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#1126 「歳出71兆円以内に」 ??? <素朴な疑問>  July 22, 2010 [A4. 経済学ノート]

 職人主義経済は正直に・誠実に仕事をし、商いにおいては「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」を旨とする。利益の極大化のために仕事をするのではなく、納得のいくいい仕事をすることで報酬をいただく。仕事に嘘・ゴマカシは一切なく、浮利は追わない。

 さて、政府の概算要求骨子がでた。2011年度の「国債費を除く一般会計歳出の大枠を10年度の71兆円以内」とした。国債の新規発行を2010年度の44兆円以内に抑えるという。なんだかとってもヘンだ
 昨年までは一般歳出92兆円となっていた。国債の利払いは21.5兆円だったから、44兆円の新規増発により10年もの国債の金利を1%と計算すれば国債費はほぼ22兆円だ。71+22=93兆円で史上最大の今年度予算をさらにオーバーしているではないか。

 新規国債の増発は埋蔵金10兆円の取り崩しで44兆円に抑えられたが、実質の財政赤字はおおよそ次のようになっていた。
 92(歳出)=38(税収)+10(埋蔵金取り崩し)+44(新規国債)

 取り崩せる埋蔵金が昨年の三分の一しかないとしたら、93兆円の財政規模を維持するために必要な新規赤字国債額は50兆円となる。
 93-38-3=52兆円

 2010年度史上最大規模の予算だった92兆円に比べて、2011年度はさらに1兆円記録更新することになる。赤字国債増発も史上最高額である今年度44兆円をさらに8兆円も上回り、52兆円になる。2年連続で史上最高の新規赤字国債発行額の記録更新なのである。そういう事実に一切口をつぐみ「~を除く一般会計歳出71兆円」と云う。それをそのまま報道するマスコミも健全な批判精神を忘れてしまったようだ。

 「国債費を除く一般会計歳出」などというゴマカシをそもそも誰が提案したのだろう?

 不誠実・不正直な仕事である。信頼に基づき誠実な仕事を旨とする職人主義経済とは対極をなす仕事のやり方である。これでは学力弱者、経済弱者を強者が食い物にした米国のサブプライムローンを笑えない。手口が同じだ。

 あきれた言葉のトリック、民主党よ、こんなことをするために政権がほしかったのか?
 そうではないだろう、初心に帰り、ひたすら正直に誠実に仕事をしてほしい。そのために国民は諸君らに政権を委ねた


*職人主義経済学については、「経済学ノート」のカテゴリーにその概要を書き始めている。いずれ完全な形でまとめるつもりだが、いまはその骨格を掘り出す作業をしている。古典派の経済学説を覆し『資本論』を凌ぐ経済学となれば幸いである。『資本論』フランス語版が出てから再来年で140年だから、そろそろ新しい経済学が生まれてもいい頃だ。


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