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#1416  「救われないM新聞」(m3.comより)  Mar.12, 2011 [40. 医療四方山話]

 東北地方太平洋沖地震から1日たち、その被害の大きさに驚く。まだその全貌が明らかではない。太平洋海底の断層が400㌔から500㌔も崩れたようで、震源地と言うよりも「震源域」と解説していた。復旧に数兆円単位のお金を投じなければならないだろう。普段から無駄遣いをつつしみ、貯蓄を積み上げておけばこういうときに惜しみなく使えるのだが、国の借金だけでも900兆円、ただ呆然。
 広範囲に地盤沈下を起こし、津波の水が退かない地域が多いので、復旧用の工事車両が入れない。「家は流された」と避難場所でお年寄りの被災者が語る。建て替える資力がない人が多いのではないだろうか、被災者の今後の生活が心配である。
 株価や円相場にはどの程度の影響が出るのだろう。

  今回は具体例を挙げての医療裁判に係わる報道批判。「呼吸器」という用語にまつわる新聞記者らしからぬ初歩的ミスを指摘している。
 こうした健全な批判があり、それに耳を傾ける姿勢があれば、新聞記事もずいぶんとよくなるような気がする。医学辞典をちょっと引くだけでミスは防げただろう。上司がチェッカーだが、そこもすり抜けた。
 私も気をつけなければいけない。


「救われないM新聞」(m3.comより)

昨日、帯広の厚生病院でトラブル?が起きました。それに関する新聞記事を複数の報道機関の記事で比較してみましょう。

呼吸器のバルブ閉まり患者死亡 北海道・帯広の病院
2011年3月8日 提供:毎日新聞社
患者死亡:呼吸器のバルブ閉まり--北海道・帯広の病院

7日午後2時10分ごろ、北海道帯広市の帯広厚生病院の精神科病棟7階の病室で、入院していた女性患者(59)=音更町=の呼吸器のバルブが閉じているのを看護師が見つけ た。女性は心肺停止状態で集中治療室に運ばれたが、翌8日午前6時50分ごろ、死亡が確認された。低酸素脳症とみられる。道警帯広署は何者かが故意にバルブを閉めた可能性 もあるとみて、事件・事故の両面で捜査している。【金子淳】

次いで共同通信社

酸素吸入器閉まり患者死亡 北海道の帯広厚生病院
2011年3月8日 提供:共同通信社

北海道警は8日、帯広市の帯広厚生病院の精神科病棟で、女性入院患者(59)の酸素吸入器のバルブが閉まり、低酸素脳症で死亡したと発表した。帯広署が事件と事故の両面で 調べている。
 道警や病院関係者によると、女性は肺炎のため、酸素吸入マスクを装着。看護師が7日午後2時すぎ、バルブが閉まっているのを発見したが、心肺停止状態で、病院が110番し た。女性は8日朝、死亡した。
 女性の病室は相部屋。発見時、部屋には別の患者と面会者ら計3人がいた。女性に目立った外傷はなかった。道警は、関係者から事情を聴き、バルブが閉まった原因を調べている 。

皆さんお気付きでしょうか。問題のバルブが閉まっていたのは、毎日では”呼吸器”、共同通信では”酸素吸入器”です。

先ず”呼吸器”の意味ですが、これは肺や気管、気管支などの生体のシステムを言います。ここに閉めるバルブなど有りません(笑)。そのシステムを外部からコントロールするのが御馴染みの人工呼吸器で、これは通常は気管挿管した患者の気管チューブに繋いで使います。
いずれにしても”呼吸器”と言う単語の意味すら知らない(調べない)小学生以下?の新聞記者ですね。

では共同通信の”酸素吸入器”ですが、これは皆さんもよく目にしている筈です。患者さんのベッドの頭部分に設置された昔の牛乳瓶のような物です。あれは部屋に引き込まれた酸素の出口で、真ん中のネジを回す事で吹き出る空気の酸素濃度を調節できます。瓶の上に細いチューブが立っていて、その中に丸い玉が浮いています。玉が上に上るほど酸素濃度が高いことに成ります。
そうです。今回問題に成っているのは、この”酸素吸入器”なんです。バルブを一杯に閉めると酸素が出てきません。しかし酸素マスクは或る意味適当な代物で(口にフィットしない)結構脇から空気が漏れます。ですからマスク内に酸素が来ていなくても或る程度は自然な呼吸は可能です。しかし肺炎状態で肺の酸素交換能が低下している場合は部屋の空気を吸っているだけでは当然酸素飽和度が低く、補助的な酸素の補充が
必要です。その補充の酸素が来ないわけですから低酸素状態と成ったのでしょう。

