SSブログ

#1031 口蹄疫感染拡大は人災か?:政府対策本部設置 May 18, 2010 [B2. トピックス]

 宮崎県に口蹄疫が蔓延している。すでに8万頭も殺処分が決まっている。自衛隊が動き始めているようだが、埋める場所の確保と迅速な処分がなかなか進まないのが実情だ。
 宮崎県は全国的に見ても優良な種牛の最大の供給地だし、隣の鹿児島県は黒豚の有力な産地だから感染拡大が懸念される。鹿児島県まで拡大すると市場への影響も避けられないだろう。食肉の値段が跳ね上がる可能性が出てきた。今後の影響が心配である。

 今朝7時からのNHKラジオニュース解説によれば、さらに15箇所感染拡大し、2.8万頭の殺処分が決まった。これで、合計11.4万頭である。
 その解説によれば、口蹄疫ウィルスは牛よりも豚の方が1000~2000倍もウィルスを吐き出すという。感染した農場で飼われていた家畜8.5万頭の内訳は、牛が8,212頭、豚が77,511頭である。ほぼ1対10の比率だ。テレビでは牛ばかりが取り上げられているが、感染拡大を阻止するには豚への対応がより重要だという

 最初の感染疑い例の確認は4月20日だが、4月9日に口内がただれた疑わしい例が出て、宮崎県は獣医を派遣したが、症状が軽いため「経過観察」としてしまった。事が重大なのだから、このようなイージーな扱いはすべきではなかった。
 宮崎県知事は娯楽版組にもよく出演しているし、東京へも頻繁に来る、全国でテレビへの露出が最も多い知事だろう。だから、県庁舎で仕事をする暇がどれほどあるのかと心配していたが、案の定対応が遅れた。マスコミを集めて大々的に記者会見すればいいものを肝心なときにはさっぱり動かない。東国原宮崎県知事は初期の判断をあやまった。県レベルで現場の検査と知事の初動対応の誤りが第1のミスだろう。
----------------------------------------------

 ようやく、5月29日になって業界団体から抗議声明が出たので追記しておく。
 声明は初動体制のミスに「疫学上あり得ない行為」とまで言っている。浮かれて娯楽番組に出演するために東京へしょっちゅう出かけて知事としての自覚や仕事に手抜きがでているようにみえていた。
5月29日読売オンラインニュースより
全国肉牛事業協同組合、日本養豚協会、みやざき養豚生産者協議会の業界3団体が宮崎県の抗議
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20100530-OYS1T00267.htm

 東国原英夫知事あての文書では、主力級種牛を特例避難させたことや、49頭の一部が発症したことを速やかに国に報告していなかったことを批判。「国に報告しなかったことは、殺処分などの犠牲を強いられた生産者への裏切りで、疫学上あり得ない行為」としている。

 主力級5頭は殺処分対象だが、特例で経過観察している。

----------------------------------------------

 赤松農相も同じだ。驚いたことに、動いたのは海外視察を終えた連休明けである。農相の職にありながら、ことの重大性にまったく気がついていた様子がない。これが第2のミスだ。
 政府はもっと遅い、昨日(5月17日)対策本部を設置した。「政治主導」を声高に叫んでいる政府の対応の遅れ、これが第3のミスだ。8万頭もの殺処分が出てからようやく対策本部とはこの政権の仕事の仕方は一体どうなっているのだろう。

