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#1481 原子力損害賠償法:東電に免責条項?そんなばかな Apr. 21, 2011 [13. 東日本大震災&福島原発事故]

 コメント欄へ福島原発事故は「想定外が多すぎる」というご意見をいただいたが、用意周到に「想定内」になっていることもある。
 原子力損害賠償法に原発事故の免責条項がある。1961年に今日あることを予想してきちんと法律を作り、東京電力の賠償責任に限度を定め、免責しているのである。これほどの原発事故の起きることすら「想定内」、何もかも承知で用意周到に準備していた。すべては電力会社のためであり、国民はないがしろにされている。

 『原子炉時限爆弾』と『原発事故』を14日にamazonへ発注したら昨日とどいた。後者は小出裕章氏の同じ京大原子炉実験所の同僚(癌で死亡)瀬尾健氏の遺作である。小出氏が「瀬尾健さんと本書」というあとがきを書いている。そのなかに気になる記述があった。東京電力は原発4基分で合計4800億円(過去5年間の平均売上高は5.4兆円、純利益は1000億円だから税引き前利益は2000億円前後)の損害を賠償するだけであとは免責されるようなのだ。おそらく十兆円を超える損害賠償になるだろうが、国会決議さえあればたった2年余の利益を吐き出すだけで「知らぬ顔の半兵衛」を決め込むことができる。

「当然、原子力発電所を推進している国や電力会社にしても、原子力発電所も大事故をまぬがれえないことを充分に知っていて、あらかじめ対策をとっている。原子力発電所を都会に建てないのもそのためである。また、日本で最初の原子力発電所ができる前、1961年に原子力損害賠償法を作ったのも、大事故の発生を否定できなかったからであるその法律には、万一の大事故に備えて電力会社は50億円(ほぼ10年ごとに改訂され、現在は300億円)分の賠償金を保険で準備しておくこと、それを超える被害が生じた場合には国が国会の議決を経て対処する旨が記されている。電力会社にとって50億円や300億円なら軽い出費であろう。逆にいうならば、そのような法律で保護されてはじめて、電力会社が原子力発電に手を染めることが可能になったのである。」(206ページ)

 この本が出たのは1995年で、現在賠償限度額は「1サイト1200億円」にかさ上げされている。電力会社はそれ以上の損害について法律で免責されているのである。マスコミは一切この事実を報じていない。
  仮に損害賠償額が10兆円となり東京電力の負担限度をはるかに超えたとしよう。そうすると政府が損害賠償の「援助」をするという選択肢が一つ、もう一つは電力料金の値上げで対処するということになる。どちらにしても国民負担であり、東京電力は痛くもかゆくもない。給与を20%カットするだけで済まそうとしているが、そうできるのである。巨大独占事業だから過去にたくさんの官僚たちが天下りしているのだろう。

 あきれた法律だ。この当時の総理大臣は池田隼人(自民党)である。吉田内閣の大蔵大臣のときに「貧乏人は麦を食え」と国会で発言して顰蹙を買ったが、その後総理大臣になり「所得倍増」という標語を生み出した。所得はたしかに倍増し、物価の値上がりも相応のものがあった。そういうさなか、原子力損害賠償法は団塊世代が中学生に入学した年に成立した法案である。

 わたしたちは政府が提出する法案をつねにチェックしなければならないようだ。今回の福島第一原発事故に係わる損害補償の国の肩代わりもそうだが、政権はドサクサにまぎれて消費税増税をしようとしている。約束した歳出抑制は中途でほったらかしにしたまま・・・このような馬鹿なことをしてもらうために政権を委ねたのではない、民主党政権は狂ったのだろうか?平常心を取り戻してそれぞれが正直・誠実になすべきことをしてもらいたい。

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*原子力損害の賠償に関する法律(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%90%8D%E5%AE%B3%E3%81%AE%E8%B3%A0%E5%84%9F%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B


*原子力損害賠償法
http://www.fepc.or.jp/present/safety/saigai/songaibaishou/index.html

一部抜粋

「原子力災害は、天災や社会的動乱の場合を除いて、原子力事業者に損害賠償の責任があります。電力会社は「原子力損害賠償責任保険」を保険会社と結び、また、国と「原子力損害賠償補償契約」を結ぶことになっています。事業者の責任が免ぜられた損害や保険限度額を超えた場合は、国が被害者の保護のために必要な措置をとることになっており、事業者と国が一体となって原子力損害の填補を行うようになっています。

