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#1435 東京消防庁の放水 :過酷な任務  Mar. 20, 2011 [13. 東日本大震災&福島原発事故]

 東京消防庁の放水は原発側の要請で時間を延ばし13時間半続けられた。原発から500メートルのモニタリングポストでの放射線量は3443mSvから約500mSv下がり2907mSvに落ちついてきているように見える。(11時半の発表ではさらに2625μSvに低下)

*東京消防庁 3号機に放水
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110320/t10014793681000.html


 11時40分ころ現場の総隊長が記者会見をした。その隣に実際に現場指揮をしたと思われる人が控えていたが、総隊長が喋っている間、ずっと左頬下側の筋肉が震えていた。極度の緊張が伝わってくる。地上デジタルになって画面が鮮明だから微妙な表情がよく見てとれる。

 「隊員は放射能について非常に熟知している、だから恐れている」(総隊長)
 「わたしたちは職務柄、放射能の怖さを熟知している。だから、怖い。隊員の家族に非常に申し訳ない。この場でお礼とお詫びを申し上げる。」(現場指揮者)

 こういう主旨のことを言った。目は充血し、ひどく緊張した表情だった。最後のところは涙が溢れるのをこらいているように見えた。若い隊員もテレビに映っていた。精鋭部隊に過酷な指示をする現場責任者のプレッシャーは大きい。若い隊員に健康被害が出ることを覚悟した顔をしているようにみえた。過酷な任務ご苦労様。隊員たちは防護服を装着するのに訓練時の3倍もの時間がかかったという。放射能への恐怖からだろう。どれほど過酷な任務だったか分かる。

 総隊長は消防庁の現場作業の被曝線量の限界値を3mSVと話したが字幕は30mSvとなっていた。隊員の被ばく線量の最大値は29mSvと説明されている。

 150μSv/hで8日間被爆すると被曝線量は
   150μSv*8日*24時間=28.8mSv
 となる。
 (計算式は単位の変換も含めて高校生なら誰にでもできる。加減乗除の四則演算だけは誰もができなければならない。そうすれば、専門家の虚言にだまされることはないだろう。
 リーマンショックは四則演算の使い方すら知らない低学力&低所得層を、不動産担保ローン会社や銀行が狙い打ちにしたものだった。セールスマンの言うことにだまされずに自分で計算して見れば当初15万円/月の返済が3年後に50万円/月にもなることがわかっただろう。不動産が無限に値上がりしない限り破綻するローンであることに気がつかなかった。自分で計算してみるというのは他人の甘言に乗らずいろんな場面で詐欺から自らを守ることになるのである)

 これは原発から30キロの文部省の測定値である。13時間の放水のうちの一部を担当しただけで、30キロ離れた地域で8日間の被曝量に匹敵する。
 つまり、この消防庁幹部が若い隊員の今後の健康に及ぼす悪影響と同じだけの放射線量をこの地域の住人が浴びてしまった可能性が高い。
 もちろん、外出を控え被曝防止に努めただろう。29mSvはハイパーレスキュー隊員(放射能処理の専門家)が恐れる線量だ。隊員たちが緊張しきっている、それほどの被曝線量だ。作業に当たらない原発推進派の学者は「ただちに健康被害が出るというレベルではない」といい続けている。ならば、現場に立って議論してみよ。

 原発は現場作業の下請けの問題がある。日雇い労働者を雇って社員にはやらせられない滅茶苦茶な現場作業をさせ、多くの人が健康を害し亡くなっている。被曝被害は日常茶飯事だったのだ。原子力発電の利便性と安全性についてばかり私たちは聞かされてきたが、今回の大災害で負の側面を目の当たりにしたのである。
 専門家は都合の悪い情報を隠すことや嘘はやめ、本当のことを話し、原発廃止に向けた議論をすべきだ。原子力保安院は原発を廃止したら職員が失業し組織がなくなるから、都合の悪い事実を隠すのではないだろうか?

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*武田邦彦(中部大学)
 放射線の専門家「第1種放射線取り扱い主任者」が福島原発事故について具体的な解説を次々にアップしてくれている。ぜひ読んで欲しい。
http://takedanet.com/


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