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#1538 広報ねむろ 病院事業会計の嘘 Jun. 2, 2011 [26. 地域医療・経済・財政]

 桜がほとんど散り終わった。庭の紫つつじが薄紫の花をたくさんつけた。その下ではすずらんの葉が伸びつつある。
 今朝の最低気温は4度だった、根室はまだ肌寒い。季節はずれのインフルエンザが猛威を振るっており、学級閉鎖のところもちらほらある。ニムオロ塾でも数人インフルエンザで休みの連絡があった。不顕感染があるから、症状の出ている人を出席停止にしても感染拡大にほとんど効果はないが、世間の常識では熱が下がっても2日は「自宅待機」だ。

 「広報ねむろ6月号」が昨日配布された。病院事業会計が7ページと8ページに載っているので手元にある方はご覧戴きたい。
 22年度下期は4.3億円の黒字だという。収益22.6億円に対して費用は17.7億円である。差額の4.3億円が「純利益」だ。もちろん嘘である。年間売り上げが24~25億円程度しかないのに、半期の売上が22億円もあるわけがない。
 市立根室病院の売上は過去5年間19億円から27億円の間を推移している。病院収益には病院事業赤字補填のためにさまざまな名目で一般会計から13億円弱の繰入がなされている。それをあわせて「収益」と称している。上場企業が収益を22億円とアナウンスしたらそれはただちに粉飾決算である。監査法人が認めるわけがない。病院事業が本当に黒字なら一般会計からの繰入金は必要ない。

 今年度予算が8ページに載っている。「収益」予算は38.7億円で費用予算は37.2億円で純利益1.4億円となっている。これも嘘である。11億円の一般会計繰入金が収益予算の中に含まれている。だから、予算上でみても病院事業売上は26~27億円だろう。売上予算(外来売上と入院売上)は毎年過大に見積もられており、過去5年間予算を達成できたことは一度もないが、今年度に限っては想定外のことが持ち上がらない限り2~3億円程度の未達で済むのではないか。毎年辻褄合わせのインチキ予算で4億円以上未達成が常識だった。ひとりの課長が頑張るだけでインチキの幅は半分になった。努力は認めよう。仕事は誠実・正直を旨とせよ。
 本田市議のブログによれば昨年度の一般会計から病院事業会計への赤字補填の繰入金は12.53億円である。市民一人当たり4万円だから大したことはないように思うだろうが、市税収入の規模はたったの29億円である。
*「病院建設等に関する特別委員会開催
http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/12/

*「財政調整基金等について」
http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/11/post-a967.html
病院会計支出金については、

当初予算額 759,542千円 → 1,173,469千円となっています
※出来る限り現実的な予算措置を検討すべきと指摘。」


 「広報ねむろ」には「企業会計の予算執行状況」となっているが、こういうものを企業会計とは言わぬ。官庁用語で民間用語の企業会計とまるで違うから要注意だ。
 それは会計基準に現れている。民間企業は企業会計基準に基いて損益計算書や貸借対照表を作成するが、公的事業は「公的会計基準」に基いて作成される。つまりダブルスタンダードを国と法律(地方公営企業法)が認めているのだ。
 このようなわけのわからないもので報告してもらっても病院事業の実態は明らかにならぬし、赤字が黒字という正反対の報告書になってしまう。こういう会計基準で予算と決算をやるから夕張市のような自治体が出てくる。破綻するまであらゆる公営企業が「黒字」だったに違いない
 市民に真実を知ってもらいたいと思うなら、組み換えはそう難しいことではないから、市議会は企業会計基準で組み直した詳細な損益計算書と貸借対照表をホームページ上と「広報ねむろ」で公表することを決議すればいい、あとは財政課がやってくれる。

【facts:平成21年度の決算諸表から】
 病院収益のうち民間会社の売上に相当するのは外来収益と入院収益である。
 入院収益 14.9億円
 外来収益 11.5億円
 その他    0.6億円
    合計 27.1億円

 平成20年度は23.4億円である。最近5年間では平成21年度の病院事業売上が一番多い。22年度は入院患者と外来患者がそれぞれ10%ほど減ったから24~25億円だろう。
 医者の充足数からみても今年度は病院事業売上は24億円前後で3億円程度の未達がでそうだから、実質損失は14億円ほどになろう。
 人口が減少しているにも関わらず患者が増えることを前提にして、病院事業売上が増えていくようなシナリオに基いて「改革プラン」が作成されている。10年後には人口は2万5千人だろうから、患者増を前提にした「改革プラン」は現実離れしており絵に描いた餅である。人口減を入れて損益をシミュレートしたらぞっとするような結果が出るだろう。だから、事実に近いシナリオで「改革プラン」を作ることができないのである。正直につくれば破綻は誰の目にもはっきりしてしまう。だが、先延ばしすれば結果はますますひどいことになるだけだ。
 赤字の拡大基調がとまらない。効果のある経営改善、経営努力がないということだろう。ある人が「中小規模の病院経営はオヤジ次第」と言った。中小企業だからオヤジ(経営者)の経営能力次第だというのである。もちろん、それを支える有能な事務スタッフが要る。現在の経営陣に合格点はあげられないということだ。