賠償措置額については、2009年(平成21年)の原賠法の改正により、現在1サイトあたり最高1200億円となり、適用期間が10年間(2019年末まで)に延長されました。」

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コメント 8

Yama

今更、大人が、子供ぽい恥ずかしい、質問?です

原子爆発力発電は危険を冒してまで国土の狭い
地震大国、日本には本当に必要なのか、これからも

危険なことを犯してまでする大人の男女の
W不倫なら傍で見ていてもほほえましいが

原子爆発でダラダラと放射線垂れ流しは、
ほほえましい光景とは程遠く笑ってはいられないと
思うのは私だけか、今でも、福島では是非我が町に
原発をとウエルカム、、ハッピーと
地元要請が多いと、聞くが、、本当なんだっぺな

原子爆発は広島、長崎で日本は懲りている
はずだったのに現在も原発は必要と言うバカタレ
日本人が50%近くいるのは何故なんだろう、
原発推進の政府のマインドコントロールか
もともと政府役人の言うことは何でも従う国民性なのか

青年将校と偉そうに自負し右翼系総理になった
中曽根が日本は平和利用の目的で原子爆弾造りに
国策として電気屋を巻き込み現在に至ったと思うが?

元自衛隊、参謀の田母神、帯広の大臣、中川など
日本は核兵器を持ち、、戦争の準備にと、
力説、中曽根の崇拝者は日本に多くいるのだろう

原子爆発発電を造るメリットが解らない
デメリットの方が膨大で、、話にならない

日本の電気が足りないと言うが、、それは嘘だ!

日本の地下は熱い、厚床「30km」くらいまでの
距離を掘ると100c釧路まで掘ると200cと聞く、、
そこに水ぶち込むと
蒸気が出る、発電機のペラが回る
その使用した蒸気を常温で冷やしと水になる
また、地下にぶち込む、この原理は子供でもわかる

まだ日本には無数の発電装置がある海の波動発電
まだある、海底の天然ガスだ、
ま~だま~だ、あるがこの辺でやめとく

原価はどちらもタダで安心安全、放射線も出ない

小泉、中曽根の国策がこれからず~と続く 40年くらい前
電気紙芝居で中曽根が日本の国民のみんなが
アメリカの商品を買うようにワイン一本ぶら下げた画を
放映していた姿を思い出す、なんでユダヤアメ公の
セールスマンに成り下る、国策で米英鬼畜と叫ばせていた
大日本帝国青年将校が、都合のいい奴だなと観ていた

最後に、、なんで地球上最大危険な物を調達し
持ちたがり日本国土に埋め、、誰のために、、、
どうする???、、、解らない、、、、、おしえて








by Yama (2011-04-21 11:26) 

もやしさんま

一応表向きの理由は、30~20年前は石油危機後の情勢に乗じて将来は石油がなくなると、そして石油依存では中東情勢に翻弄されるということでしたが、その後石油の埋蔵量は一向に減らないどころか海底油田が発見されたりで、その理由は苦しくなってきました。
最近は地球温暖化ガス二酸化炭素を排出しない地球にやさしいエネルギーといううたい文句でした。日本は京都議定書の
-14%の公約が+6%の情勢でしたから。?数値自信なし

15年前に日本で一番最後に原発を作った北陸電力の人と話した時に「わが社は原発なんて全く迷惑なんだけれども国策だから造らなければ会社を潰されてしまう」と言っていたことを覚えています。
その国策は表向きエネルギーの安定供給ですけれども、本当の理由は私の勝手な憶測でたぶん間違っていると思うけれども、政治が決断さえすれば一か月以内で核武装できる潜在能力の維持でありだからこそ日本は多くの外国に核能力のある国とみなされていたんだと思う、核兵器の廃絶という国家目標を持ちながらである。

