのメールには熱中して時間を費やしている。生活習慣が崩れているのだが直す意思すらない。一人だけ「家でやりました、もってくるのを忘れました」というので、次回もって来るように指示。
 言い訳はするな、まず「ごめんなさい」が先だといくら言ってもわからない。日本語が通じないのではないだろうかと心配になる。中学校で言訳をする癖がついたら社会人になっても同じことをやる
 毎日やること、毎週やることは習慣になる、習慣が数年続けばそれはもう悪癖とも言うべき性格となってしまう。性格を変えることなんてよっぽどのことがない限りできないぞ、だから、毎日やること、毎週やることをおろそかにするなと言うんだ。いまのままだと運よく就職できてもクビになる。
 ebisu先生は東京で業種をいくつか変えて26年間サラリーマンをした経験があるから心底から君たちの将来が心配だ。君らがそのまま社会人になって応募してきても雇うような甘い会社はひとつもなかった、都会は競争が激しいし、厳しい。そこには守ってくれる親もいない。

 国語の学力テストの点数が40点以下の生徒(各学校で30~40%を占める)のために言ったことを書いておく。
「小3あるいは小4の国語力だよ。さっきも「糊代をつけろ」というのを「味をつけろ」と聞き違いするようなことが起きるんだ」
 知らない言葉が出てきたら知っている言葉にかってに変換してしまう、このまま社会人になったら上司の指示が理解できない。口頭で指示されたことと違うことを度々やったら仕事はクビになるよ、だから国語力は大事なんだ相手の話しの意味がわからなければ外人も同然だね。英語もわからない日本語もわからない生徒を大量に作り出しているのが根室の小中学校の現実だ。英語は母国語である日本語以上にならないから学力の基礎は日本語能力。少し込み入った仕事を指示されてもきちんと理解できる基礎学力がなければ社会人として働くこともできないんだよ、わかったね。

(小学校や中学校のやるべきことは、卒業時にはその学年に要求される基礎学力を責任をもって身につけさせて送り出すこと。)

 毎回お説教でうんざり、生徒も楽しくないだろうし、わたしも楽しくない。1年生はイレギュラー扱いでもう1クラスあるがそちらのクラスの生徒は全員成績が上がっている。
 いままでの経験では辛抱していればがらっと変わるものが出てくるから、なかなかクビにはできない。このまま放り出したら、根室西高ですら授業についていけずに退学する生徒になりかねない。
 昔と違って高校全入時代のいま、中卒だと履歴書すら受け取ってくれない市内企業が大半だろう。勉強しなくても船に乗れば月収50万なんて話は昔のこと。
「ブカツにうつつを抜かして本業の勉強の手をいつまでも抜いているとたいへんなツケが将来回ってくるぞ」
 まあ、中学生にはわからんだろうが、高校2年生になれば進学や就職はもう目の前の現実問題だ。正社員の仕事なんか地元就職希望者の三人に一人以下しかない。高校であまり勉強に熱が入らず地元で就職がなくて専門学校に"進学"する生徒が多い。そこそこの大学を卒業しても正社員になれるものは3人に2人もいないだろう。お父さんやお母さんたちの世代とは就職事情がまったく違うんだから、勘違いするな。

【たった4つの守るべきこと】
 ①優先すべきはブカツではなく勉強
 ②優先すべきは日本語(と英語)の音読と宿題・予習
 (それらをやってから余った時間でゲームやモバゲー)
 ③みっともないから言い訳はしない
 (「ごめんなさい」が先、次回は必ず指示通りやり抜くこと)
 ④授業中は勉強に集中すること
 (姿勢はまっすぐ、おしゃべりをしない)

 これらのことを守って、塾でやっている日本語の音読トレーニング(テキストは斉藤孝『読書力』)とそこに出てく読めなかった漢字、書けない漢字を5回ずつ書いてくれば半年で国語の学力テストは70点を超えるだろう。そういう地道な努力がなかなかできないところが「生活習慣」に係わる問題なんだよ。自分に負けるな。

 次回は成績中位層の中学2年生の語彙力を採り上げるつもりだ。高校問題検討会の面々はぜひ読んでほしい。何が根室の中学校で起きているのかを知っておくことは高校統廃合を検討するうえで少なからぬ示唆を与えるはずである。


 #1843 真っ赤な顔で… :先週の中1英語授業から  Feb. 13, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-13

 #1839 中2成績中位層の日本語語彙 Feb. 12, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-12

 #1837 中学1年生 日本語語彙の現実  Feb. 10, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-09-1


 #1829 中1の語彙力の実例 : これでは先生たちの授業も理解できぬ  Feb. 5, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-05