 民主党には30代40代でしっかりした仕事をした者が少ない。そして企業経営経験者がほとんどいない。小選挙区で落選し、比例区で救済当選地元選出の国会議員を例に挙げるまでもないだろう、居並ぶ幹部たちのほとんどがそうだ
 しっかり会社経営の仕事をしていた河村たかしは愛想をつかして名古屋市長におさまっている。
企業経営を経験した者なら、もっとすばやい果断な対応ができただろう。民間企業はこういうときの対応を誤れば、経営破綻がまっているから、待ったなしでの決断と行動が求められる。そういう対応になれていない者たちばかりが集まっている民主党政権の致命的な欠陥であるかもしれない
 だいたい、30代40代でろくな仕事をしてこなかった者が50代や60代になって大きな仕事がやれるはずがない。中には1000人に一人ぐらいはまれな能力をもつ者がいるかもしれないが、それは例外といってよいだろう。
 参議院選挙に向けて、運動で実績を上げた候補やタレント候補を次々に擁立している。仕事の能力は知れている。たんなる数合わせ、小手先の票集めにすぎない。わたしはこれを半ばあきれて眺めている。「末期症状」とでも言うしかない。これだけ失敗を重ねているのに一向に失敗から学ぶ気配がないのはどうしたことだろう。数が何人いようとも仕事をできる人材がいないなら結果は同じことになる。そもそもこの政党には基本的な学習能力がないのだろうか?前回衆院選挙の浮動層の支持者のかなりの部分が離反していくのではないだろうか。何人ものタレントや運動選手の起用、これが第4のミスとならないことを祈るのみ。

 政治主導を言いながら、その政治を主導すべき責任者に仕事の経験がないことが、果断な対策を打てず、いたずらに時間を空費し、対応の遅れとなった遠因をなしているのではないか。
 今回の口蹄疫感染拡大を追ってみると三つの段階で、それぞれの責任者が事態の重大さを認識できなかったばかりでなく、適切な対策が打てなかったことがわかる

①当の県知事が初期対応をあやまった。
②農相も外遊していて、連休明けまでほったらかしだった。
③首相もそのブレーンたちも昨日(5月17日)までまったく動かなかった。

こういう状態を「機能不全」とは言わないか?三段階すべてが1ヶ月間機能しなかった。東国原宮崎県知事を除いては、これが「政治主導」を声高に叫ぶ民主党政権の実態である。仕事の出来る奴がいない
 手をこまねいていた1ヶ月ばかりの間に口蹄疫はどんどん感染拡大をつつけた。原因は単にウィルスの毒性が強かっただけではないだろう。対策の遅れが拡大を不可避にした側面は否めないだろう。

 マスコミもこの重大事をほとんど採り上げなかった。報道姿勢は批判されてしかるべきだろう。このところ狂ったように普天間問題だけが連日採り上げられていた。雪崩をうったようにどの局も普天間一色、報道機関としてのバランス感覚を失っていた。

 わたしのところに5月11日に「宮崎県を中心に感染拡大をしている口蹄疫について」と題するメールが届いている。内容はいいが出所の団体がよくわからない、当初は怪しげな感じがしたが、結果は文面での懸念どうりになってしまっている。差出人名には"pandemic japan"という名前が使われており、どういう団体か不明であるが、その全文(一部のアドレスを削除した)を転載しておく。
 今回の口蹄疫感染拡大は半ば人災だろう。

北海道民の皆様

現在、「口蹄疫(こうていえき)」という家畜の伝染病が、宮崎県を中心に、恐ろしい勢いで感染拡大しています。
この病気に対する対策は、基本的に家畜を殺すしかありません。
5月11日現在、殺消処分の対象となった牛や豚は、既に7万頭を超えています。

人間にはごく稀にしか感染しない病気であり、この伝染病にかかった家畜の肉を食べても安全であると言われています。
しかし、畜産農家に対するダメージは、既に巨大なものとなっており、更に拡大しつつあります。
場合によっては、九州全体の畜産業が壊滅的な打撃を受ける可能性があり、更に本州に感染が拡がる事も十分に警戒しなければなりません。

ですが、この問題は、宮崎県とその周辺以外では、殆ど報道されていません。

農水省が口蹄疫の発生を確認したのは、4月20日です。
しかしそれ以降、現政権は、殆ど何も手を打っていません。
鳩山首相は、5月1日、熊本県に水俣病の慰霊式に出席しましたが、この時既に、口蹄疫による家畜の処分数は8,000頭を超えていたにもかかわらず、宮崎県を訪れる事はありませんでした。

また本問題を直接担当すべき赤松農水大臣については、4月27日に宮崎県の東国原知事が、赤松農水相にこの事を直接、報告したにも関わらず、4月28日に中南米外遊へ出発してしまいました。
訪問先は、キューバ、メキシコ、コロンビアなどで、緊急の課題の無い外遊です。
同農水相は、5月8日まで日本に帰ってきませんでした。

