#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010 [64. 教育問題]
「教育再考 根室の未来」シリーズ「第2部低学力④」のテーマは「荒れる中学校 授業抜け出し後絶たず」である。敏腕記者は学校現場をがっちり取材している。
教育再考 根室の未来
第2部 低学力 ④
荒れる中学校
授業抜け出し後絶たず
「ウワー」。根室市の中学校の廊下に、女子生徒の奇声が響く。近くの教室では保健体育の授業中。女子生徒は教員に注意されても、教室に戻る気配がない。そのうちに、男子生徒も2人集まってきて、廊下で雑談が始まった―。
本年度の全国学力・学習状況調査結果を見ると、根室市の小学6年生の正答率は全道平均と同程度。だが、中学3年では全道平均を大きく下回る。市教委は「落ち着いた学習環境にない学校があるから」とみる。
火災報知機6回
冒頭の中学校では、授業中に勝手に教室を抜け出す生徒が後を絶たない。いたずらで、火災報知機が日に6回鳴ったこともある。
教室の中も騒がしく、ときには最前列でも教員の声が聞こえないことさえある。テストでさえ「英語のリスニングが聞き取れない」(女子生徒)。国語の授業を抜け出した3年生の男子は「だって、勉強わかんないし。教室にいてもつまんない」と話す。
「これで、学力が上がるはずはない」。教員は自嘲気味につぶやく。保護者も「学級崩壊ではなく、学校崩壊だ」と嘆く。市教委の柴山能彦教育長も「学びたい子供の学習権を保護しなければ」と問題意識を持つ。
空き時間に巡回
教員も手をこまねいているわけではない。授業の空き時間は積極的に廊下を巡回する。どうしても授業を受けられない生徒を対象に、別室での個別指導も始めた。校長は「教員も頑張っている。でも改善の光が見えない」と悩む。
市内の中学校でも、授業を抜け出す生徒が複数おり、教室が騒がしい。教室にいる男子生徒(1年)も、周囲に釣られて私語をしてしまうことがある。「本当はちゃんと勉強したいけど、諦めている」と打ち明ける。
こうした状況に陥った背景の一つとして、教員の指導力不足が挙げられる。連載3回めでも指摘した根室が初任地という若手教員が多いためだ。
一方、家庭環境が影響していると見る向きも多い。一人親世帯などで経済的に厳しい場合、親が働きに出ている間、家でずっとテレビゲームなどをして過ごす子供がいる。小学校教諭は「学習習慣もつかないし、大人のいうことを聞けない子供になる」と心配する。
自分の子に注意
ただ、教育関係者は「学校は家庭のせいにしてはいけないし、家庭も学校のせいにしてはいけない」と指摘する。複数の中学校で、保護者をはじめ地域住民誰もが自由に授業を見学できる「フリー参観」の日を設けた。保護者が授業を抜け出す自分の子供に注意するケースもあり、中学校教諭(29)は「地域に開かれた学校づくりが必要だ」と話す。
学校の荒れは、経済的な疲弊など、地域社会の抱える問題が学校に持ち込まれた面もある。地域も、無関心でいてはいけない。
< コメント >
例によって、記事を補足したい。
冒頭の中学校は一番古い中学校かと思ったが、一番新しい中学校だと生徒が教えてくれた。そう言えば体育館周辺での喫煙問題が出てない。火災報知機が鳴るのはもう「伝統化」していたが、まさか駒場町の中学校も似た状況になっているとは知らなかった。3年生の学力テスト総合Cの平均点が105点(300点満点)だったし、500点満点の学力テストで400点以上がゼロのこともあったから、相当荒れ始めていることは想像していたが、どうやら市街化地域の2校は一番荒れた学校に近づいているようだ。
市教委は「落ち着いた学習環境にない学校があるから」とまるで他人事の感想を述べている。