*#1810 悩み Jan. 22, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-01-22

 #1823 激烈な競争から這い上がれ:団塊世代の友人からの手紙 Jan. 31, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-01-31



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通行人

日本語ではありませんが以前からとても気に成っているのが、マスコミ(言葉に煩いNHKも含めて)で使われている「メジャー」と言う呼び方です。これは英語ではmajorであり「メイジャー」と発音すべきで、「メジャー」ならば”計測”ですよね。何時から、何故このような読み方が蔓延してしまったのか。まあいわゆる”和製英語”ならぬ”和製読み”なんでしょうが・・・。

小生の使っているNHKの英会話テキストの巻末にPeterBarakan氏が書いています。日本人の英語は”文字面に引っ張られる”のだそうです。英語では語尾のeyは発音上は伸ばさないのがルール。だから「monkey」はマンキーではなくマンキ、moneyもマネーではなくマニに成る。
また語尾のsの発音について、例えば「NewYorkYankees」はニューヨークヤンキーズでありヤンキースではない。同じ論法で「News」はニューズ。
付け足しは「Soney]はソニーではない。ソウニである。ソニーと呼んでもらうためには「Sonny」と書くべきだが、こう書くとサニと読まれてしまう。だから「SonnyRollins」はサニ・ロリンズである。

御存知のように英語と米語は結構発音が違うが、米語では「what a」が「フワット ア」でなく「ワラ」のように”t”の発音が時に”r”に聞こえる事も多く、やはりこれは実戦で覚えていくしかないようですね。
中学生の頃TVで”本当の英会話?”を見たことがあります。遠くに居る外国人(EnglishSpeekingPeapleと思われる)を「Come here!」と呼ぶのですが、「カム ヒア」では振り返りません。そこで「カミヤ(神谷?)」と叫ぶと気が付いて振り返ります(笑)。
また冗談のような話も。日本人がNewYork(ヌーヨーク)の地下鉄の切符売り場で「West Kenshington」と幾ら言っても通じません。そこで自棄に成って「ウエスギケンシン(上杉謙信)」と言ったらちゃんと切符が出て来たとか(笑)。日本人の実践的でない英語力(勉強法?)を象徴した話ではありますね。
 



by 通行人 (2012-02-10 10:45) 

ebisu

通行人さんへ

NHK英会話を楽しんでいらっしゃるんですか。
メジャーはメイジャーとはなかなかかけませんね。日本人の間ではメイジャーという英語ではなくメジャーという日本語になっていますから。メイジャーと書いたら読んだ人は???でしょうね。
英語の日本語表記には迷うことが多いです。vのものはbと区別するために、たとえばvisionをヴィジョンと書くことがあります。これはビジョンのほうが圧倒的にシェアーが高い。

日本人の英語はJapanese Englishでいいのではないでしょうか?
国内では何の問題もない。なにしろ日常生活では英語は不要な国ですから。問題が生じるのは海外に出たときですが、それとて旅行ではなく住むことになったら、相手がこちらの発音を理解しようとしてくれるし、自分も通じるような発音を真似ようと努力もするでしょう。基礎ができていれば数ヶ月で何も不自由がなくなる。

仕事で海外の人にお会いする機会が多かった時期がありますが、発音は驚くほどバラエティがありました。一番印象的だったのはスコットランド人でした。ドイツ訛りのような英語でとっても親近感が沸きました。聞き取りやすいんです。

染色体画像解析装置のメーカであるIRS社の副社長(染色体の研究者で分厚い著書がある)が来たときは、ラボで講演をお願いしたのですが、歌うようなじつに美しい英語でした。この人は育ったクラスが違うとわかりました。

英語は出身クラスの違いがでますね。

ところで、メーカと書きましたが、以前はメーカーと書くのが普通ではなかったかと思います。私は語尾のerは長音記号"ー"を省いて書くようにしています。

tの発音はラリルレロに化けますね。高校生は何の問題もないのですが、中学生の授業のときはどちらでも構わないと思って教えています。

高校生になったら、発音トレーニングの本を1冊やることを進めています。塾には数冊その手の本をおいて生徒に貸し出しています。
単語がつながったときにどうなるかはまた別ですから、それようのモノも2種類用意があります。リエゾン、デリエーションなど、百や2百の実例を覚えればルールがわかって聞き取りが楽になります。

これからなら春休みにトレーニングすればマスターできるので、期間限定でこれらのDVDやCDを貸し出しています。
塾の授業でそんなことをやって時間を潰す必要はありませんから、自宅での学習と割り切っています。一月トレーニングすればずいぶんよくなります。
それにしても、この手の本やDVDがずいぶんよくなり、そして安くなりました。

