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#1124 高校2校体制を5年延長する現実的な提案 July. 20, 2010 [64. 教育問題]

 北海道教育委員会のホームページを見たら、高校配置計画*(平成21年6月)の資料があった。それによれば、平成23年度根室西高校は1学級減となっている。中卒者数が279人に減少するので、全入を前提しても根室高校200人、根室西高校80人の定員で間に合ってしまう。
 市議会で教育長が答弁した市内の中卒者数は左側の数字であり、北海道教育委員会の資料に載っている数字が右側である。どうしてこんなに違うのか私には理由がわからないのでこのまま表示しておく。
*「公立高等学校配置計画案」
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/NR/rdonlyres/C092B1B5-0331-49A7-B8E4-EC531DBC5C34/0/01H22H24koukoukeikakuan210602.pdf 

 H23年       279人
 H24年       277人
 H25年       273人     
 H26年 220人  263人
 H27年 276人  210人
 H28年 267人  260人
 H29年 235人
 H30年 226人 

 平成18年度に北海道教育委員会は1学年3間口以下の道立高校を統廃合の対象とすることを決定した。
 根室西高校はすでに3間口(3クラス)であり、来年度に2間口になる。道教委の「再配置計画」にも「根室市内について新しいタイプの高校の設置も含めた再編の検討が必要」とコメントが記入されている。

【道財政逼迫による高校統廃合圧力】
 なぜ、道教委はH18年に高校再配置計画を発表したのだろう?道財政が逼迫し、財政再建団体に転落しかねない状況が背景にある。現行予算を見直し、削らざるを得ない。

 その一方で、わが町が高校1校体制になれば、道内14支庁管内最低の学力レベルにある中学校の状況がそのまま高校に現れかねない。1校体制で全入なら高校の教育崩壊が始まってしまう。

【市街化地域の中学校の現状】
 具体例を出す方が話しがわかりやすいだろう。しょっちゅう火災報知機が鳴る、毎日のように体育館裏で授業をサボり喫煙する生徒グループがいる、授業中に大きな声で私語をして先生の声が聞こえなくなるクラスがある、こういうことが1校になった高校でも行われるようになる。
 ある中学校の実績データによれば、2クラス中1クラスがそういう状態になると学力テスト(300点満点)で平均点が20点下がってしまう。授業が聞こえないのだから平均点が下がるのは当たり前だろう。
 こういう生徒の中には親の言うことも聞かないし、先生の言うことも聞かない者がいる。家庭の躾けも崩壊しているのだ。授業をサボることが習慣になってしまうと、戻りたくても戻れない。戻っても授業内容がわからないから、つまらない。これ見よがしに大きな声で私語をはじめる。一クラスに3人いたらそういうクラスで生徒をコントロールできる先生は十人に一人だろう。
 一部に「強い先生」がいても生徒は弱い先生の授業を狙って騒ぐようになる。処置なしである。いったん崩壊してしまうと、元へ戻すのは容易ではない。
 
【提案と交渉】
 さてここまでが前置きである。道教委が再配置計画を言い出した背景には道財政の逼迫がある。
 根室西高は根室高校とは性格の違うユニークな高校である。教育環境や教育内容が違うし、何よりも生徒が違う。そういう異なる環境の中でこそ生まれる人材もいる。2校体制というのは多様な人材を輩出するある種の装置のようなものだ。人口が3万人を切った町にはたような人材がぜひとも必要で、そういう点からも2校体制はなくしたくはないが、かかる費用との兼ね合いをどうするかという問題がある。

 西高校の維持には年間2~3億円程度お金がかかっているのではないだろうか?おおよそ、一人当たり年間60~80万円の範囲だろう。卒業するまでに一人200万円前後かかる。勝手な推計だから、道教委と交渉する際には確かめてもらいたい。
 根室市が根室西高校の維持に年間1~1.5億円、平成26年から5年間生徒数に応じた「2校体制維持負担金」を支出するという提案をしたらどうだろう、道教委や高橋はるみ知事と交渉の余地はないだろうか?教育にはお金がかかっている。いざとなったらそれを地元で負担する覚悟がなくては「2校体制維持」を道に要求できるわけがない。

 補助金さえもらえば、地元負担さえなければなんでも要求するというさもしい根性では、2校体制維持はできない。
 高校維持にはお金がかかっている。それを負担してでも2校体制維持が必要なら、費用の負担を条件に道教委や高橋はるみ知事と交渉すべきだろう。わたしたちは根室市民であると同時に北海道民でもあるから、2校体制の延長期間については応分の費用負担をしたいと思う。

