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#1254 経済成長論の終焉 Oct.24, 2010 [経済学ノート]

 Sフロントラインというテレビ番組を見ていたら、能天気な森永卓郎氏が経済成長論をぶっていた。50兆円という数字が躍っている。行き着く先が破滅であっても、彼が言うとなにやらほのぼのとした感じが伝わってくるから不思議だ。他にも2名アナリストだろうか、経済成長論だった。経済だけ見ているとその異常さに気がつかないものらしい。
 細胞レベルで見れば、無限増殖するのは癌細胞のみで、正常な細胞は成長をやめる。どうして経済成長を続けることの異常性に気がつかないのだろう、私は不思議でならぬ。

(染色体の末端にテロメアというキャップの役割を果たす領域があるが、DNAが複製されるごとにその部分が短くなる。テロメアは複製回数のカウンターであると同時に、それがなくなるとDNAの複製ができなくなるから、複製のアドミニストレーターでもある。正常細胞は50~70回複製を繰り返すとテロメア領域が失われ複製ができなくなり、細胞レベルで死を迎える。テロメアについては次の弊ブログを参照されたい。2016年3月5日追記)

*#2417 ダイエット:Veggie-heavy diet and yoga shown to slow cell aging Sep. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-23

 半ば皮肉をこめて言うのだが、菅政権は経済政策に関しては立派なものである。
 近年外来生物が日本固有の種を絶滅の危機に追いやり、日本固有の生態系を壊しつつある。いろいろな経済政策はときに外来生物のような役割を果たす。
 わが故郷では、あちこちで野生の鹿がみられる。光洋町を散歩していると、道路まで鹿が出てくることはめずらしくなくなった。数頭がが塀の中まで入り込んで庭の何かを食べていることもある。鹿を食べる狼が絶滅したので増えたというのが大方の見方であり、北米から狼を輸入しようという案もあるそうだ。片方で駆除をした時代があり、今度は人為的に外来種を導入する、泥縄である。経済政策もこういうところがある。
 東工大(理系)出身で一般の理系出身者同様に経済音痴なのだから、無理をせずに何もせぬがよいということもある。経済学部出身の「頭のよい者」でも考えることはほとんど経済成長論のみ。キリストではないが「父よ許したまえ、彼らは自分のしていることがわからないのです、アーメン」と言いたくなる。
 経済刺激策は省エネや自然エネルギー利用にかかわる民間の研究開発の助成をするくらいで十分だ。
 ワークシェアリングを法制化できればなお素晴らしい。若者の失業はワークシェアリングでなくすことができる。日本は世界に先駆けて脱経済成長路線の先頭を走り、先進国をリードすることになる。
 大脳前頭前野で、私的な利害を強く抑制できるのは、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」の伝統的な価値観を実践してきた日本人以外にはないだろう。他にそういう可能性のある国民がいるだろうか?

 過剰富裕化という概念で経済成長の異常性を問題にした最初のマルクス経済学者は馬場宏二氏である。私は馬場宏二氏の過剰富裕化論を何度かブログで採り上げた。簡単に言うと、人類絶滅を回避するために経済成長をやめようという論である。当たり前すぎて、経済学者の中では彼の学説は冷ややかに受け止められ、広がりをみせない。経済政策として採り上げたら、選挙民から総スカンを食い、選挙で大敗北必須であるが、それでもやらなければならないことがある。
 せっかく奪取した政権という甘い蜜をなめていたいから、過剰富裕化論は政権政党には採用しえない理論である
。もちろん政権奪取をもくろむ自民党も採り上げるはずのない理論だ。所得を半分で我慢しろという、選挙受けの悪い経済政策にならざるをえない。それでもこれが日本が世界に先駆けてやってみせるべき経済政策であり、おそらくは「三方善し」の商道徳を伝統として培ってきた日本人にしかなしえない政策である。
 最近WWF(世界自然保護基金)が「現在の生活水準なら20年後に地球2個必要」*というシミュレーションの結果を公表した。Hirosukeさんがブログで紹介*していた。経済成長を続ければ2030年には地球環境が激変して人類の生存が危ういということだろう。

*「このまま経済成長すると20年後に地球は滅亡?」
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2010-10-14-1

