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#1756 教育再考 根室の未来 シリーズ第4部③:指導員(北海道新聞) Nov. 30, 2011 [64. 教育問題]

 11月29日の北海道新聞根室地域版に載った第4部3回目の記事を転載する。
 どうもドウシンらしさがない、美しすぎるのである。ドウシンは他の新聞に比べて健全な批判精神に富んだ新聞のはずだが、当たり障りのない取材が続いている。シリーズ第1部や第2部とはだいぶ趣が違うように見える。
 皆さんに根室の教育の現状を知ってもらうためによき材料としてebisuはドウシンさんの記事を利用したいと思う。北海道新聞根室支局の記者が代を継いでこの問題を4度もシリーズで採り上げてくれていることに読者の一人として感謝申し上げる。

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教育再考 根室の未来
  先生の先生
   若手の指導力アップに

 「4の段のプリントよかった。暗唱に集中できていたね」
 16日夕、北斗小の職員室。九九の授業を一緒に行った後の打ち合わせで、HA教諭(35)の指摘に2年1組担当のOT教諭(25)は「本当ですか」と表情を緩めた。
 5⇒2⇒3の段と来て4の段は九九の第一関門。ノートに書き写す時間を省くため、OT教諭は4の段にふりがなをふり、裏返すと答がわかるプリントを初めて用意した。児童31人が一緒に暗唱する姿は、45分授業の半分にも及んだ。
 原田教諭は「九九の歌を授業3分前に流しておくと、苦手な子がのってくる」とアドバイス。かつて自ら作ったワークシートを示し、国語を含め約1時間、2人で次の授業案を練った。

週1度のペース
 親身に相談に乗るHA教諭は花咲小に籍を置きながら、近隣各校の若手教師と組んで授業に入り、指導法を教える巡回指導教員。今年4月から、週に1度のペースで北斗小2人、成央小3人らを受け持つ「先生の先生」だ。
 教員3年目で初めて2年生の担任をするOT教諭は「一つの指導方法にこだわりがちだったけど、H先生は引き出しがいっぱい。目指す授業に近づける」と全幅の信頼を置く。成央小のSK校長(54)も「若手のやる気を引き出しながら、本校や北斗、花咲小の指導のよさを生かした実践を展開している」と評価する。
 H教諭が巡回指導教員になって8ヶ月。若手教師の授業づくりのノウハウを高め、各校の橋渡しや苦になっている手応えを自らも感じ始めている。
 その半面、「自分は本当に適任なのか」と思うこともある。1~6年の全学年の担任をした経験があるとはいえまだ教員歴は13年。担任として子どもたちと取り組みたい実践もたくさんあるからだ。

年齢構成いびつ
 30代で分けて教師を教える立場に立つ現実は、根室管内が抱える教員のいびつな年齢構成に起因している。
 管内の20代~40歳までの教員は本年度66%と3人に1人の割合。これは全道平均59%を大きく上回る。根室市ではこの年代が74%も占める。
 道教委は本年度から年齢構成の是正を目的に広域人事を導入。だが、根室市では十勝管内新得町の30代教諭が歯舞中に、北斗小の20代教諭が帯広市に移動しただけだ。
 さらに、根室管内を北部(標津、羅臼)、中部(中標津、別海)、南部(根室)に分けて、管内在職中に三つすべて経験する仕組みを始めたが、根室には他町から7人が、逆に他町から18人が、赴任。差し引き11人が流出し、新任や期限付きの教諭で補充する事態になり、格差是正では逆効果になっている。

経験補う態勢を
 若い教師が多いことは教育現場の活気につながる面はある。ただ、その経験不足をベテランが補う態勢がなくては学校運営はままならない。将来ある若手のやる気をすり減らさないためにも、バランスの良い教員構成の構築が急務になっている。

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【ebisuの辛口コメント】
 九九ができない生徒は小学校高学年に多い。もちろん全部が言えないのではなく特定の段がつかえるのである。時には前後がひっくり返ったりしてしまう。とくに4と7の段に今違えが生じやすい。だから、この指導員の先生は要点をついた当たり前の指導をしている。かなをふらせるのはいい方法だろう。だが、これだけでは必要な計算スピードは身につかない。
 九九は「逆九九」とセットでやらせるべきだが、小学校の半分以上の先生が生徒にやらせていない。これは教育大の指導にまずいところがあるからではないのか?当たり前だが、割り算の商を探すのに逆からたどった方が速いケースは半分ある。根室では分数や小数の計算も6年生でできない生徒が40%程度いる。計算の基本ができていないまま卒業させてしまう。職責の放棄だろう。そして目の前の生徒が基礎計算でつまづいているとわかっているのに、中学校では分数や小数の計算指導はしない。
 なぜこんなことが生じているのか、何か理由(現場の先生たちの言い分)があるはずで、その辺りも取材で明らかにしてもらいたかったがこの問題はこれくらいにしておこう。

 民間会社では上司が部下を指導するのは当たり前である。部下を指導できない上司は無能の烙印を押され、管理職を外されるか、それ以前に管理職になれない。無能な者を管理職に登用し部下を持たせたら会社の業績は目に見えて下がり、そういうことを続けると会社は破綻する。学力テストで全道最低ということは、民間にたとえると赤字会社である。活動した結果、成果(業績)ナシということだ。