私たち団塊世代の高校生の頃はソニーのオープンリールのカセットテープレコーダーが3万円ほどで出たばかりで、当時の根室の高卒の初任給の2か月分ほどもしていました。
高1のときに買ってもらい、NHKラジオ英会話を録音して、ガチャガチャ(巻き戻すときの音)やって聞いていました。
カセットテープが出てなんと便利な世の中になったと思ったのは大学生になってからでした。
by ebisu (2012-02-10 11:58) 

ebisu

面白いネタなのでもう一つ。

80年代の終わり頃ことでしたが、コンピュータ関係の講演会があっていったときのことです。講師は米国人の専門家。
専門用語がバンバン出てくるのですが、通訳はカタカナのままで、カタカナ用語の羅列、専門書を原書で読んでいない限り何を言いたいのかさっぱりわからぬ講演会になってしまいました。

コンピュータ関係は技術がどんどん進化していたので、専門家たちはそのままカタカナで使っていました。
漢字に翻訳する造語能力が落ちているのように感じます。
夏目漱石に代表されるように明治期の知識人は漢語の素養があったから、造語能力が高かった。外国語を基本漢字に翻訳できたのですが、平成の私たちに漢文の素養はない。漢字の造語能力が明治期の知識人たちにくらべるとずっと落ちています。
これから、漢字に翻訳されずにカタカナ表記の外国語がどんどん日本語語彙に追加されていくのでしょう。
日本語が変質しつつあるのでしょうね。
by ebisu (2012-02-10 12:08) 

通行人

すいません。ミスりました(これも変な日本語??)

>付け足しは「Soney]はソニーではない。

「Sony」の誤りでした(汗)。

序ですが、hとfの発音の違いが全く逆の意味に成る事があります。
You’re hired!  貴方を雇います。
You’re fired!  お前はクビだ!

かってアメリカで、ハロウイーンの最中に友人宅を訪問した日本人留学生が家人に射殺された事件が有りました。英文での詳細は分かりませんが、マスコミでの説明では、家人は遠くの留学生に「止まれ!」と言ったのにその高校生はどんどん近付いて来たので、自分達に害を為す人間だと咄嗟に勘違いして恐怖心から引き金を引いてしまった・・・家人の弁明だったと記憶しています。
家人が叫んだ英語は何だったんでしょうか。「Stop!」なら日本人でも間違えなかったでしょう。しかしもし「Cease!」なら、もしかすると「Please!」と聞こえたのかも知れません。「カミヤ!」と叫ばれて「カムヒア!」だと分かる耳を持っていれば、或いは悲劇が防げたのかも・・・。
日本人の英会話の最大の弱点はhearingに有ると思います。例えば英語物のドラマを見ている時、目は自然と日本語字幕を追い掛けていて、喋られた内容が同時進行で理解できます。しかしそれがアダとなって、画面の中の言葉を耳で聴いていません。言い換えれば字幕を見ることでhearingの必要性を感じないからです。実は自分の耳で理解していないのに目では分かっている・・・だから字幕を消すと途端に話が見えなく成る!さっきまで分かっていた筈なのに・・・。要するに会話に一番大事な相手の言葉(表現)を聞き取る耳が上の空なわけです。これでは何時まで経っても会話は上達しません。
言葉と言うものはアナログです。決してデジタルではありません。(ここでは、きっとこう言うだろうな)と言う推測が立てば、例え一文字間違えたとしても問題なく理解できます。ちょっと極端な例えですが、臨終の人間が何かぼそぼそ言い残している・・・顔を寄せて聴いている者には逝く者の言葉が分かります。その場合、「多分この人はこう言っているんだろうな」と言う推測が聞き取る上で助っ人に成っているからだと言われます。ではこのアナログはどうやって学ぶのか。それはもう数多くの場数を踏むしか無いでしょう。
小生は毎日walkingの際にwalkmanに録音した英会話を聴いています。同じ物を何回も聴いていると、そこの部分は大体覚えてしまいます。しかし実際に相手が居る英会話は全く違います。知らない単語よりも(日本人は単語はたくさん知っている)言い回しに苦労します。「Let’s get(go) back to thework」(仕事に戻りましょう)なら分かりやすいですが、「Let’s get it out of the way」(その仕事を終わらせましょう)となると、知らなければ何時までも当たりが付きません。

蛇足に成りますが、社交ダンスも同じですね。ダンス教室でワルツやジャイブ、ブルース、タンゴなどを習っても、それはあくまでも基本に過ぎません。実際にフロアで踊る人達には、教室で習った3拍子や4拍子のスクエアな動きなどまるでありません。皆流れるように楽しみながら踊っていきます。勿論その位に成ると、「次は左足をこう前に出して・・・」などと頭で考える事は有りません。体が勝手に動きます。
英会話も・・・かく有りたいものですね(笑)。

by 通行人 (2012-02-10 16:09) 

