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#1023 市政改革:北海道「福島町まちづくり基本条例」 May 8, 2010 [B7. 政治に求めるもの]

 クラブナビさんが、5月3日付けの朝日新聞社説を紹介してくれた。人口減少と財政悪化に悩む北海道福島町が、住民自治に関するユニークな条例を制定したというのである。

 社説から一部のみ抜粋して紹介する。全文を引用するのは著作権上の問題があるので20%以下の引用にとどめざるをえない。末尾にURLを書いておくので、クリックして全文を読まれたい。

「北海道福島町は津軽海峡に面した5千人余りの町だ。推計では、2035年には2千人余りに減る。 その町議会に、全国から視察が絶えない。積み重ねた議会改革と、その末にまとめた「憲法」、議会基本条例を学びにくるのだ。」

とりわけ、意を用いているのは、議会への広範な町民参加だ。財政は厳しい。何を我慢し、どこに集中投資するか。町民とともに議論しないと納得が得られないからだ

 12人の全議員が加わる委員会を設け、「子育て支援」などテーマごとに町民の声を聞く陳情が来れば、政策提言として議会で説明してもらう議会の傍聴者にも討議への参加を認める。選挙での「支持者」とは違う声がそこに集まる。」  

 福島町の「まちづくり基本条例」を貼りつけようと該当頁へジャンプしてみたが、ファイルを開けない。アクロバットリーダーになにか不都合があるようだ。数日前には開けたから、わたしのパソコンに問題があるのかもしれない。面白い条例なので下記のURLをクリックしてファイルを開いて読んでほしい。(ファイルが開けないのは福島町のホームページが載っているサーバーの不具合の可能性もある。ファイルが開けるようになったら、条例本文を貼り付けます)

  「まちづくり基本条例(全文)」
 http://www.town.fukushima.hokkaido.jp/machidukurijyourei/machi-kihonjyourei.pdf
  http://www.town.fukushima.hokkaido.jp/machidukurijyourei/machijourei-top.html
 *「福島町まちづくり基本条例(解説書)」
  「福島町まちづくり推進会議条例」
  「福島町みんなで考える提案に関する要綱」

*朝日新聞5月3日社説記事
 
http://www.asahi.com/paper/editorial20100503.html


5/9 午後4時追記(ファイルが開けるようになったので全文掲載する)

福島町まちづくり基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条-第3条)
第2章 町民の参画及び協働(第4条-第11条)
第3章 議会(第12条・第13条)
第4章 町長等(第14条-第17条)
第5章 町政運営(第18条-第23条)
第6章 情報共有(第24条-第28条)
第7章 連携(第29条・第30条)
第8章 条例の位置付け等(第31条-第33条)
前文
わたしたちのまち福島町は、北海道漁業のさきがけとして拓かれた津軽海峡(うみ)と大千軒岳がそびえ立つ四季折々の自然に恵まれたまちです。
わたしたちは、先人から受け継いだ豊かな自然や産業、培われてきた歴史と文化を誇りとして未来を担う子どもたちへと引き継ぎ、今まで以上に「住んでいてよかった」、「これからも住み続けたい」と思えるまちづくりをめざします
ここに、わたしたちは町民憲章の持つ精神に立ってまちづくりを進めていくことを誓い、町民、議会、行政がそれぞれの役割を自覚し、世代を越えて互いに力を合わせ自らの創意工夫により住民自治を確立するために、この条例を制定します
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、福島町のまちづくりに関する基本的事項を定めるとともに、町民の権利と責務及び議会と行政の役割と責務を明らかにし、町民自らがまちづくりに参画し協働することによって住民自治の実現を図ることを目的とします
(用語の意味)
第2条 この条例で使われている用語の意味は、次のとおりとします。
(1)町民 町内に居住する人、町内で働く人、町内で学ぶ人、町内で活動を行う団体及び町内の企業市民をいいます。
(2)町 執行機関及び議会をいいます。
(3)まちづくり 前文に掲げた理念に基づき、「住んでいてよかった、これからも住み続けたいと思うまち」を実現することをいいます。
(まちづくりの目標)
第3条 わたしたち町民は、町民憲章を基に、次のとおりまちづくりの目標を定めます。
(1)健康で、たがいに尊重し、楽しい家庭をつくります。
(2)きまりを守り、助け合い、明るいまちをつくります。
(3)自然を愛し、環境をととのえ、美しいまちをつくります。
(4)知性を高め、文化を育て、学びあうまちをつくります。
(5)生産の工夫をし、元気に働き、豊かなまちをつくります。
第2章 町民の参画及び協働
(町民の役割と基本姿勢)
第4条 町民は、まちづくりの主体として、自ら考え行動し、住みよい地域づくりに努めます
町民は、まちづくりの主体であることを認識し、総合的な視点に立ち、まちづくりの活動において自らの発言と行動に責任を持つように努めます
町民は、お互いを尊重し合い、協力し合うとともに、町との連携協力によるまち
づくりを推進するように努めます