 巡回指導員は結構だが、それ以前になぜ先輩教員があるいは教頭先生や校長先生がいながら、新米教員の授業指導ができないのだろう?
 学校組織のおかしさはそういうところにもあるのだが、新米教員のマネジメント不在を当然のこととして放置して、なぜ疑問をもたぬのだろう?校長先生の発言は私の耳にはまるで部外者の発言のように響く。中学生の学力テストの結果から判断するとこの小学校が市街化地域で学力に一番問題があるのだ。ツケは中学校へ持ち越されている。
 現場でマネジメントをしている校長先生たちはなぜ新人の先生たちの授業指導をしないのだろう?民間では管理職が部下の指導をするのは当たり前だが、学校ではマネジメントはやらないことにでもなっているのだろうか?先生たちの仕事の質の管理は巡回指導員ではなく、第一義的には管理職たる教頭先生や校長先生の役割ではないのか?民間会社ではラインの管理職に部下の指導監理責任がある。巡回指導員は補助的役割にすぎないだろう。
 ラインの管理職として自らの職責をどのように考えているのかを校長先生に聞いてほしかった。取材次第で管理できない理由が私たち読者に明らかになったのかもしれない。

 市街化地域の3小学校ですら、1学年2クラスに過ぎないから、クラス担任は12名しかいないことになる。郡部はもっと少なく、複学年のクラス編成もあるから教員が2~3名の学校も多い。
 年齢があまり離れてしまうと教員同士でも聞きにくいものらしいから、年齢の近い先輩教員がいなくて相談に乗ってもらうということができないのかもしれない。だとしたら、郡部校の統廃合は道路事情が昔と違うから簡単である。なぜ郡部校の統廃合をもっと進めないのだろう?こういう具体的な論点を持って市教委や教育長を取材してくれれば市民と教育行政の溝も埋められるに違いない。

 これは私見であるが、根室市は地理的に考えれば厚床地区に一つあれば、あとはマイクロバスで市街化地域の学校へおおむね30分で生徒を運べる。だから、2校でいい。空いている教室はたくさんあるから生徒の収用はできる。学校統廃合は生徒間の競争を促すという効果もあるし、クラス間の競争意識も出てくる。厚床地区を除くと1学年200~230名程度だろうから、小学校は学年4クラス2校に集約すればいい。統合すると同時に学校選択制を導入して学校間の競争を促すのもいいだろう。

 もうひとつ言わねばならぬことがある。教員の質の問題である。身分が保証されているからいったん採用したらどんなに劣悪な指導をしていても首にはできぬ。そして上司や校長先生の授業指導もないから、ハズレの先生に不幸にして当たったら子どもたちが被害者となる。団塊世代の私の頃はいい先生もとんでもない先生もたしかにいらっしゃった。それでも授業の仕方に文句を言う父兄はいなかった。
 小学校の教員を採用する際には分数や小数の加減乗除算が指導できるかどうか確めてもらいたい。言いにくいことだが、分数の除算の指導を間違えていた先生がいる。苦手であることを自覚していたのか授業参観で算数の授業をすることはなかったらしい。無理をしないで他の先生にちょっと聞けばいいだけである。ここいら辺りが難しいところ。校長先生には聞けないだろう。気安く相談に乗ってもらえる先輩教師がいないことも何年たっても授業スキルが磨かれない原因の一つをなしているのだろう。小規模校化が教師の質の維持にも影響している。断っておくがこれは例外中の例外である。ブカツに非常に熱心な先生だった。本業(授業)の手を抜いてブカツに精を出すのは困る。
 これも例外中の例外なのだろう。昔話としておこう。ある学校で転任して早々、受験の3年生に授業ボイコットにあった先生がいるが、理由のあることだった。しかし、その授業は一向に改まらなかった。3年生たちはこんな授業で勉強になるのかと不安に思っていた。
 ちょっと先輩教員が、あるいは校長先生が指導すれば良いだけのように思えるのだが、それすらなされぬのが現実。基本の授業力のマネジメントがゆるみきってしまっているのではないだろうか。学力テストであの学校に400点以上が一人もいないことがある惨状は故なしとしない。
 巡回指導云々するまえに学校はやるべきことがあるのではないだろうか?

 取材対象とコミュニケーションを良好に保つのは取材技術の一部ではあるかもしれないが、配慮し過ぎては困る。ドウシンさんらしく堂々と言うべきことを言ってもらいたい。読者はそういうドウシン記事に期待している。
 我が家は六十年以上にわたり北海道新聞を定期購読し続けている。根室にはそういう道新一筋の定期購読家庭が多い。道新根室支局の歴代の記者たちや本社の記者たちが歯に衣を着せぬ記事を書き、根室や北海道のオピニオンリーダとしての役割をきっちり果たして来たことで築いた"財産"である。
 人口減に比例して根室の定期購読数は8000近くに減少してしまっただろうが、残った8000には熱烈なファンがたくさんいる。 

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*#1753 「教育再考 根室の未来第 シリーズ4部②(北海道新聞)」
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27-1

*「#1750 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部連載開始(北海道新聞) Nov. 25, 2011 」
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-25


 #1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1

  #1306 教育再考 根室の未来 第2部 低学力③:若手多く指導に苦戦も
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19

  #1304 教育再考 根室の未来 第2部 低学力②:「学ぶ意味」尊重されず 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-17

  ◎#1253 教育再考 根室の未来(5):第1部⑤高校統廃合(北海道新聞)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-24

  ◎#1251 教育再考 根室の未来(4):第1部④高校統廃合(北海道新聞) 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-22

 ◎#1250 「教育再考 根室の未来(3):第1部③高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-21

 ◎#1249 「教育再考 根室の未来(2):第1部②高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-20

 ◎#1248 「教育再考 根室の未来(1):第1部①高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19




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