Hirosuke

その家人は "Freese!" と叫んだのです。

そして、その可哀想な日本の少年には、
その言葉が "Please!" に聞こえた。

これ以上の説明は不要ですよね。

ただ、この問題に関心があるにも関わらず、
肝心の英語表現そのものを御存じない上に、
調べもせずに英語論を翳すのは非常に残念です。

by Hirosuke (2012-02-10 16:28) 

通行人2

”Freese!”ではなく”Freeze!”ですね。

他人を諭す時には尚更、自身の誤字には気を使いましょう!
by 通行人2 (2012-02-10 17:40) 

Hirosuke

おや、気付きましたか?(笑)

by Hirosuke (2012-02-10 18:13) 

Hirosuke

「諭す」って「教諭」の「諭」ですよね。

そう考えると「諭す」って何なんでしょうね。

今の私は昔の私ではありません。

昔の私だったら、こんな入力ミスは見逃しません。

今の私は、
自身の自信を磁心か地震の如くに揺り動かされ、
時針と共に崩壊しつつあるからです。

by Hirosuke (2012-02-10 18:25) 

Hirosuke

”Freeze!”ではなく、【半角英数モード】で "Freeze!" としなければ、海外にいる彼らのPCでは文字化けして全く読めませんよ。

他人を諭していると思われる人を自分が諭す時には、
尚更一層、
表面的な誤字よりも核心的な部分に確信が持てるかに、
気を使いましょう!

【元・英文テクニカルライター】より

by Hirosuke (2012-02-10 18:36) 

ebisu

入力ミス、変換ミスは私はよくやります。
だからアップしてからショッチュウ直しています。
完全に潰したつもりでアップしても、翌日見直してみるとやはりミスは見つかります。
修辞上のミスはもっと多い。
なるべく少なくする努力はこれからもしたいと思います。

freeze を please と聞き違えたという話は、当時のマスコミ報道にあったような気がします。

fとpとを聞き違えただけで命がなくなる、そうなると場面によってはジャパニーズ・イングリッシュは危ない。
外人ならドイツ人でもフランス人でもイタリア人でも、fとpを間違って聞き取ることはないでしょうから。

発音トレーニングのDVDで一月もやれば、そういう間違いは日本人でもほとんどしないでしょうね。子音の発音は日本語と音の出し方がまるで違いますから、すぐに慣れます。

海外へ行く人はしっかりリスニング力をつけましょう。
ラジオ英会話も結構利用価値があるということですか。
by ebisu (2012-02-10 22:32) 

Hirosuke

反省:【フリーズ!】と書けば良かった。
理由:核心は【発音】だし、【s】でも【z】でも発音は同じだから。

小学校1年生の教科書でさえ、
何回も何回も何回も、
見直しと校正と修正を重ねるのです。

ブログのコメント欄での入力ミスは、
ある意味、必然。

だからこそ、
ブログのコメント欄で重要なのは、
【主張】の【内容】なのです。

by Hirosuke (2012-02-10 23:03) 

ZAPPER

学力急降下中。
おかげさまでこちらは、地域ぐるみで「操縦桿」を引きつつありますが、そちらは変わらず降下中ですね。しかし、地面は間近…。教育行政従事者は、全員揃って現場に(お得意の)「視察」に出向くべきでしょう。

体は大人になりつつある。しかし、知的レベルは小2・小3でストップしたまま。そうした子ども達が、一体如何ほどの割合を占めているのかを、ご自分の目でお確かめになればよろしい。

本人達も、「このままではマズイ…」と本心では思っている。しかし、もはや性格にまで染み付いてしまった悪しき生活習慣。その悪循環を、自らの手で断つことができない。「何が分からないのかが分からない」と、「何が悪いのかが分からない」とが、彼ら・彼女らの身に同時平行して起こっている。

教育行政の不作為による、負の連鎖の拡大再生産。

止められる。しかし止めようとしない。見て見ぬふりを決め込んで、ただひたすらに「配置換え」を心待ちにしているのか?その行為は、世間一般に「卑怯」と言うのではないか?
by ZAPPER (2012-02-11 16:30) 

Hirosuke

【伊集院 静】によると【大人の流儀】と呼ぶそうですよ、「卑怯」ではなくて。

         【裏切り】
オバマ大統領の就任演説で学ぶ
       【大人の流儀】
http://obama-de-english.blog.so-net.ne.jp/

by Hirosuke (2012-02-11 17:34) 

ZAPPER

Hirosukeさん
懲りない国ですね。
新設される原発は緑色なのでしょうか。
by ZAPPER (2012-02-11 21:59) 

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