その結果、緊急危機対策は宮崎県に押し付けられる事になりました。
口蹄疫対策の消毒液は全て宮崎県内の町で単独で注文した物、それから、農協の経済連が注文した物、畜産業界が調達した物です。国からは一切の助成がなされていません。

4月28日に自民党谷垣総裁が現地を視察し、4月30日には自民党口蹄疫対策本部が政府に42項目の対策要請を申し入れを行いました。本来与党がすべきことを、野党が対策本部を設置して行なうという、異常な事態になっています。
(5月6日には口蹄疫に関する3回目の追加対策を政府に申し入れ)

口蹄疫は10年前にも発生しましたが、当時の自民党の農水族の一部である畜産議員の対応が素早く、政府は100億円以上の緊急対策費を準備し、「出来る事は、即時、全てやる」という方針で臨んだ為、短期間に伝染が750頭で終息したのみならず、現実に支出された対策費は35億円で済みました。
今回は既に60,000頭を超えており、県の予算330億は既にありません。

このままでは宮崎県のみならず、日本の畜産業は壊滅的な打撃を受ける恐れがあります。
また、口蹄疫は偶蹄類(牛、水牛、山羊、羊、鹿、豚、猪、カモシカなど)やハリネズミ、ゾウなどに空気感染します。動物園などの動物が殺処分される事態も考えられます。そして、野生動物に感染してしまうと最早打つ手がありません。

口蹄疫の大流行による影響は、他にも以下のことが考えられます。
・牛肉・豚肉価格、および乳製品価格(牛乳・バター・チーズ・ヨーグルト等)が上昇します。
・食肉と乳製品の価格上昇により多くの加工食品の値段が上昇します。
・ブランド牛が消滅します。なお、宮崎ブランドで無くても種牛は宮崎にしかいない場合があります。
・国内畜産関係者は事実上廃業に追い込まれます。この保障や大量失業による国家財政の圧迫が懸念されます。
・畜産加工業者や流通なども肉がなくなるため経済的に大打撃を受けます。
・感染拡大を恐れた他国が、日本輸出品の輸入禁止措置を取る可能性があります。
・感染拡大を恐れた他国が、日本人渡航禁止措置を取る可能性があります。
・感染拡大を恐れた他国が、日本への渡航禁止措置を取る可能性があります。(アメリカ・欧州諸国・オーストラリア等、畜産物輸出国家はこの対応を取る可能性が高い)
・これらの処置により、日本は経済的に孤立する可能性があります。


■当メールをお読みの皆様へ

本メールは今回の口蹄疫問題についての危機感を共有する有志により、インターネット上に公開されているアドレスに対して送信されています。
本来であれば、こうした情報を全国に伝えるのはマスメディアの役割のはずですが、明らかに現政権の失策であるこの問題について、情報統制が敷かれているらしく、主要メディアはほとんど報道していません。
しかし既に海外のメディアはこのことを取り上げています。

報道されない理由については、ネット上でも様々な憶測が流れていますが、このまま放置しておけば、上記の通り最悪の事態を迎えることは明らかです。
そこで、出来る範囲でよろしいですので、以下のことをお願いします。

1.本問題をご家族・友人・職場等の周りの方、特に畜産業に関わる方などに伝えてください。
 なお、周知の際は畜産業への風評被害を防ぐため、「口蹄疫」と言う病気が牛肉や豚肉を食べたり、牛乳を飲んだりしても人間が感染する事はないことを、念を押してお伝え下さい。

2.農林水産省及び赤松広隆農水相に早急に対応するよう要請してください。
 農林水産省問い合わせ窓口
 
https://www.contact.maff.go.jp/voice/sogo.html

なお、口蹄疫問題については以下のサイトにまとめられています。
http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/1196.html