【正直な情報発信】
 病院事業の赤字の実態については病院の元医事課長だった市議がブログ上で正直に論評しているから、過去ログを見たらいい。
 今年度も病院事業赤字は拡大を続け14億円前後となるだろう。病院建て替え後はさらに2億円程度増える。それも、かの市議殿はきちんとシミュレーションしてブログ上でデータを公開してくれたことがあった。この根室で手間隙かけて正直に情報を発信してくれる市議は稀である。
 具体的に数字をあげて病院経営問題を論じた市議はたった一人である。正直に書く理由を「大好きな根室のために」、ブログにそう書いている。なかなかやれないことだ。だが、病院経営問題についてはもう書きたくないだろう。わたしもうんざりしている。

【相互批判の欠如と町の衰退】
 コンサルタントの提言を無視しておおよそ2倍の総事業費をかけた病院の建て替えが進んでいる。これほど野放図なことをしてしまったのだから、数年のうちに市立病院経営が行き詰る。それは根室の地域医療の崩壊を意味する(老人医療に関しては根室の地域医療(療養病床ゼロの町)はとっくに破綻している)。医療難民が出て人口減はさらに加速する。根室はそういう運命なのだろう。
 いくらでも回避できたし、できるのに、恣意的な市政運営とそれを保障するオール根室がこの町を衰退に導く。相互批判をせずに共に腐ってこの町を崩壊へ導く、愚かなことだ。

【根室市の人口(平成23年5月1日現在)】「広報ねむろ6月号」より
  ( )前年同月比
 人口    29,357  (-475)
  男    14,101  (-241)
  女    15,256  (-234)
 世帯数  13,021  (-106)

 人口減は加速している。5年前まではおおむね毎年400人弱の減少だった。衰退の速度はさらに大きくなりつつある。この現実を見よ。


*#1539 「ランニングコストの低減と病院経営 :父よ許したまえ、彼らは・・・」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-06-03 

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【7月3日追記】
 本田市議のブログ「6月定例会について その1」*にコメントを書いたら、次のような返事があった。
*http://nimuoro.typepad.jp/honda/2011/06/6-cfb2.html

>病院のホームページ上で当初予算とその前提となった具体的数字を実績値と並べて表示して事実を市民に公開することはできないのでしょうか?

出来ると思います。
前年度対比、当初予算対比、計画対比を市民にも示すべきと考えます。
実は、今回の6月定例の報告その3で、この事を書こうと思っておりました。 

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 本田市議は平成22年度の決算数値を予算と比べた表をアップしてくれているので、そちらもあわせ見られたい。
 たとえば、入院患者数は予算では1日当たり118.8人に対して決算ベースでは91.8人であり、計画比77.3%の達成率にすぎない。いかに計画が杜撰かわかる。
 上場会社がこのような精度の悪い予算を発表したら東京証券取引所から厳重注意があるか上場廃止の検討対象になる。これほど精度の悪い予算は「虚偽情報の公表」として処理されるだろう。民間会社では考えれれぬでたらめさだ。予算を作成している病院事務局と根室市財政課は反省してもらいたい。喩え市長の方針がどうであれ、あなたたちは市役所職員として職責を全うすべきで、市民に対してそうする義務を負っている。正直に誠実に仕事をするのが一番いい。
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」の精神で行こう。

*「6月定例会について その3」本田市議ブログ
http://nimuoro.typepad.jp/honda/2011/06/post-88e2.html


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あさこ

ウソの情報は、何にしてもいらないですよね。
今までごまかしてきても、もう、ごまかしのきかない時代に
なっていることを自覚しないと未来はないように思います。

これからすずらんの季節なんですね。
こちらはすずらんの花は終わり、
緑の葉っぱがぐんぐん伸びています。
梅雨寒が続いています。

by あさこ (2011-06-02 16:33) 

ebisu

ウソはいりません。
現実を見つめ、正直に語ることでしか未来は開けません。
そういう時代になりましたね。

それにしても、不信任案が否決されたとたんに、菅総理は鳩山氏との約束を反故にされたようで、鳩山氏の甘さも責められねばならないでしょうが、菅氏の権力への執着の強さはあきれるばかりです。
岡田幹事長の形式論理にもあきれました。
がっかりです。
by ebisu (2011-06-03 00:15) 

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