”酸素吸入器”の事すら間違えて、せっせと医療機関を攻撃し続ける毎日新聞・・・皆さんはどう思われますか。
by 医療四方山裏話 (2011-03-09 17:06)


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助かれ 救われ そして生きろ

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by 助かれ 救われ そして生きろ (2011-03-12 21:40) 

医療四方山裏話

「ワイドショーの功罪」(m3.comより)
最近、民放TV各社のワイドショーで医学的な話題がよく見られます。そしていわゆる著名なコメンテーター(弁護士、マスコミ崩れ、検事、各新聞社や放送局の編集長や論説主幹、スポーツマン上がり、たまに日本中のまともな医師からはクズ扱いの女医も、etc)などの連中が、もう好き勝手な事をほざいています。しかし、事が医学の話と成るとNHKも黙ってはいません。拙い事に視聴者は民放なら最初から話半分で見ていても、NHKと成ればもう少し真面目に考えるから、或る意味NHKの方が悪辣な時があります。とにかくマスコミが医療を取り上げる時には、もう事実などはどうでも良く、ただひたすら面白く視聴率を稼げれば良い!

J-CAST テレビウォッチ ワイドショー通信簿
 医者の承諾書」書かされてても泣き寝入りするな!
《医療ミス逃げられない》
医療ミスやトラブルの絶えない昨今だが、「病院などで、このような書類を書いたことはありませんか?」と赤江珠緒キャスターが視聴者に問いかけ、大きなパネルに書かれた「手術承諾書」が映し出される。そこには、万が一の不可抗力の事態に対しては、一切の異議申し立てをいたしません、との一文がある。
コメンテイターで経験者の鳥越俊太郎によれば、「医療の現場では、それは何枚も何枚も、イヤというほど、同意書を書かされます」という。もし、そういう書類に同意してしまった場合、医療ミスがあっても
患者は泣き寝入りするしかないのか――という法律相談コーナーである。
《患者の無知につけ込む》
医学部でも教えているという回答者の大沢孝征弁護士によれば、医者はとかくこういった書類を書かせたがるという。しかし、実際は医者の気休めにしかならない。あきらかな過 失があった場合に、責任を免れることはできない。過失を事前に放棄させる取り決めは、公序良俗に反していて無効と考えられるんだそうで。「これを書かせたことで、(法律に)無知な患者さんが(責任追及を)諦めてくれる場合がありうる、という以上の意味はない」とまで言う。

ここで何時ものようにm3の掲示板の中から平均的な
書き込みを一つ載せておきます。この方は多少言葉がキツイですが、それだけ頭に来ている事を理解してあげてください。

「誰のための手術か、考えろ 」
>何枚も何枚も、イヤというほど、同意書を書かされ>ます

書かされますって、、、結局、馬鹿な患者が不条理な要求をし、マスゴミがそれに油を注いだ結果、こういった事態にならざるを得なくなったんだとの認識もなく、ようもこう、ぬけぬけとほざけるもの だ。自動車保険の契約書ごときやちょっとしたリース契約でも、小さな字で、何ページにもわたって、ごちゃごちゃ詳細を書いてあり、基本的に、それを読んだ上で、承諾して契約す ることになっているんですよ。ましてや、手術ですよ。それを、読んで承諾できるならサインをなんてことなく、細かく細部にわたって説明し、承諾のサインをもらう、そこまでして、この言い草ですか。別に必要ない車やテレビを売ろうなんて言ってるわけじゃないんですよ。車やテレビなら、売り手の利益って話でしょうが、手術なんて、100%患者の利益のためなのに、、、そこまで、文句あるなら、
他の回答者先生もおっしゃってられるように、こういう状況だから、どうする、、、手術してやってもいいよって話で、本人が頭を下げてくるのを待てばいんですよ。 ばかばかしい

