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#1445 検証(2)福島原発事故⇒今年のサンマ漁に一抹の不安:杞憂に終われ Mar.26, 2011 [13. 東日本大震災&福島原発事故]

 2週間にわたって福島1号原発の4基の原子炉にジャブジャブ海水をかけ続けた。初動対応で外部電源を手配するということを怠ったためにおきたやむをえない措置ではあったが、水は原子炉を洗い流して海へ戻り、高濃度の放射性物質を含んだ水が数千トンも海へ注ぎ込まれ、宮城・福島・茨城沖合いは放射能の海となった。ヨウ素はともかくセシウムの半減期は30年、その他にも半減期が長くたちの悪いいろいろな核反応生成物が垂れ流されたのだろう。あとで海水を分析すればわかることだから、情報を隠しても意味はないから、きちんと検査して事実を公表すべきだ。関係者は正直に誠実に仕事をすべきと思う。
 3号炉はMOX燃料つまりプルトニウム原子炉だ。2010年9月18日からプルサーマル発電を開始している(北海道の泊原発の3号機もプルサーマル発電である)。こいつが一番厄介で、真水に切り換えるための作業中にタービン建屋で作業員が被曝した。海水を注ぎ続けたら、開閉弁に塩が高温でこびりついてしまいコントロールが利かなくなり最悪の事態が予測されたから、それを回避するための作業だったのだろう。作業員3人が173mSv~180mSvの被曝量だという。この被曝事故は次の二つのことを示唆している。

 一つは、原子炉の配管に関してテレビに出て解説している人は誰一人として詳しいことを知らないということ。それほど配管が複雑だということ。GEの3人の設計者のうちの一人が欠陥品だと認めているのは、構造的なものの他に配管や配線の複雑さがあるのだろう。配管や配線が複雑だと、何か事故があったときには原子炉のコントロールがとてつもなく困難になる。
 広瀬隆氏によれば、原子炉は無数の配管と配線が張り巡らされ、それにさまざまな計器類がついているという。実際の複雑な配管を知る者は東電側にも原子力保安院にもいないだろう。だから、誰が解説してもどの配管からどのような経路で原子炉内の冷却水がタービン建屋に洩れたという説明ができない。原子力保安院の審議官のしどろもどろの説明ではまるで分からない。説明者自身がわかっていないのだから。実務をしたこともないような専門家の解説など児戯に等しい。仕事をしたことのある者ならわかるだろう。
 GEと一緒に仕事をした日本のメーカー側には分かる者がいるのだろうか?わかったところで水素爆発であれだけぐちゃぐちゃになってしまっては、どうにもならないだろう。原子炉格納装置と原子炉内の冷却水を循環させるためには新たに配線・配管をしなおすしかあるまい。先に紹介した講演会ビデオの中には、GEの3人の設計者のうちの一人が、あの原子炉は欠陥品だといって涙を流して謝罪している場面があった。

 被曝事故が示しているもうひとつのことは安全を無視した作業が日常的に行われ、作業に対する安全管理が杜撰であるということ。
 いままで日雇い労働者を雇って危険な仕事をやらせ多くの作業員が被曝しガンで死んでいった。大企業東京電力では原発現場での作業はもともと安全無視の作業が普通なのである。社員は離れたところから指示し、日雇い作業員の放射線量を測るのみ。危険を知っているから自らは原子炉建屋内での作業はしない。
 原子炉から洩れた水が15センチもあるところで短靴での作業でもだれも注意しないのは、そういう安全を無視した作業が日常茶飯事だったことがあったのだろう。タービン建屋だからまさか原子炉の冷却水が洩れているとは誰も思わなかったかも知れぬ。配管の詳細は東電職員は誰も知らないのだろう。作業員は被曝火傷を起こして「直ちに健康に影響があった」ので気づいたのだろう。
 採取した水を分析した結果、1cc当たり放射性物質の濃度は約390万ベクレルだった。通常、原子炉内の水は数百ベクレル。この事実は原子炉内の燃料棒か燃料プールの「使用中燃料棒」が破損していることを示している。
 水の表面で400mSvだという。従来の作業員の安全基準は100mSvだったから、15分しか作業時間がない。作業員は40~50分作業し続けていた(26日午前1時のニュースでは治療にあたった千葉県の放射線医学研究所の発表では「2時間作業していた」と公表されている)。
 今回の原発事故処理に困り政府は250mSvに安全基準を上げた。やはり250mSvに安全基準を上げてはいけなかったのだ。200mSv以下で実害が出たではないか。専門家たちの言が如何に好い加減かがこの事件でも分かる。
 安全基準を上げた人たちは誰一人として現場で作業しないし、現場に激励に駆けつけもしない。自分たちは「絶対安全なところ」にいて、作業員には平気で危険な作業をやらせている。
 中高生諸君、絶対にこういう大人になってはいけない。人として情けないではないか。

