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#1159 「改革プラン未達」で市立病院建て替えはできるのか? Aug. 13, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 8月13日付北海道新聞1面の見出しはこうなっていた。
「経営悪化の道内14公立病院 
  10市町 収支目標未達成
    09年度 常勤医不足響く」

 鋭い分析力に裏付けられた健全な批判精神に基づくものという信頼感を読者は北海道新聞記事に寄せている。根室では全所帯の70%近くが北海道新聞を購読しており、50年以上定期購読を続けている家庭も珍しくない。それらは道新の記事への信頼感の深さを物語る。

 記事では病院経営悪化の指摘を受けて「公立病院改革プラン」を策定し、収支目標を達成できなかった10市町について表を掲げて説明している。
 根室の状況しか私には分からないので、該当箇所を引用してコメントする。

「根室市も内科の常勤医数を(改革)プランで8~9人としていたが、6人にとどまり、医業収益が2億円も下回った。常勤医不足を補う出張医にかかる給与や旅費などの「給与費」が予定より2億円増え、計画外で4億3千万円を市の一般会計から支出した。」

 「計画外で4億3千万円市の一般会計から支出した」というのは事実だろう。しかしそれは決算でだ。予算で8億円の一般会計からの繰入金を支出している。だから、病院事業の実質赤字は12億円を超えているが、そういう記述は一切ない。北海道新聞はこの記事で何が言いたかったのだろう?

 載せている表「・・・病院事業の2009年度経常収支」によれば、根室市は「決算見込み▲3400万円」に対して「目標との差-900万円」となっている。このような数字は病院事業の実態を説明するのに何の意味もない。改革プランが達成できなければ、建て替えができなくなるのではなかっただろうか?

 実は深刻な問題が隠されている。病院事業の実質赤字は12億円を超えており、一般会計から実質赤字に相当する金額が予算で8億円、決算で4.3億円補填されているという経営の実態がまったく説明されていない。「改革プラン」自体の欺瞞性についてもっと強い指摘があっていいだろう。

 市立根室病院の計画売上(医業収益)は36億円(内一般会計からの補填分8億円含む)であったと思うが、決算では約26億円だったのだろう。記事中にあるように経費が計画よりも2億増えて、実質赤字は12億円を超えた。
 一昨年だって実質赤字は11億円を越えていたのに、改革プラントの辻褄併せのために予算で8億円の赤字補填しか予定していなかったから、決算でさらに4.3億円の追加がなされたということだ。

 もう一点、ありえないことを指摘しよう。常勤医不足を補うために非常勤医の「給与費」が2億円増えたとある。常勤医換算で一人1億円の人件費ということになるが、このようなことは通常、実務ではありえない。非常勤医にかかわる予算が当初から過小に見積もられていただけのことだろう。
 「病院改革プラン」は売上は目一杯ありえない仮定に基づき過大な計画を立て、経費はこれまたありえない仮定で過小に見積もり、計画上の辻褄合わせを繰り返している。その結果が予算外の一般会計からの繰り入れ4.3億円である。こんな赤字は実務担当者は計画策定段階から皆承知していることだ。

 不正直で・不誠実な仕事が「病院改革プラン」と、本当は計画策定時から分かっているけど予定外の決算損失補填4.3億円に象徴されている。
 市議会は病院事業会計について、明細レベルの予算実績対比損益計算書を財政課に要求して欲しい。そうすればインチキ予算もインチキ改革プランも組めなくなる。市議は市政チェックをするために、公的会計の予算と決算について基礎的な学習をきちんとして、職務を果たして欲しい。

 さて、病院建て替えが市民説明会のないまま強行されようとしている。損益計画も示されていない。償却負担が増えるから5年間くらいは病院事業実質赤字額は16~20億円にもなる。一般会計からこのような巨額の補填を続けることができるのだろうか、市の財政課の意見を聞いてみたい。
 市が招聘した病院コンサルタントが総事業費30億円で建て替えできると提案していたが、それを無視して2倍の62億円もの総事業費での建て替えを急ぐ理由は何か?システム開発費用が当初の5億円から7億円になった経緯や理由についてもなんの説明もない。

 予算を2倍に増やした理由の一端が、発注段階でわかるだろう。どういう地元業者が関係するのか市民はよく見るべきだ。誰のための市政かわかるだろう。
 「オール根室=地元経済界」のための恣意的な市政を改めることができればふるさとの町の未来は明るい。自浄作用がなければわが故郷も10年を経ずして夕張市のようなことになる。根室市民はいま瀬戸際にいる。

 恣意的な市政の結果、病院事業の継続は困難になる。実質赤字額増大で市財政が破綻しかねないリスクを抱えるだろう。隠せるものではない。誰が得をして、その結果市財政と病院経営が危機に陥るのか、静かに見守ればいい

 採算悪化で市立根室病院が夕張のように診療所になれば、被害を被るのは市民や病気の患者だ。

 市長選挙はいまのところ対立候補がないから、2度目の無投票当選がなされそうだ。市民へ何の説明もないまま、恣意的な市政がまた4年間なされる。
  正直で誠実に市政を運営できる人材が市役所にも市議にも地元経済界にもいないことが問題だ。子どもたちの学力レベルが全道最低レベルだが、大人たちはもっともっと情けない。わたしもそういう大人たちの一人ではある。


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