(町民の権利)
第5条 町民は、町の保有する情報について知る権利を有するとともに、自主的な活動に取り組み、かつ、町政に参加する権利を有します
町民は、まちづくり活動への参加又は不参加を理由として不利益な扱いを受けま
せん

(満20歳未満の町民の権利)
第6条 満20歳未満の青少年及び子どもは、次世代の担い手として、それぞれの年
齢にふさわしいまちづくりに参加する権利を有します

(参画及び協働)
第7条 町民は、まちづくりや町の重要な施策及び計画の策定に関する提言又は提案を行うことができます
2 町民と町は、協働のまちづくりを推進するに当たっては、目的意識の共有に努めます。
(参画機会の保障)
第8条 町は、町政の基本的な事項を定める計画や条例の立案等の検討過程において、広く町民が参画する機会を保障し、協働のまちづくりを積極的に推進します
(委員の公募)
第9条 執行機関は、審議会等の委員の選任に当たっては、公募の委員を加えるように努めます。
(パブリック・コメント-町民の意見表明-)

第10条 町は、町民生活に重要な計画等の策定に当たり、町民の意見を反映させるため、案の内容等を公表し、町民の意見を聞くとともに、提出された町民の意見に対する町の考え方を公表します
(コミュニティ活動の推進)
第11条 町は、まちづくりに自主的、自立的に取り組んでいる町民のコミュニティが自治の推進に大きな役割を果たすことを認識し、その活動を尊重します。
町は、コミュニティの自主性、自立性に配慮しながら、コミュニティ活動の推進に必要な地域情報の提供その他の支援に努めます
町民は、コミュニティの活動を推進していくため、互いに情報提供を行い、活動に参加するように努めます
第3章 議会
(議会の役割と責務)
第12条 議会は、町民の代表機関であることを自覚し、民意の把握、さらには、議
会への町民参加を推進し、町民に分かりやすい、開かれた議会をめざします