 さて、ここからが本論である。大問題が持ち上がりそうでebisuは心配でならぬ。私の好きなサンマが食べられなくなるかもしれないのだ。
 サンマはどうやら親潮に乗って回遊しているようだ。南の限界は房総半島北東沖である。冬場はこの辺りに集まって幼魚として餌を食べている時期だろう。暖かくなるに連れて三陸沖を通って北上し始める。いま放射能の高濃度汚染地帯に無数のサンマの幼魚が集まっている
 海に垂れ流された高濃度の放射性物質は生物濃縮を起こす。プランクトンで2000倍に・・・アヒルの卵で1兆倍だそうである。サンマは百万倍のオーダーだろうか?シャケはサンマよりも大型の魚だからもう少し生物濃縮が起きそうだ。漁業被害は想像もつかない。たかが原発6基での事故で三陸沖から北海道まで太平洋沿岸の漁業が数十年間壊滅状態になる危険が差し迫っている。もう回避のしようもない。

 根室の水産関係者がいま考えるべきことは、サンマから放射能が高濃度で検出されたときの対応のしかただ。消費者に対してどのように対応するのか、事業の存続のためにそこで働く社員のために何がなしうるのかを全力で考えるべきときだ
 現実を受け入れ、どう対応するのか、それこそ「オール根室」で取り組まねばならない大きな課題が持ち上がっている。正直にそして誠実に対応することが求められている。現実に背を向けてはならない。ごまかしは事態を複雑で、問題を大きくするだけである。市立病院建て替えで私たちは学んだはずだ。市が招聘したコンサルタント(元々は藤原前市長時代、現市長も招聘している)が売上の範囲(25億円程度)に総事業費を押さえるべきだと提言していたのに、それを無視して62億円もの巨費をかけた建て替え事業を開始してしまった。この5年間を見ても経営改善がまったくなされていないように見える。建て替え後の市の財政負担はさらに増える。年間赤字額は15億円を越えるだろう。今度は対応を間違えてはならない。サンマは根室の主力魚種の一つである。放射能汚染問題で根室の水産関係者は嘘偽りを言わず、正直に対応ればいい、それが信用の基である。7月までまだ間があるが、この期間は天が根室の水産業者に与えてくれた貴重な期間であると受け止めよう。無駄にしてはいけない。

 夏場7月の終わり頃に根室沖で獲れたサンマを検査したら半減期30年のセシウム等の放射性物質が検出されるだろう。問題はその値である
(サンマがすでに北上してしまっているなら今年のサンマは放射能汚染がない。来年獲れるサンマから放射能が検出されることになる。サンマが現在どこにいるのかわたしには知識がない)
 大好きな庶民の魚サンマだから、食べられる程度に収まっていて欲しい。
 三陸沖を回遊する魚種はサンマの他には何があるのだろう?そうだ、マグロもいた。大型だから生物濃縮も大きくなる。

 ここで考えてみたい。日本は沿岸で季節ごとに旬の美味しい魚がたくさんとれる。そういう豊かな魚資源と引き換えにして惜しくないほどの価値が原子力発電にあるのだろうか?


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*「サンマ群の集団構造および回遊経路についての遺伝学的研究」
 3㌻に標本を採取した場所がプロットされているが、回遊経路への言及はない。
http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/JASI/pdf/JASI/29-3561.pdf

**「サンマのあれこれ」(神奈川県水産総合研究所)
 サンマの幼稚魚の分布図が載っているが、九州や犬吠埼でも幼稚魚が採取されているので、産卵場所は案外分布が広いのかもしれない。この図から考えると、サンマの産卵は小集団に分かれて広く分布しているように見える。そして幼魚が餌を食べながら房総半島北東海域で集まり、福島沖を回遊して北海道沖へ北上してくる経路が有力のようだ。サンマは幼魚と成魚では水温に関する感受性が変わるのだろうか?たまたまネット検索で引っ掛かっただけだが、面白そうな研究である。
https://blog.so-net.ne.jp/MyPage/blog/article/edit/input?reload_blog_id=213148&id=33541562

http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/Sakana/Misc/Sanma/sanma.asp#chap-9



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