SSブログ

#1806 仕事・権限・責任 : コスタコンコルディア号座礁事故  Jan. 18, 2012 [B2. トピックス]

 イタリア・ジリオ島近くで起きた座礁事故から4日たって事故後の船長の行動が明らかになってきた。乗客の安全も確認せずに暗い中をさっさと船を下りた。沿岸警備隊に叱責されても船に戻らない。何人船に残っているのか問われても船を下りた彼には答えられない。

「しかし死者が出ていると言われ「何人ですか」と尋ねた船長を、係官は「あなたが私に(人数を)報告すべきでしょう。家に帰りたいのですか」と一喝した。」(共同ニュース)

 船長には司法警察権をはじめとして大きな権限が与えられている。ウィキペディアから今回の事故に関連するものを拾い上げてみる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E9%95%B7
------------------------------------------------------------------- 

指揮命令権(船員法第7条)
 
船長は、
海員を指揮監督し、且つ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる。

在船義務(船員法第11条)
 船長は、やむを得ない場合を除いて、自己に代わって船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ、荷物の船積及び旅客の乗込の時から荷物の陸揚及び旅客の上陸の時まで、自己の指揮する船舶を去ってはならない。


船舶に危険がある場合における処置(船員法第12条)
 船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない。

-------------------------------------------------------------------

 仕事と権限と責任と報酬はセットである。その立場にあって報酬を受け取っていても、職責を果たさない者たちが増えているように感じる。船長は船と運命を共にするというのが団塊世代の共通の認識だろう。そういう話しを幼い頃に聴かされてきたし、その手の少年少女向けの本も何冊もあった。
 船長の下船は乗客よりもあとだ。そういう覚悟のない者が船長職を拝命してはならぬ。職務権限をもち報酬を手にしていながらいざというときに職責を果たさずいち早く逃げる。ズルイとか卑怯という言葉を日本人は嫌う。非常時にこそ人間の真価がでるものだ。

 職務に忠実でないのはスケッティーノ船長だけではない。福島第一原発事故での菅直人元総理や枝野官房長官がそうだった。SPEEDIの放射能拡散データを米軍にはただちに提供しておきながら、国民には知らせてはならぬと隠蔽した。米国は福島県にいる自国民に対しただちに福島第一原発から80キロ圏外への退避を命令した。あの時はなぜ80キロ圏外への退避だったかわからなかったが、SPEEDIのデータで放射能の拡散状況を具体的につかんでの判断だったのだと10ヶ月も経ってからようやく国民の知るところとなる。国民を被曝させても痛痒を感じない者たちが政権の主要ポストに何人もいたし、いまもいる。恥ずかしいという言葉を知らないのだろう。どういう育ち方をしたのかじつにお粗末だ。
 その後の野田首相もやらないはずだった消費税増税に血眼になっている。その一方で選挙のときに約束したマニフェストの項目はほとんど省みられぬ。
 やると約束したのは違うことだったはず。私利私欲が先に立ち、公益が後回しとなる。やるといったことがたいへんだとわかると、さっさとほうっかむりをして知らぬ顔の半兵衛を決め込む。いい反面教師だ。
 人間とは好い加減でどうにも始末に終えぬものだが、大きな職務権限を与えられたらきちんとやらなければならぬ。かれらはどこでどうまちがったのだろう?
 やはり、子ども達の教育は大事だ。情緒をきちんと育てておかぬととんでもない人間ができあがる。怖いものだ。もって他山の石としたい。

(わたしはこの座礁事故での船長の行動を「卑怯な振る舞い」の実例として授業中の雑談として塾生に話す。こういう場に臨んだら、自分の命はあきらめて渾身の力で職責を果たせと。人間はしょうがないものだが、未来を背負う彼ら彼女たちにこういう大人にだけは絶対になるなとしっかり伝えたい。)
 

にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村

nice!(1)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 8

ここ

コスタコンコルディア号の事故は本当に怒りとともに、人としての情けなさを感じます。

上記の問題に関係してくるかは分かりませんが、先日ある話を聞きました。
根室では大手と言われている、ある水産会社の話です。
20代半ばの社員が退職届を提出したそうです。社長は、一旦その話を保留にし、幹部職員に勤務態度などを聞いたようです。
その結果、勤務態度も悪く、これ以上居ても使い物にならない と言われ、退職したそうです。

若者は、従業員の方たちから非常にかわいがられ、彼が担当を外れるときは幹部社員に文句を言うほどだったそうです。衛生管理にもまめに気を使う彼を従業員は見ていたんでしょうね。時には従業員から幹部社員に対して怒りが爆発したこともあったと聞きます。

そこで、なのです。社長は何をしていたのかと・・・
ただ、事務所にいて幹部社員からの報告を聞いて終わりの存在なのかと・・・
確かに、経営面での苦労は社長に必ずついて回ります。
しかし、PDCAのサイクルは、筆頭にトップがしっかりと従業員教育も含めて「これからはこのようにする」といった、宣言の基に動き出します。

今回の事故もそうですが、舵取りが命取りにならないよう、根室で活躍している経営者の方々にせつに願いたいものです。
by ここ (2012-01-19 03:01) 

ebisu

ここさんへ

根室で超大手だった日本合同缶詰という会社がありました。社長がワンマンだったのと幹部職員の話しか聞かず、現場を知らず結局つぶれました。
社長が現場を見て歩いたら、いろんな実例を自分の目で見、自分の耳で聞くことになり経営改善の芽はいくらでも見つけられたのでしょうが、イエスマンばかりの幹部職員としか話しをしませんでした。