「だって、勉強わかんないし。教室にいてもつまんない」と話した中3の男子生徒は小学校で落ちこぼれてしまったのだろう。半分は本人の問題、突き詰めると家庭の躾けの問題だが、半分の責任は小学校の教師にある、「落ちこぼした」のだ。市街化地域の小学校はどの小学校も著しくレベルが低い。家庭の躾にも問題があるが、一部教員のレベルにも問題がある。学校名は挙げないが、分数計算すらまともに教えられない教員が存在するのは事実である。そういう先生に限ってブカツに熱心。先生たちの本業は授業であるのに、そこで手を抜いて(?)ブカツに狂奔する。授業の内容には校長すらアンタッチャブルなのだろう。それが北教組のせいかどうかは知らぬが、生徒の学力が犠牲になっていることだけは確かだろう。
「市教委の柴山能彦教育長も「学びたい子供の学習権を保護しなければ」と問題意識を持つ」、なんと牧歌的な発言だろう、ひょっとしておとぎの国の教育長かな。子供の学習権など持ち出さずとも、学校で勉強をきちんとさせるのは当たり前の話で、問題はそれをどのように確保するかだが歴代の教育長はなす術がなかった。つい2ヶ月前までは根室高校卒業生の教育長だったが、なにも変えられなかった。見覚えのある1学年上の先輩だったが、市議会での答弁を何度か聞いてみても、学力を向上させようという情熱が感じられなかったのは残念だった。
同じように、地元出身の教員がいくら増えても自動的に子供たちの学力が上がるわけではない。地元出身でもダメなものはダメ、地元出身者でなくてもいい先生はいい。教師の教育への情熱とその技倆は出身には関係がない。
「どうしても授業を受けられない生徒を対象に、別室での個別指導も始めた。校長は「教員も頑張っている。でも改善の光が見えない」と悩む」、校長先生の悩みは深刻だな。数学だけを見れば、五段階評価で昔の成績なら1に匹敵するような学力の生徒が各学校・各学年生徒数50~80人の中に15~30人いる。3~5%程度しかいなかった成績1に匹敵する生徒が異常な数である。毎年そういう生徒に遭遇していたら、じきに感覚は麻痺する。異常なことを異常と感じられなくなり、普通のことに感じてしまう。
数学と英語は中学校でも習熟度別に教える必要がある。まぜこぜでは先生たちがどこに焦点をあてて授業をしても授業に満足できる生徒はわずかだ。効果は小さい。
数学に関しては小学校の算数指導に問題があるようだ。分数や小数の計算だけは全員ができるまで補習してトレーニングすべきだし、昔の先生は放課後補習でそうしてくれた。自分の生徒に対する愛情があったし教育への使命感にも燃えていたのが生徒の私たちにも伝わってきた。分数や小数の四則演算ができないままに中学校へ送り出したら責任放棄、教師として失格ぐらいに考えて欲しい。
「家庭環境が影響していると見る向きも多い。一人親世帯などで経済的に厳しい場合、親が働きに出ている間、家でずっとテレビゲームなどをして過ごす子供がいる。小学校教諭は「学習習慣もつかないし、大人のいうことを聞けない子供になる」と心配する」、ところが片親でなくてもゲームに嵌る子どもたちはたくさんいる。家庭学習習慣を育む重要な時期である小学校低学年では子供のコンピュータゲームを法律で禁止して欲しいくらいだ。親が子供を躾けられないどころか、しばしば親が一緒になってゲーム狂いしている場合がある。これは家庭や地域社会の劣化ともいうべき現象だろう。子供たちに表れている問題はじつは大人の問題なのだということがわかる。
「教育関係者は「学校は家庭のせいにしてはいけないし、家庭も学校のせいにしてはいけない」と指摘する」、しかしわたしはこの意見に与しない。まるでよそ事ではないか。
ブカツに狂奔し、有力な学力向上策である放課後補習をしないのは学校の教員と教育行政の問題以外の何物でもないし、小学校低学年で家庭学習習慣を育むことすらしない半数の家庭の躾の在り様も批判されて当然で、それぞれ解決すべき問題として俎上にのせねばならぬ。
親の言うことすら聞けないような子供に育てて中学校へ送り込めば、学校の先生のいうことも聞かない箸にも棒にもかからないどうしようもない生徒ができあがってしまう。これは家庭の躾の問題である。