ところで日本は脱原発で低エネルギー社会への意識転換の可能性が見えてくるが、それは今現在直面している国の存亡にかかわる原発危機を乗り越えられたらの話で、その可能性はあまり高くないかもしれない気がする。まあ悲観的になっても困るので客観的になりましょう


by もやしさんま (2011-04-21 13:30) 

oceanbridge

やはり、どこで地震が起きてもおかしくない国なので、原発を作ること自体がまずいことだったのだと思います。
世界の地震国でこんなに原発を持っている国はないでしょうね。
今回の津波も、明治に観測されたものとほぼ同程度だったにも関わらず想定はもっと低かったようなので、想定が甘かったと言えますよね。
それに、かなりの規模を想定していたとしても、原発の真下でM7級/震度6級の地震が来てしまったらどうしようもないです。
特に太平洋側の原発を今すぐ停止して欲しいです。
by oceanbridge (2011-04-21 20:16) 

江戸の黙示録

当時の地理条件は分かりませんが少なくとも海からの危険予測を計算したに違いありません
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110419k0000e040095000c.html

by 江戸の黙示録 (2011-04-21 22:09) 

ebisu

yamaさんへ

原子力発電はいざというときに核兵器をもちうるために必要な選択肢だったのでしょう。
ですが数を増やしすぎました。
目的が利権という手段に取って代わったのでしょう。
原発は儲かります。
ゼネコン、電機メーカー、それらの下請け企業と地元政治家。受け入れ先の地方自治体へは補充金がジャブジャブでました。
みな、自分の利益を最優先に考えて走り続けてきた。その結果が史上空前の災厄の勃発でした。
原子力損害賠償法の免責条項を見ても、こういう大災害が起きることは当初(1961年)から現実的可能性ありと認識していたと判断せざるを得ません。
こういう法律を阻止できなかった国会議員、そしてその議員を選んだ国民がばかだった。

いままたドサクサまぎれの消費税増税がなされようとしています。他に先にやるべきことがあったはず。手順を間違えてはいけませんん。
政治家に信念がなくなっているように見えます。もともと無いのかも知れません。
by ebisu (2011-04-21 23:45) 

ebisu

もやしさんまさんへ

>ところで日本は脱原発で低エネルギー社会への意識転換の可能性が見えてくるが、それは今現在直面している国の存亡にかかわる原発危機を乗り越えられたらの話で、その可能性はあまり高くないかもしれない気がする。

そうでしょうね。超高齢化社会が始まっていますから、経済が以前のようによくなるわけもありません。人口構成からみても経済成長路線はありえない話しです。

縮小均衡へ50年かかるのでしょう。日本は400年単位で歴史の転換点を迎えています。1600年の関が原の戦いから400年が過ぎ、大きな転換点に立っているようです。
おそらくはいままでの延長線上には日本の未来はない。価値観が変わらなければならないのだと思います。
個人や小さな集団の利害を乗り越えなければならない。
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方善し」の経済社会、それも50年の移行期=縮小再生産社会を迎えているのかもしれません。
by ebisu (2011-04-21 23:54) 

ebisu

oceanbridgeさんへ

>それに、かなりの規模を想定していたとしても、原発の真下でM7級/震度6級の地震が来てしまったらどうしようもないです。
>特に太平洋側の原発を今すぐ停止して欲しいです。

私もそう願っています。太平洋側だけでなく北海道は日本海側に泊原発があります。余市や留寿都やニセコが30キロ圏内です。偏西風が吹くので50キロ圏内の札幌は50年間人が住めない状況になるでしょう。まっすぐに東へ流れてきたら帯広も釧路もわたくしの住む根室も高濃度の放射能汚染をまぬがれません。

M7クラスの直下型地震が原発のあるところで起きたらたいへんなことになることが今回分かりました。
地震国の日本に原発は危険すぎます。即時廃止を叫びましょう。わたしはそのための不自由は受け入れます。
by ebisu (2011-04-22 00:01) 

ebisu

江戸の黙示録 さんへ

お示しいただいたURLをクリックして読んでみました。
過去の災害に学んでまちづくりをした例はあるのですね。
先人の智慧をないがしろすると大災害を引き起こしてしまう。
歴史や過去に謙虚に学ぶべきですね。
現代の私たちは奢っていたようです。
by ebisu (2011-04-22 00:04) 

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