SSブログ

#1313 水源地である牧ノ内ダム周辺への植樹 :かれこれ17年目 Dec. 24, 2010 [15. ポジティヴ&ゆめ]

 雨と強風が吹き荒れ、秒速28㍍の風でツリーが根本のほうでぽっきり折れてしまい23日に予定されていた明示公園内のクリスマスイベントは中止、花火は今日打ち上げられた。

 牧ノ内の水源地を取り囲むように幅300メートルくらいの用地を買い占めて植樹すべきだと当ブログで何度か書いたが、根室市はやっていた。40%くらいは終わっているのではないだろうか。やるね、上下水道施設課さん。
 北海道新聞12月23日朝刊根室地域版より。

 水源保全に向け17年
  市の植樹、来年度終了
     50ヘクタール15万本 
     育成管理強化へ

【根室】根室市が牧の内ダム周辺で水源を保全する「水源涵養林」の整備を進めている。道内で外国資本による森林買収が進む中、離農跡の牧草地などを市が取得し、17年間にわたり計約47㌶に約14万本を植樹した。2011年度で現行の整備計画は終わり、その後は育成管理を強化する。(栗田直樹)

 牧の内ダムはコタンケシ川(通称3番川)が流れ込む市の水源地。この一帯では酪農家が
多かったが、1985年ごろから離農が相次いだ。土地が管理されないため、土砂の流入などダム周辺の水環境が悪化。市は水源保存の目的で93年度から整備事業に着手した。
 植樹したのは寒さや潮風に強いとされるグイマツで、94~96年度は11ヘクタールに約3万2850本、03~08年度は12㌶に約3万4950本、さらに、09、10年度には計24㌶に7万1520本を植えた。グイマツで池や川を取り囲むようにしてきた。
 市建設水道部によると、用地取得費が3400万円、整備費が国や道などの補助金を含め約4200万円。現在最も高い木で3~5㍍に育っている。成木になれば土地所有者の市が、その一部を処分できるという。
 植樹事業は来年度の約4㌶、1万2千本が最後。市上下水道施設課の初井一彦課長は「客観的なデータはないが、水源涵養林は水質改善に役立つ。保水力や土砂流入を抑える機能を高めるようしっかり管理していきたい」としている。

 記事にはカラーで各年度ごとに植樹した場所が塗り分けられている。かかった費用は用地買収費を含めてもたったの7600万円である。こんな半端なことしないで、できる範囲の用地買収をしてぐるっと樹林帯で取り囲もう。

【宮脇方式の森創り**】
 単一樹種グイマツを植樹しているとあるが、これだけはやり方を変えるべきだろう。単一樹種の森は脆弱である。植物生態学者の宮脇昭によれば、その土地本来の樹種を混ぜて植えるのがよいという。かれはそれで日本のみならず世界中で森の再生に携わっている。いろいろな樹種のドングリを採集し、ポットでドングリを育てるところからその方法はシステム化されている。誰か「ミズナラの森創り実行委員会」を作ってドングリ拾いとポットでの苗の育成を始める若者はいないか?お一人、幼稚園の園長先生が「天使の森計画」でドングリを拾い集めて園児たちと育てている。
 水源涵養林を伐採して儲ける必要はない。大事なのはわずかな儲けではなく、数百年にわたり安定した自然林で水源地を取り囲むことだ。宮脇方式なら千年たっても森は環境に適応して残る。(単一樹種の森は災害や虫害に弱く、維持管理に人手が必要で、維持費がかかる。自然の森は多様な樹種で構成されている)


【比較】
 病院事業赤字が今年度14億円前後でることになるだろうが、水源涵養林事業17年間の予算7600万円と比べてみるといかに巨額か分かるだろう。
 赤字を1億円減らして予算を回すだけで、牧の内の水源地を樹林帯ですっぽり包むことができそうだ。市民一人当たり2万円程度の赤字に減らせれば年間8億円ものお金が浮き、町の将来に役立つ事業に投資できる。

【旗を巻くのも叡智の一つ】
 経営推進課をつくり課長を置くも一向に経営改善できなくて今年4月には民間業者へ経営改善業務を委託した。それにも関わらず効なく赤字は昨年度よりも確実に増え、史上最高額を3年連続で更新しそうである。
 歳入を増やすことよりも赤字を減らすことを考えよ。経営改善できぬなら「経営推進課」はいらぬ。いつまでも旗を揚げてままでは恥さらしとなる、やれぬと悟ったときは自ら旗を巻くことも智慧のひとつだろう。

【療養病床導入が経営改善の鍵:医者は集められる】
 根室の人口高齢化は進んでいる。すでに8000人近くになっている。数年で1万人を超えるだろう。ニーズの高いところに潜在売上が眠っている、療養型病床がそれだ。きちんとやれば2~3億円くらいの赤字は減らせる、やれるところからやるべきだ。
 ターミナルケアであり、延命治療はいらないから医者は定年退職後の人でいい、根室の自然を満喫しながら数年のんびり働いてもらえばいい。給与も半分、勤務時間も半分でいい。舟に乗っての釣りも、湿原での釣りも、釣り好きの人にとっては全国有数の自然を根室は抱えている。バードウォッチングもいいスポットがいくつもある。春国岱と風連湖、落石のエトピリカ、沿岸氷に乗って周囲を睥睨するオジロワシや大鷲。
 条件を明示して市にホームページで医者を募集してみればいい。療養型病棟に限っては根室は医者を集められるだろう。

にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村

** 宮脇昭翁の本を紹介したい。テレビの特集番組で何度か採り上げられ感動し、一番最初に挙げた本は読んだ。ブログでも採り上げている。
 単一樹種での植林をしているところから察するに、水源管理の仕事に携わっている市職員の方はお読みになっていないのだろう。ぜひ読んで再考してもらいたい。まだ水源地の周りは植樹されずに半分以上残っている。根室の水源地が五百年後にも豊かな森で包まれている姿を想像したい。
 豊かな想像力が根室の町を変える。

---------------------------------------------------------
*#1960 宮脇翁の提言:命を守る森の防波堤構想=震災瓦礫処理 June 3, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-03-2

#1313 水源地である牧ノ内ダム周辺への植樹 :かれこれ17年目 Dec. 24, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24

#1042 水源地を300メートルの森林の帯で取り囲もう May 27, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-26

#1289 天使の森計画(根室) Nov. 25, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-25

#1246 地域医療改革の烽火(12):「最高条件は危険な状態」(宮脇昭) Oct. 18, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-18

#196「市民の森」オープン(北海道新聞より)2,008年6月8日
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-08

三本の植樹から森は生まれる 奇跡の宮脇方式 (祥伝社ポケットヴィジュアル)

三本の植樹から森は生まれる 奇跡の宮脇方式 (祥伝社ポケットヴィジュアル)

  • 作者: 宮脇 昭
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/03/31
  • メディア: 新書

4千万本の木を植えた男が残す言葉

4千万本の木を植えた男が残す言葉

  • 作者: 宮脇 昭
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2010/06/19
  • メディア: 単行本
鎮守の森 (新潮文庫)

鎮守の森 (新潮文庫)

  • 作者: 宮脇 昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 文庫

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0