*http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2766222/6324039

 無限の経済成長は癌細胞の無限増殖に似て異常である、もう経済成長はいらない日本は率先して経済成長放棄宣言をすればいい
 30年をかけてCO2排出の半減も可能になる。人口は50年後7000万人でいいではないか。年収も半分でいい。仕事は分け合おう。1日5時間、週に4日働き、朝夕の食事は家族揃って食べる。
 失業というのは人為的なものだ。人為的なものは人為的な政策でなくすことができる。痛みを分け合うワークシェアリングで若者の失業をなくそう。そして教育と医療にだけは他に優先して予算を使おう。国力の礎は「学力」と倫理水準の高さである
 過剰富裕化論とWWFの警告をつなぐ環は職人主義経済である。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」の経済だ。所得は半分になっても、失業のない社会が実現できる。CO2の排出が半減でき、週に4日しか働かなくてよく、毎日家族団らんの夕食が食べられる。精神性の高い豊かな社会である

 私は「10年間のシナリオ」と題して2年前にブログ記事を二つ書いた。為替が50~80円/$になり、その後、国家財政破綻で200円を超す円安になるだろうと予測した。いずれ団塊世代の貯蓄取り崩しが回りまわって構造的な円安を将来するだろう。シナリオの最初の部分が現実になりつつある。
 経済予測は外れるものだから、わたしの予測も外れのはずだが・・・。どうやら現実は、大筋でという限定付ではあるが、2年前に書いたブログ記事の通りになりつつある。日本経済の先行きに興味のある人が読んでいただければうれしい。


 #346 「これから10年間の日本経済のシナリオ [経済学ノート]」 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10

 #484「国民の95%が幸せ…屈託のない笑顔」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-01-11-1


 #1148 「馬場宏二 過剰富裕化論」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-05-2

 #1158 「過剰富裕化論(2):過剰富裕化とは何か」 Aug. 12, 2010
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-12

 #1162 「過剰富裕化論(3): 経済学部を目指す高校生へ」 Aug. 16, 2010 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16

 #1164 「過剰富裕化論(4):人類史上最短労働時間の社会への道」 Aug. 18, 2010 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-18

  #1165 「過剰富裕化論(5):節度ある明るい未来」 Aug. 19, 2010
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-19 

 #1182 民主党代表選挙と国家財政の現状:過剰富裕化論  Sunday, Aug. 29, 2010 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-29

 #1185 日銀金融緩和策公表も効果なし:資金の過剰富裕化は何をもたらすのか  Sep. 1, 2010
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-09-01

 #2436 経済学と人間の幸せ Oct. 5, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-05

 #2437 経済学と人間の幸せ(2): 中野孝次と馬場宏二の説をめぐって  Oct. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-06

 
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Hirosuke

「このまま経済成長すると20年後に地球滅亡?」
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2010-10-14-1
by Hirosuke (2010-10-24 18:08) 

ebisu

Hirosukeさんへ:

政治家も選挙民もどうしてこんなに経済成長に固執するのでしょう。
体内で無限に成長できるのは癌細胞だけです。
無限増殖は異常だと細胞が教えてくれているのに、みんな都合が悪いから気がつかないフリをしているのかな?

昨日だったか、ルーマニアがテレビに映っていました。町に木造の教会があり、そこで爺さん婆さん、父さん母さん、息子や娘が結婚式をあげる。そして孫も・・・
道路は干草を運ぶ荷台をつけた馬車がのんびりと走る。自動車がめずらしい。1000年たっても自然と調和しながらやっていける生活をしていました。
人口は少なくていい、所得も少なくていい。ルーマニアやブータンのようにみんなが笑顔で暮らせればいい。

経済成長を追い求める国は地球にとって癌細胞の増殖のようなものです。その異常性を自覚することこそ大事なこと。そういう感覚が共通にもてれば、対策は後からついてきます。

じっくり、選りすぐりの情報を発信してください。
by ebisu (2010-10-24 18:46) 

事業仕分けを提案

>「医師招へい・病院建設準備室」がある。これが現事務長は室長をやっていたようだ。どうりで病院建て替えに関する適切な情報が出てこなかったわけだ。仕事の能力のほどは推して知るべし。

現医師招聘・病院建設準備室室長はどなたですか?毎日がさぞかし閑職業務なことでしょう。お気の毒です。
出張とあれば事務長がしゃしゃり出て来て、院長と二人で独断活動されるのであればあなたの職務は不要なポスト?自ら事業仕分けに名乗りをあげられては如何ですか?



by 事業仕分けを提案 (2010-10-24 20:57) 

ebisu

「事業仕分けを提案」さんへ:

面白い提案ですね。

さて、行動から判断すると「医師招へい・病院建設準備室」長は事務長が兼務している可能性がある。

ホームページを見たが、診療部門は名前が分かるが、事務部門は出ていない。

事業仕分けは当事者ではなく、ぜひ市議会にお願いしたいものです。
by ebisu (2010-10-24 22:10) 

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