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#1704 ブカツは高校メイン(7):厳しい練習とは Oct. 30, 2011 [73.ブカツ]

 Tさんの6回目のブカツ指導論である。
 論旨は明快、"過度な練習と厳しい練習は違う"。過度な練習は障害を引き起こし選手生命を縮め、厳しい練習はトレーニング時間の短縮を実現し、スポーツ障害を最小限に制御する。

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 誤解が生じるといけないと思い、「部活は高校メイン」シリーズを通してのコモンセンスとして次のことをお断りしておきます。
 どんなスポーツであれ、競技大会を目的とするならば、厳しい練習は不可避である。
 しかし厳しい練習と過度な練習は違う。
 過度な練習とは、選手にスポーツ障害を引き起こすような、強度×時間をもった練習である。
 過度な練習のレベルは、選手の年齢、性別、トレーニング性によって変わる。
 過度な練習は選手生命を著しく縮め、結果として斯界の発展を妨げるものである。
 目先の競技大会の勝利のために過度な練習を選択することは、麻薬を服用するに等しい。

 厳しい練習をすれば、練習時間は比較的短くて済み、スポーツ障害リスクも最小にとどめられる

 きちんと最新のトレーニング理論、トレーニング手法を学び続けていれば、生徒の障害のリスクを最小にしながら最大の効果を上げられるものです。
 たとえば……ある中学校では夜の7時過ぎまで、廊下でダッシュ練習をさせているクラブがありました。おそらくそういう運動部は珍しくないのでしょう。
 私は大学時代、ハンドボール部にもいたので、ダッシュ練習の効果はわかります。
 合宿時には、一日6時間近く練習し、そのうち半分くらいの時間、ダッシュしていたこともあります。しかしこれは、大学生で、しかも日常の練習でも相当な強度を維持していたからできたことです。
 しかし小学生や中学生の場合、骨格や筋肉が発展途上なので、過度な負荷を与えると、成長が阻害され、或いは障害を受けやすくなります。
  ただしやり方次第では、きつい厳しい練習であっても、障害が起こりにくい(つまり疲労回復が早い)、練習を編み出せます。むしろ、きつい練習のほうが練習時間は比較的短く済み、回復が早いため障害が起こりにくいと言うべきでしょうか。(かつて私が稽古していた極真会小樽道場の稽古時間は1時間30分でしたが……大学のハンドボール部の練習に換算して3時間くらいのハードさで、いつも半死半生で下宿に帰っていました)
 上記のダッシュ練習で言えば、ダッシュの目的は、①反射能力の獲得 ②無酸素運動のトレーニング性の獲得 ③無駄の少ない動作の獲得 ④超短時間における走力の獲得 などです。
 これらを鍛えるのに、単純に30メートルダッシュをえんえん1~2時間もやる必要はありません。

 ①については、ダッシュの最初の動作だけを繰り返す練習方法があります。
 ②については、様々な方法があります。短時間に脈拍を高める手法として、古典的なのはインターバル走。それ以外だと、マスクトレーニング。また、本当に無酸素状態(息を止める)でのその場ダッシュなどの方法。このとき、脈をきちんと計測し、効果が出るよう、かつ事故がおこらないようにします。(脈拍180を超えた者は休ませる)
 ③については、そもそもそういう無駄のない動きをゆっくりと教え(教えられないからダッシュをえんえんと繰り返させるのかも知れませんが)、それを徐々に速くしていく。空手の打撃動作の習得方法です。
 ④については、走力獲得に必要な筋肉群をきちんとウエイトトレーニングで鍛える(これも敏捷性を高めながらやる方法があります)

 ちなみに走力の本職である陸上短距離のトレーニング方法は、毎回全力ダッシュ、みたいなことはしません。筋肉は全力の動きに慣れてしまい、いつも全力で走っているとそれ以上速くならないからです。フォームの獲得とウエイトトレーニングを積み重ね、全力ダッシュはめったにやらない、というのが短距離のトレーニングです。……って、30年前に勉強しましたが、今はもっと進んでいるかも知れません。 
 その他、ですが古武術の理論を取り入れた、合理的な動き、なんてのもこの数年、研究されています。
 それはともかくとして、
 基本的なことですが、単純なダッシュは無酸素運動なので、繰り返しやったからといって、有酸素能力はさほど高まりません。(苦痛に対する耐性がつくのでスタミナがついたような気になるだけです。有酸素能力向上のためには低負荷での長時間運動が効果的です) 一種のウエイトトレーニングだと思ってもいいです。その割に骨格や靱帯への衝撃が強烈なので、練習に取り入れるときは強度と回数には細心の注意が必要です。こんなトレーニング理論のいろはも知らないで、体ができあがっていない生徒を指導するのだけは、やめていただきたいなと思う次第です。
 ダッシュ練習だけで言えば、障害が起こるほど回数多くやるのは、まったくの無駄。短い時間でそれ以上の効果を上げることは、それほど難しいことではありません。

 

参照

部活は高校メイン

部活は高校メイン_本質は何か

部活は高校メイン_厳しい練習とは

部活は高校メイン_小中学校はスキルを

部活は高校メイン_まず準備運動

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)ストレッチのこつ(オリジナル技術有り)

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)の補足_クールダウン

部活は高校メイン_勝利のためには

部活は高校メイン_理想の運動部




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