議会は、議員相互の自由討議により議論を尽くし、議決に当たっては意思決定の過程及びその妥当性を町民に明らかにします
議会は、豊かなまちづくりの実現をめざし、町民が実感できる政策の提言・提案に努めます
4 第1項から前項までに規定するもののほか、本条に関し必要な事項は、福島町議会基本条例(平成21年福島町条例13号)に定めるところによります。
(議員の責務)
第13条 議員は、この条例の理念を遵守し、町民の信託に対する自らの責任を誠実に果たします。
第4章 町長等
(町長の責務)
第14条 町長は、町民の信託にこたえるために、公正かつ誠実に町政の執行に当たり、町民に対する自らの政治責任を果たします。
2 町長は、この条例の理念を実現するために、全力を挙げてまちづくりの推進に努めます。
(就任時の宣誓)
第15条 町長は、就任に当たっては、日本国憲法により保障された地方自治の一層の充実をめざし、この条例の理念を実現するために、福島町の代表者として公正かつ誠実に職務を遂行することを宣誓します。
2 前項の規定は、副町長及び教育長の就任について準用します。
(執行機関の責務)
第16条 執行機関は、その権限と責任において、公正かつ誠実に事務の執行に当たります。
2 執行機関は、町民の意思を反映するまちづくりを進めるため、情報の共有と町民参加を図り、連携協力して事務の執行に努めます。
(町職員の責務)
第17条 町職員は、常に町民が主権者であることを認識し、全体の奉仕者として、この条例の理念を実現するために、全力を挙げてまちづくりの推進に努めます
町職員は、まちづくりに必要な知識の取得、技能の向上に努めます
町職員は、自らも地域の一員であることを自覚して、町民の信頼の獲得に努めます
第5章 町政運営
(総合計画)
第18条 町は、この条例の目的及び目標に基づくまちづくりの具体化のため、基本構想、基本計画及び実施計画から構成される総合計画(以下「総合計画」という。)を策定します
2 総合計画は、社会経済状況の変化及び新たな行政需要に対応できるよう常に検討を加え柔軟に見直しを行います。
町長は、総合計画に基づく事業の進行状況を管理し、その状況を公表します
(財政運営)
第19条 執行機関は、総合計画、行政改革に関する計画及び行政評価を踏まえた財政計画を策定し、健全で持続可能な財政運営を行うとともに、財政状況を分かりやすく公表します
(行政改革・行政評価)
第20条 執行機関は、行政運営のあり方を見直すため行政改革に関する計画を策定し、行政改革を進めます。
2 執行機関は、行政活動を点検し改善を図るため行政評価を行い、効率的かつ効果的な行政運営に努めます。
(組織・機構)
第21条 町の組織は、町民に分かりやすく機能的なものであると同時に、相互の連携が保たれるよう柔軟に編成し、円滑な行政運営を進めます。
(災害などへの対処)
第22条 町は、災害などの不測の事態から町民の生命と財産、生活の安全を守るように努めます。
2 町民は、自ら災害などに備え、緊急時には地域で相互に助け合います。
(住民投票)
第23条 町は、まちづくりに関する重要な課題について、直接、町民の意思を確認するため、住民投票を実施することができます。
2 前項の住民投票の実施に関し必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に条例で定めます。
3 町民及び町長と議会は、住民投票の結果を尊重します。
第6章 情報共有
(情報共有の原則)
第24条 町民と町は、まちづくりの目標を実現するために必要な情報を共有します。
(情報提供)
第25条 町は、福島町情報公開条例(平成12年福島町条例第1号)で定めるところにより、町民に対し町の保有する情報を公開するとともに、分かりやすく提供します。
2 町は、まちづくりに関する情報を収集し、速やかに提供できるよう整理、保存に努めます。
(説明責任)
第26条 町は、施策の立案から実施、評価に至るまで、その経過や内容、目標の達成状況等を町民に分かりやすく説明します。
(応答責任)
第27条 町は、町民のまちづくりに関する意見及び要望、苦情に対し迅速かつ誠実に応答します
(個人情報の保護)
第28条 町は、個人の権利及び利益が侵害されることのないように、福島町個人情報保護条例(平成12年福島町条例第2号)で定めるところにより、町の保有する個人情報を保護します。
第7章 連携
(様々な人たちとの交流)
第29条 町民及び町は、様々な活動や交流を通じて、福島町出身者をはじめとした町外の人々の知恵や意見をまちづくりに活用するように努めます。
(広域的な連携)
第30条 町は、近隣自治体との広域連携や国、北海道、その他の機関と連携を図りながら、まちづくりを推進します。
第8章 条例の位置付け等
(この条例の位置付け)
第31条 この条例は、まちづくりの基本原則であり、町民及び町は、この条例の趣旨を最大限に尊重してまちづくりを進めます。
2 町は、他の条例、規則等の制定改廃に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重します。
(まちづくり推進会議の設置)
第32条 町長の附属機関として、福島町まちづくり推進会議(以下「推進会議」という。)を設置します。
2 前項の推進会議に必要な事項は、別に条例で定めます。
(条例の検討及び見直し)
第33条 町は、この条例の内容について、施行後4年を超えない期間ごとに検討を加え、その結果に基づいて見直しを行います。
附 則
この条例は、平成21年4月1日から施行します。


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コメント 2

打倒自治労

今、福島町役場に電話して聞いてみました。町民が広く定義されているまま(居住するもの、在勤、在学、活動するもの、外国人含む)「議会は、町民の代表機関である・・」「町長は、町民の信託に答えるため、・・」「町職員は、常に町民が主権者であることを認識し・・・」 上記文脈の町民は、普通 憲法上は日本国民たる住民のことをさすと思いますが、憲法に抵触した内容になるとか、何か問題なかったのですか?の質問に対し、「いや~、特に議論にはならなかったですね、外国人も12人しかいませんし、今のところ問題おきていません。」。。。。愕然といたしました。こうして、地方から主権が侵害されていく。。。。
by 打倒自治労 (2011-02-09 13:43) 

ebisu

打倒自治労さんへ

まちづくり基本条例の町民の定義に外国人を含めることは憲法に抵触しないと私は思いますが・・・

選挙権は別ですよ。わたしは日本国民でないものに国政も地方政治にも選挙権を付与する必要はないと思っています。憲法が保障している選挙権は日本国民が対象ですから。

まつづくりにはそこに居住し、税金を支払っている人なら参加を認めるべきだと思います。当然、町民(地域住民)の一人でしょう?
たとえば、町内会に外国人が入ったってかまわない。そこに住み、所定の町内会費を支払い、何らかの役割りをになっていれば、立派な町内会員であり、すなわり、町民でもあると思います。

繰り返しますが、日本国民でないものに国政や地方政治の選挙権を付与する必要はないと考えます。
それが欲しければ、日本国籍を取得すべきです。
当たり前のことではないでしょうか?
by ebisu (2011-02-09 22:21) 

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