以上です、長文失礼しました。
何卒よろしくお願いします。

 責任論を言っても詮がない。鳩山首相や赤松農相は、言い訳はほどほどにして、全力でこれ以上の感染拡大を防いでもらいたい。時間が経てば経つほど対策は困難さを増す。がんばれ、仕事の出来ない民主党。
 ・・・前回衆院選挙で応援したことをちょっぴり後悔している愚か者、浮動層支持者の一人より。



* 
当初からの経緯がわかる毎日新聞ニュース記事のURLを貼り付けておく。
 「口蹄疫3月には感染 宮崎1市4町に拡大 初動遅れ政府に不満」
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100518ddm001040003000c.html


nice!(1)  コメント(6)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 6

クラブナビ

私もネット掲示板に書込みされたものを見ました.もう手遅れだ.早く対策しないとたいへんなことになる,という内容でした.

対策を訴える地元のパワーが感じられます.九州の方々はとにかく積極性が強い.じっとしていられない気性が各界で活躍する源になるのでしょうね.

報道も一部規制され,県検査の見逃しも伏された.
今回の被害拡張は,いつものことですが人災ですね.人災よりも政災の方が正しいかな.
豚に罪はなく,士魂豚才が必要です.
by クラブナビ (2010-05-18 09:41) 

サリー

クラブナビさんのおっしゃるように、まさしく『政災』だと思います。
この問題は、報道ではなく、地元の畜産関係者の方から聞いて知りました。
テレビのニュースはどのチャンネルも基地移設問題と民主党バッシングの話題一色でしたからね。
関係者らは、迅速な対処で宮崎県内で抑えないと、北海道まで広がる恐れもあると心配してました。
もし、野生の鹿に感染したら、と思うとゾッとします。

日本の幼稚な政治スタイルと真実が見えない報道には、もう うんざりです。
タレント議員も もうけっこう。(怒)

鹿児島の黒豚と宮崎牛ファンとしては、辛い事件です。


by サリー (2010-05-18 16:04) 

NO NAME

サリー様,こちらまでお越しとは・・・
菊や鶴がタブーと言われますが,お金をくれるスポンサーには弱いのが放送業界です.沈黙するマスコ民,ですよ.最近はマスゴミとも言われます.
嫌な客でもイケメン客だとつい甘くなってしまう心理(?)と似ているかな(ん?例えになっていないか?!)
by NO NAME (2010-05-18 20:06) 

ebisu

サリーさん、地元の畜産関係者が心配していましたか。
九州の口蹄疫がこちらまで飛び火しないように宮崎県で頑張ってほしいですね。
どこまで広がり、そしていつ・どこで収まるのか、根釧の酪農家はしばらく目が離せませんね。

クラブナビさん、「政災」、新語ですね、ぴったりかも。
士魂豚才?こっちはなんじゃらほい、笑ってしまいました。
豚が前掛けをかけて、小さなメガネを顔にのせ、「いらっしゃいませ」という姿を想像してしまいました。

NO NAMEさん、スポンサーの言いなりにならない局が一つくらいあったら楽しいですね。
by ebisu (2010-05-18 22:51) 

こっち

この出来事がこんなに大事であると、恥ずかしながらはじめて知りました。
ただでさえ輸入畜産物に押されている中で、今後も安定して国産品が手に入るのか、本当に心配です。
できることは、引き続き国産品を積極的に選択して購入し、応援することですね。
脱メタボに積極的に取り組み始め、野菜中心の食生活を目指していたのですが、国産の肉ももう少し食べなくてはいけないかな。
by こっち (2010-05-19 16:38) 

ebisu

こっちさん、お久しぶりでした。
少し痩せましたか?
え、野菜中心の食生活は目指しただけですか。
スタミナも必要なお仕事ですからね。


お陰様で元気にやっております。
毎日、新鮮な根室の魚と玄米を食べていますが、たまに女房にヒレカツを揚げてもらって食べています。
国産牛と国産豚、私は少量しか食べませんが、騒ぎが収まったら、少々高くても国産製品を食べて、ささやかながら農家の応援をしようと思います。気は心・・・ですよね。

感謝です。 m(_ _)m
by ebisu (2010-05-19 22:39) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0