富良野工場(果物)が足を引っ張ったのが倒産の原因とネットで調べたら書いてありましたが、その十年以上も前に、根室(水産加工(蟹が主力))の工場がお手上げの状態でした。

大手と言っても100人(?)、200人はいないでしょう。
社長は現場を見て回るべきです。
現場の従業員と話しをすべきです。決算を公表し従業員に夢を語るべきです。
お山の大将になりイエスマンの幹部社員とばかり話しをしていたのでは会社は二十年をかけて徐々につぶれていきます。
有能な社員は物を言います。耳に痛いことを直言もします。
辞職願を出した社員とはしらふでじっくり意見を聴くべきです。そして時にはそういう平の社員たちを誘って酒ぐらい飲むべきです。

私は1990年の前半頃に東北のある会社へ役員出向するときに、九州の子会社を任されていた人が助言をしてくれました。「1年間じっと見ていれば分かる」、「それからだ」と。
経営を任されるのだから、人の評価を自分の目と耳で時間をかけてやれということでした。
その人は500人に近い社員一人一人の写真を組織図上に載せて社長室の壁に貼っていました。「顔と名前は全員一致するよ」
10年後に本社の専務として戻ってきました。

by ebisu (2012-01-19 13:13) 

もやしさんま

ほぼ関係ない話で恐縮ですが、二月にベトナムでサンマ祭りです。官民一体の修学旅行で終わらないと良いのですが。
いくら公費を使ったか、それでこれだけの成果がありました、という結果報告を楽しみにしています。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/344440.html
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/ec292423eb9a5d33492574a9001e8c8a/$FILE/sanma-mission2012.1.18.pdf


by もやしさんま (2012-01-19 16:09) 

ebisu

ベトナムさんま祭りの件は北海道新聞で読みました。
熱帯に属するベトナムで塩焼きと刺身ですか?
食文化に無理解ですね。

1200トンの予定がたったの92トンの実績、民間なら計画中止です。担当者は責任を問われて当然です。だれが企画したのでしょう。予算を承認した市議会も責任重大です。
実績が計画比10%に満たないのですから、もちろんベトナムへの「官民一体の修学旅行」も中止すべきです。まったくのムダ金ですから。

国政も市政も、無駄遣いの構造は同じ。
要らぬ仕事を勝手に企画して、予算付けし、使う。
市役所の企画部門の方々、すこしオツムが狂ってはいませんか?
by ebisu (2012-01-19 22:53) 

もやしさんま

まあ予定は幾分ふかしでもあるでしょうし原発事故の風評被害もあるでしょうから92tだか98tだかは仕方がないでしょうね。もっとも民間企業で1200トン仕入れて92トンしか売れないなら大問題ですが、ベトナムへ売ることになったのが92tになったと言うだけで売った業者に損害はないのなら経験値アップということでまあ良いのかな、と思う。
本田議員も行くみたいですねブログに書いてましたから。オブザーバーいれて21名。察するにオブザーバーの10名は実費負担ですね。
ベトナムの富裕層は日本食ブーム、ふーん、そうなんだ、としか言いようがないですね。でもまあebisuさんの言うように熱帯で、塩焼きはともかく、すしや刺身ってありかな?と私も思う。寿司屋が多い都会は1位がニューヨーク、2位がモスクワ、3位が東京というくらいで北が多いですから、もしかしたらつみれ汁なんかの方が良かったり。
まあ市役所の企画部の方々にしても、その仕事を評価するのは漠然とした市民ではなくて、具体的な市長や市の幹部ですから、オツムは完璧に正常だと思います。ある意味昔の市長もそうだったのでしょうから。あとはオブザーバーの報道関係者と良い関係があればよほどのことがない限り悪く書かれることはないでしょうから。
でも正直やっぱり?????ですね。
市役所そのものは利益を生むところではないので、必要なムダは認められるでしょう。それが市民から見て本当に必要なら。
ある人が言いました
「民間は金を稼ぐのが仕事、役所は金を使うのが仕事。」
頑張って稼いでください、上手に使ってください。
by もやしさんま (2012-01-20 20:34) 

愛路新

>人の評価を自分の目と耳で時間をかけてやれ

いい言葉ですね。
人を批判するときも時間をかけながら自分の目と耳で直接本人と相対時してやるべきでしょうね。
by 愛路新 (2012-01-20 21:40) 

ebisu

もやしさんまさんへ

サンマのつみれはベトナム料理に使えそうですね。案外いいアイデアかもしれません。ボイル処理して冷凍すれば料理の材料として使えそうです。
そんなことをするなら国内向けの商品開発のほうが先でしょうね。

あまり過大な計画をぶち上げずに、正直な計画数字を公表し、地道にやるべきなのでしょう。
by ebisu (2012-01-20 22:47) 

ebisu

愛路新さんへ

何が言いたいのかよくわかりません。
もうすこし具体的にお書きになったらいかがでしょう?

私が書いたのは経営の建て直しをやるために、出向した会社の人材評価を自分の目と耳で一年かけてやるという話です。
by ebisu (2012-01-20 22:52) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0