こういう生徒は高校を卒業しても簡単な計算すらできないし、「辛抱力」もない。彼ら彼女たちににどういう種類の仕事があるのだろう?中小企業や零細企業であればあるほど人の採用は重要であり、能力の低い社員を雇用し続ければ会社がつぶれる。
その結果、女の子たちは都会へ出て風俗産業へ・・・、そういう話しがごろごろしている。職業選択の余地がなくなるのだ。
この教育関係者に言いたい、学校の在り様も、家庭の躾も悪いものは悪い、現実から目を背けてはいけない。
「中学校教諭(29)は「地域に開かれた学校づくりが必要だ」と話す」。若い教員だがまともな意見の持主だ。こういう人がまっすぐに育って欲しい。もう、学校だけでクローズドで何とかできる状況ではない。学校を地域社会に開く必要がある。市教委の閉鎖性が一番の問題かもしれない。
たとえば、帯広のように学校支援員制度を活用したらいい。手が足りないなら地域の知識人に放課後補習を委ねるといい。
落ちこぼれた生徒は集団指導よりは個別指導の方がいいが、集団指導になれた学校の先生たちには荷が重いのかもしれない。個別指導にはそれなりのノウハウがある。相手を観て授業をしなければならない。どこまで読めるかで成果が左右される。
#3276 4月学力テストデータ分析: C中学校 Apr. 24, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-04-24
#1758 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部⑤:新聞活用(北海道新聞) Dec. 1, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-12-01
#1757 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部④:小中一貫教育(北海道新聞)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-30-1
根室の規模であれば、教育委員会がきちんと機能したなら状況はすぐに改善されると思います。こちらと同様、「危険性を予見できていたのに、何もせずに放置してきた結果」とも、「勉強が壊滅状態で、何とかしたいと思うものの、一体何から手をつけたらよいのかが分からない子ども達と同様」とも言えますね。
サボってあっけらかんとしている子ども達だって、本当は将来に対する言いようのない不安があって、人並みではない自分の学力をではしかしどうしようもないと、自分の将来に夢と希望を持てなくて金縛り状態にあるんですよね。しかしこの部分も、「譲れない」基礎学力の習得を徹底して、いわゆるキャリア教育をきちんとやったならば、彼ら彼女らを助けることが可能になるはずです。
ここ(ebisuさんのブログ)に解決策が明示されているのだから、頭を垂れてでも教えを請いに来るべきでしょう。「体は大人なのに知性は7・8歳」そういった子を量産している現実を改めればいいだけなのですが…
by ZAPPER (2010-12-20 09:47)
マチの規模が小さいということは、いいことですね。
市教委が音頭を執って関係者を集めて学力向上についての具体策をオープンに話し合えばいい。
個別指導のノウハウは集団指導の癖がついていたら案外見えません。
たいした技術ではありませんが、効果は絶大です。昨年退職したある中学校の数学の先生が効果のほどをご存知です。
零点あるいはそれに近い生徒を何人か2ヶ月ほどで76~88点にした実績があります。これはチャンピオンデータで、1年かかる場合もあります。
ふるさとの子供たちの学力を全道一にするために、ノウハウを公開します。学校の先生たち、ニムオロ塾までどうぞいらしてください、歓迎します。
もちろんどなたがいらしたかなんてブログでは書きません。
できない生徒とできる生徒を集めてこっそり個別指導方式の放課後補習をして効果を味わってください。楽しいですよ。
by ebisu (2010-12-20 12:51)