 厳しい財政事情の中でお金を支出するからには、生徒にもそれなりの覚悟が必要だ。授業をサボる、学校の授業についていけない者にお金を掛ける余裕はない。
 成績不振者は放課後補習を義務付け、成績が上がるまでは部活は禁止だ。それくらいの条件はつけるべきだろう。成績判定には市民のボランティアを募り、「判定委員会」をつくって第三者が判断すべきだ。高校を卒業する者にはそれにふさわしい基礎学力をつけさせるというのが高校教育の義務だ。原理原則を明確にして学校運営を行えばいい。お金を出すのだから、市民が学校運営にまで口出しすべきだ。そうした仕組みづくりも前例がない。

 もとより、例のないことだらけだからできない言い訳はいくらでもできる。民間ではこういうときにできない言い訳を並べる者には仕事を任せない。交渉ごとは一方では胆力の問題でもある。相手の腹を読み、妥協可能な案を作ってこちらの言い分を通すのが「交渉」だ。担いうる人材よ出でよ。オール根室の力が問われている。一部に云われる似非「オール根室」ではない。
  駄々をこねる(=陳情)はやさしい、しかし、これは仕事である。前例のない仕事だ。かなりの腕の仕事人でないと、予測外のことが生じた場合に捌ききれない。人口3万人の町の人材力が試されているとも云える。
 
 繰り返すと、生徒数に応じた「2校体制維持負担金」を根室市が道に支出する、学校運営には市民が口出しできるような仕組みを作る、これが私の提案である。あとは根室市が腹を括って道教委や高橋はるみ知事と交渉すればいい。

【財源の裏付け】
 病院事業での年間実質赤字額は11億円を超えた。経営改善推進室という部署を新設したが一向に経営改善ができない。あろうことか市は経営改善を民間業者に委託した。こういうのを「泥縄式」というのだろう。民間へ経営改善業務を委託するならこの部署は要らないはずだ。やってみて失敗だったら、謙虚に反省して廃止すればいい。
 病院事業の赤字を減らす努力をすれば年間2億円くらい高校2校体制を維持するために支出できる。普段の経営努力が大切だ、必要なときにお金を出せる余裕ができる。
 仕事を担いうるに足る能力と経験の持ち主が正直に・誠実に仕事をすれば、経営改善は可能だし、必要な予算は捻出できる。

【小中学校改革のための時間稼ぎと市民の共同作業による教育改革】
 市で負担するのは5年間だけである。その5年間の間に14支庁管内最低の学力である小中学校のテコ入れをすればいい。部活は5時まで、週に2日主要科目である国語・数学・英語の補習体制をとる。授業をサボっていた生徒は別教室に集めて2ヶ月程度毎日放課後補習する。徹底してやればサボっていた生徒も大半授業に戻ることができる。こうしたことができなければ、市の経費を使って5年間1校体制を引き延ばすのは無駄と云うことになるから不退転の決意でやらなければならない。

 地域住民の協力、家庭での躾け、学校の先生たちの努力、教育行政の方針転換などの共同作業になる。こういう共同作業を経験することで、市政への市民参加の堅固な礎ができるだろう。そうすれば、市長に誰がなろうとも根室の町は心配いらない。


【批判と提案】
 わたしは益のない批判のみをするつもりはない。地元の問題に関しては、教育についても病院建て替え問題にしても、批判と同時にささやかながら具体的提案をしている。
 この町に足りないのは人材、そして批判力と提案力ではないだろうか。市政チェック機能を果たすことができず、具体的提案に乏しい市議会がわかりやすい事例の一つだろう。
 そして、北方領土返還運動も批判力と具体的提案力を欠いているように私には映る。何度か現状の返還運動を批判した。戦後六十数年たっても恒例の年中行事(イベント)を消化をするだけ、補助金に関わる運動をするだけ、そういう情けない運動は国民の共感を呼ばない。
 私は以前に国産技術と国産原材料を使った「多核弾頭ミサイルの開発」を武器に、安保理を舞台の領土返還外交交渉を提案した。具体的な極論が問題の本質をあらわにする、その点では成功しているだろう。
 この提案はカテゴリー「北方領土」の中にある。現実的であるかどうかは読者の判断にお任せする、とにかく具体的な提案ではあるので、お読みいただければ幸いである。

 2008年12月30日#465「"Japan sent uranium to U.S. in secret"は北方領土返還運動の好機か?」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-12-30

 2008年6月8日#195「すこし過激な北方領土返還論」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-07


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