生命保険や損害保険などには御存知の細かい契約事項が記載された契約書が付いて回ります。そして契約が成立したと言う事は、我々がその記載内容を理解し納得したと看做されます。それらの内容をよく読んで見ると、かなり会社側に有利な項目が並んでいます。時には「これじゃあ何のための保険なんだ?」と腹が立つような免責条項も見られます。しかし、このワイドショーでは、病院の各説明・承諾書には文句を付けても社会一般に溢れている各種の説明書や契約書に対しては何も言いません。最近多い外資系の生命保険会社のCMなど、「あの補償はあの程度の保険料では無理だ。笑しい」と思ってよく画面を見ると小さな文字で(一口)などと申し訳のように書いて有ります。しかしそれらの会社は今や放送局にとっては大口のスポンサーだからか、折角法律家がスタジオに居ても全く問題にしません。しかし医者叩き・病院叩きは続きます。
何故今時の病院では検査や手術に際して面倒くさい説明・同意書が多くなったのか、皆さんご自身でお考えに成ってください。これは付け足しですが、この同意書に対する医師の考えは様々で、例えば小生などはその手の書類に患者さんや家族の印鑑を貰うのは好きではありません。「きちっと誠意を持って接すれば、そんな責任逃れのような書類は不要だ」ですが、しかし病院として「そんな患者性善説は甘い。リスクマネージメントに徹するべき」と言う考え方を採っている場合は、個人の考えは通りません。病院によっては患者・家族の同意書が無いと手術場にも入れません。
by 医療四方山裏話 (2011-03-14 01:32) 

もやしさんま

どんな医療を受けるか受けないかは本人の権利だから、患者や家族の同意書は当然だと思いますよ。手術って不安ですから。やってみたけど手に負えなかったと手術する前より悪くなることだって起きうるでしょうし。医療費だって見積もりもらった方が覚悟もできるし
故意ではなく疲労による過失まで罪に問われるのは行き過ぎだとは思うけれど、事前の同意はやっぱり必要でしょう
事故だとかで緊急に手術必要なこともあるでしょうから、一般人も日ごろからどうするかを事前に考えうるように医療現場の情報が周知されていれば良いのですが。
by もやしさんま (2011-03-14 20:34) 

ebisu

医療四方山裏話さんへ

医療裁判が増えたから防衛措置として同意書が必要になったように記憶します。
同意書に判を突かないと手術していただけませんから、もちろんサインした印鑑を押します。
その前の手術の説明が結構ストレートでたいへんです。
胃の全摘、胆嚢の摘出、もし膵臓に癒着していれば膵臓、脾臓も同様だったら脾臓も、もちろん大腸も・・・
おいおいそんなに摘出して命があるのかい?なんて思いながら説明を聞いていました。

確率は小さくても、そういうリスクがあるのだなあ・・・と説明を聞いているうちに、だんだんそうなりそうな不安な気がしてきたりします。少しの間気持ちは揺れます。
最後はこの先生と術場の看護師さんたちがベストを尽くしてくれるんだから、安心して全部お任せしよう。生死は天が決めると納得するまで1日かかりました。
この先生なら万が一のことがあっても、スキルを上げる糧になっていい、そういう気持ちがわきあがりました。
お陰様で、安心してゆったりした気持ちで、術場で麻酔がかかってまぶたが重くなっていくのを感じていました。

ベストを尽くしていただければそれで十分なんです。信頼が置けなかったら、病院を変えるしかないでしょうね。
患者から言わせてもらえば、信頼するに足るドクターにめぐり合えるかどうかです。
同意書にどのような文言が書いてあっても関係ありません。100%信頼して命をお預けするのですから。

術後4年8ヶ月、執刀医や術場の看護師さんに感謝しております。診断をつけてくれた内科医2名の先生にも。
by ebisu (2011-03-14 22:41) 

ebisu

もやしさんまさんへ

契約関係は基本的には欧米の流儀のような気がします。
日本人は「よろしくお願いします」「よし、まかせとけ」が本来の姿。
まかせとけと言ったからにはその元に外科の職人として責任をもち、いい仕事をする。
結果については人事を尽くしたのだから天命と受け止める。

医者も患者も家族もこの30年ほどでずいぶん変わってしまったのではないでしょうか。
医療裁判事例を見ると、ひどく好い加減なお医者様もいらっしゃるようです。
私は確かな技術と信頼関係で結ばれる社会の住人でありたいと思います。
by ebisu (2011-03-14 22:47) 

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