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#1248 教育再考 根室の未来(1):第1部①高校統廃合(北海道新聞) Oct.19, 2010 [64. 教育問題]

 タイミングがよい。北海道新聞根室地域版で標題のシリーズが始まった。北海道新聞根室支局の記者たちはいい取材と分析をしてくれる。
 全文転載したいのだが、とりあえず内容をかいつまんでお伝えしよう。

 市内企業への人材供給源として根室西高校はそれなりの役割を果たしてきた。水産加工業の経営者は「就職指導が熱心だ」と取材に応じている。
 統廃合に反対なのは「高校問題検討会」、H市長であるが、反対なだけで代案は書いていない。たぶんないのだろう。私は#1124で代案を公表している。
 根室西高校は今年は「34人の定員割れ」を起こし、根室高校は定員を確保した。父兄の希望は
「子供は将来、できれば伝統ある根室高に通わせたい」

 道教委は根室西高の定員割れを見て、
「現状で根室高を減らすと「根室高へ進学したい子供の希望に合わなくなる」と判断したという」

 記者はこうまとめている。
「子供と保護者、経済関係者―。どのような高校が望ましいかは立場によっても異なり、早めに議論を深める必要がある」
「このままでは根室、根室西の両校もなくなって、別の新しい高校になる可能性もある。将来にわたる根室の教育について真剣に考える時期に来ている」

 地域のの将来にとって教育は将来を左右しかねない重要な問題だ。高校が根室の「最高学府」である。「高校問題検討会」のような官制のグループで議論を閉じていると、病院建て替え問題の「市民整備委員会」のような無残なことになりかねない。行政の正当化に利用されることを危惧する。
 日曜日に市民説明会を開いて、繰り返し議論すべきテーマである。市長や教育長、市教委、学校長などの教育関係者が出席して、広く市民の意見を聞くべきだ

 ebisuはこの数年間の中学生の著しい学力低下を見ているので、根室高校普通科2クラス体制(1クラス減)という選択肢も考えられるように思える。3年前の学力レベルを前提にすれば、これから入学していく生徒は同じ学力相当層が二クラス分を切る。
 中学生のテストデータを見ると、根室西高進学レベルの学力の生徒が急速に増えているというのが実態である。中間テスト数学の10点以下が20%、30%の学年が出てきている。今までこういう点数分布は見たことがない。たいへん深刻な問題だが、こういう現実を前にしてさえ市教委も教育長も市長もまったく動かない。

 どういうビジョンで地元の経済や市政を支える人材を育成するのか、市民レベルの継続的な議論が必要だ。市民説明会で継続的に議論してみるべきで、どういう基準で選んだのか分からない委員による諮問委員会での検討は停止したほうがいいと私は思う。行政の政策正当化に利用されることになる。
 具体的な学力データすら見ないで、根室市の将来にかかわる重大事を簡単に決めるべきではない。そして、検討には速度が必要だ。手遅れにならないように、毎週日曜日に、任意参加の教育問題市民会議を開くのが好いだろう
 
 いままでに、ブログで4度高校統廃合問題を採り上げている。高校教育に関連する記事が他にもあるので一緒にリストしておく。根室市民の方は、できれば「教育問題」のカテゴリーの記事を通してお読みいただきたい。根室の将来がかかっている。近年急速に進みつつある学力低下の現状も踏まえて議論すべきだ。具体的なデータに基かない議論は危険である。
 ◎が高校統廃合を直接論じた記事である。

 ◎#1111 「根室の高校統廃合問題について「異見」あり(1)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-14

 ◎#1113 「道教委による公立高配置計画説明会(7/13)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-15

 #1119 「地域経済と地域医療を支えるために:学力向上への提案(釧路商工会議所青年部で行われた講演会から)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-18

 ◎#1122 「高校統廃合問題:商業科と事務情報科は歴史的使命を終えたのでは?」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-19

 ◎#1124 「高校2校体制を5年延長する現実的な提案」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-20

 #1125 「公教育の充実へ予算を増強して」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-21

 #1127 「限度を超えた部活動の実例(釧路)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-23

 #1152 「教育における投資対効果を考える」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-08

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ZAPPER

釧路では、星園高校(廃校)と西高校(廃校)と北高校を統合して2007年から明輝高校(校舎は北高校)にまとめられました。今後、市街地の阿寒高校はキャンパス校化されることが確定しています。一般に語られることはほとんどありませんが、廃校・キャンパス校化の憂き目にあった高校はいずれも偏差値30台の高校です。

統廃合の問題は地域によって異なるので一概には言えませんが、釧路においては更に市内の公立高校を1校廃校にすることが望ましいと個人的に考えています。(1校を廃校にすると帯広や北見に近い受験状況になり、子ども達も多少の危機感を持って勉強するようになり、多少なりとも基礎学力が向上すると考えるからです)

しかし、根室の場合はかなり難しいですね。市が具体的な学力向上策を示して時間的猶予を請い、どちらかの高校の定員削減を前提に道教委と交渉を進めたなら、両校存続の妥協案を引き出すことも可能かも知れませんが、今のままでは道教委の言うがままに進められてしまうでしょうね。

根室の動向に注目しております。
by ZAPPER (2010-10-19 15:56) 

ebisu

ZAPPERさんへ

>今のままでは道教委の言うがままに進められてしまうでしょうね。

仰るとおりです。
H市長の反対はポーズとしか思えません。
道庁から天下りした教育長主導で、道教委の説明会がすでに開催されました。「露払い」の役割を果たしたということでしょう。道教委は地元への説明を済ませたということになります。

H市長は代案を示していません。ただの陳情です。道には道の都合があります。財政問題です。背に腹は変えられない。
代案がなければ、道庁の意のままに統廃合が進められることになるでしょう。

さて、根室市民が試されています。指をくわえて道教委の意のままになるのか、それとも具体的な案を出して道教委から譲歩を引き出すのか。

教育問題に関する継続的な市民会議開催要求が数名の市議の連名でH市長宛なされれば、事態が動く可能性はあります。問題を言い換えると、教育問題で動く市議がいるかということかもしれません。
S市議が熱心でした。
by ebisu (2010-10-19 22:44) 

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