SSブログ

#1255 正十二角形の確率問題:勉強のコツ=視点変換= Oct.25, 2010 [62. 授業風景]

 昨日は午後から曇っていた。MTBではなく、しばらく乗っていなかったロードレーサーに空気を入れ、郊外を8キロほどサイクリングして戻った。
 さすがに強いアゲインストには抗えず閉口する。スピードはがたんと落ち、ペダルが急に重くなる。人生はフォローよりはアゲインストの風に吹かれているほうが安心だ。しばらく我慢していれば、先が必ずよくなるからである。サイクリングは別。

 さて、4週間ほど前のことだろうか、1年生から『4TRIAL数Ⅰ+A』(数研出版)の問題の解答の一部がわからないと質問アリ。P123にある次の問題である。

------------------------------------------------
9 正十二角形の頂点から異なる3点を選び、その3点を頂点とする三角形Sを考える。Sが次のような形になる確率を求めよ。ただし、正三角形も二等辺三角形とみなす。

(1)正三角形  (2)直角三角形  (3)二等辺三角形

-------------------------------------------------
 この(3)の問題の解答のうち青の部分が質問箇所である。

-------------------------------------------------
(3)頂角の選び方は12通り
  ∠Aを頂角とするとき、二等辺三角形の底辺の選び方は
     BL, CK, DJ, EI, FH
  の5通り。
 同様にして、他の角を頂角としたときも底辺の選び方はそれぞれ5通りずつあるが、4つの正三角形をそれぞれ3回ずつ数えることになるから、求める確率は
  {12×5-4×(3-1)}÷220=13/55
--------------------------------------------------

 220は全事象で12分点の内から3点とる組合せだから12C3である。生徒は(3-1)意味がわからないという。
 正三角形は一つの頂角に付き一つ対応しているから、全部で12個だが、頂点の数が3つだから、実際には12/3=4個である。
 二等辺三角形を数えたときに、正三角形もカウントしているからダブった分を引き算しなければならない。2回余分に数えている、それが(3-1)の意味であり、「減算方式」による計算式となっている。

 こういう説明ではピンと来ない様子なので、聞いてみたらやはり分からないという。生徒の表情は正直だ。他の生徒の質問を捌きながら別の解き方がないか考えたが、時間切れ、いい方法が見つからなかったので明日別の説明を考えてくると伝えた。 

 家に帰ってどういう説明をしようか考えていたら、同じ問題を見たような気がしたので『エレガントな入試問題解法集・上』(P.58、石谷茂著・現代数学社)をめくってみたらやはりあった。類似問題である。こちらは確率ではなく、二等辺三角形の数を問う問題となっている。以下は上の計算式の{  }部分の説明に該当する。

------------------------------------------------- 
 分点Aを頂点とする二等辺三角形は正三角形を除くと4個、すべての分点では4×12個、これに正三角形4個を加えて
   4×12+4=52
-------------------------------------------------

 こちらは正三角形を除いてカウントし、あとから正三角形4つを加える「加算方式」だ。計算式はシンプルになっている。解法や計算式はもちろんシンプルなほうがいい。たいていの問題は考え方次第でいくつも解き方があるので、複数の解法を見つけたときは解法がシンプルであるか美しいかを問わねばならない。
 "エレガント"とタイトルをつけただけのことはある。「減算方式」の『4TRIAL』の解説よりもこちらのほうが分かりやすい。

 翌日、生徒に説明してみたら、
 「先生、これならわかる」
 「昨日の計算式の意味もわかったよ、なんだそういうことだったの」

 笑顔だった。すこし視点を変えただけで、分かりにくいものが分かりやすくなることもある。困ったときはリラックスして視点変換してみよう。

 この次は真似して、自分で少し考えてみよう。勉強は集中力と「分散力=視点変換力」という相反する性質の思考を両輪として使えれば、1段レベルが上がる。瞑想もそうだけど、集中よりは何ごとにもとらわれない「分散」のほうがむずかしい。慣れてくると意識的に両方へ行ったり来たりできるようになる。スイッチのようなものができてくるのだと思う。

 もう一つ、直角三角形に関する問題の質問があった。教科書の問題だったと思う。式は途中までできていた、正攻法だ。途中から計算がわからないというので、やって見せた。これは簡単に理解してもらえた。

 直角をはさむ二辺が長さの和が10センチのとき、面積の最大値とそのときの辺の長さを求めよ

 もちろん、二次関数に読み替えて解くのが正攻法だが、長方形の問題に置き換えれば、2辺の長さの和が10なら面積が最大になるのは正方形だから、三角形は半分と考えよう。直角二等辺三角形になるから、1辺が5センチ、面積は12.5平方センチメートルと暗算ですぐにできてしまう。
 この問題は幾何的に解いたほうが軽く、速い。ロードレーサーに乗っている気分だ。大丈夫だよ、3年生になるころにはこういうことも臨機応変にできるように成長している。
 
にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0