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#1012 病床数135に圧縮:市立根室病院建て替え-085. Apr. 27, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

【にわかに議題変更あり、なぜ?】
 病院建設特別委員会が26日に開かれた。
 市側は17日の振興局への起債申請で指導を受けた。情報を伏せておいて、市長は26日になって明日の27日までに起債申請書類の再提出が求められていることを話し、委員会の了承を求めた。3月26日に受け取った基本設計についてもその一部を見せたのみ。市民はもとより、市議にすら審議の時間を与えない。
 これでは特別委の存在意義がない。委員長は突然の計画変更を了承せず審議をストップすべきだった。詳しい状況は本田議員のブログをみられたい。

【根室はこれで療養病床をもてなくなる】
 ベッド数は135に削減された。現行199に比べて64減である。これで将来療養病床の確保はほぼ不可能となった。療養病床へのニーズは現在でも200ベッドある。20や30ベッド転換しても焼け石に水だ。10年後には現在7700人の老人人口は1万人を超えるだろう。中標津ですら現在医師会病院が療養病床120床を維持しているが、根室は10年たっても療養病床がゼロかもしれない。急性期医療が終わっても転院する療養病床が市内にひとつもない。看護師や医師は患者にどのように退院や、その後の治療を説明するのだろうか?急性期治療の終わった患者は転院先がない。釧路へ行けということだろう。それなら急性期から釧路の病院で治療をと考えるのは当然だろう。
 市長も病院事務長も建て替え後の新病院へ「患者を呼び戻す」努力をすると言い、計画にも入院患者や外来患者の大幅な増大を見込んでいるのではなかったのか。実に杜撰な結論である。

【病院事務局の計画はひどく杜撰:実質赤字が計画比4~6億円(/年)も増える】
 実質赤字が6億円に減少するという現実離れした計画をたてている。現在でも年間5億円から7.5億円の一般会計繰出金での赤字補填計画が決算では12.2億円になっている。この2年間医者が増えても赤字は増大しているし、10億円を下回ったことはない。経営改善を声高に叫び、担当課長を置いていながら、経営改善はまったくなされない。経営能力がないせいなら、今後も経営改善はないだろう。医師数が増えているのに赤字の幅が年々拡大しているのが実態である。

【ありえない前提の計画:派遣医師の引き揚げと看護師の大量退職が予定されているが対策なし】
 このままでは年間16~20億円の赤字が出る。ベッド稼働率はありえない80%で売上計画を立てている。外来患者も現状よりも10%大きく見積もっている。道からの派遣医4名の契約が再来年から切れるし、本田市議のブログによれば看護師さんの定年退職が3年間で18名あり、補充が追いつかなければ病棟維持も難しい情況にある。
 現実は計画とは大違いだ。毎年、予算と決算で実質赤字額が4億円から6億円も乖離している。この5年間4億円以下の誤差のことなど一度もない。つまり病院事務局の計画はすべて希望的観測の積み上げで、辻褄併せだ。
 道や国の起債審査が書類審査の形式審査のみなら病院は建て替え後3年間で財政調整基金を使い果たしてしまう。

【システム開発費は民間の10倍以上の巨費、杜撰な開発費予算】
 法外なシステム開発費は計画から外された。ニホロ移転案のときに5億円だった。前倒しで2億円のオーダリングシステムを導入したのに、なぜか総事業費の中に5億円のまま維持されていた。本来なら3億円のはずだ。これほど杜撰な総事業費もないだろう。この一点だけでも好い加減さがわかる。
 そして売上わずか25億円前後の事業に7億円ものシステム開発費は、途方もない無駄遣いである。80年代後半に売上高300億円のある企業が東証Ⅱ部に上場するために支払ったシステム開発費は5億円だったが、幹事証券会社は2部上場でこれほどシステム開発費を投じた会社はないと言い切っていた。それが売上25億円の事業が7億円のシステム開発費である、16倍もの巨費を投じて何の疑問ももたないのは金銭感覚が麻痺しているとしか言いようがない。
 これほど好い加減な計画もない、計画はゼロベースで見直すべきだ。

【市の財政破綻の危険】
 財政課は「いますぐ倒れる状況ではない」というが、10年のスパンで見れば病院建て替えによって市財政が破綻する危険性を否定できないだろう。看護師18名の定年退職や4名の派遣医師引き揚げが予定どおりなされれば、年間赤字の最大値は23億円にもなる。最悪のシミュレーションをして、対策を用意しておくべきだ。病院事務局の作成する予算は、つねにこうあってほしいという希望的観測の寄せ集めにすぎない。コンテンジェンシープランを用意し公表するべきだ。それは財務課にもいえる。病院事業の赤字が年間23億円出たときに市財政破綻回避にどのような具体策を用意できるのか、市民に明らかにすべきだ。それも財務課の重要な仕事だ。手立てがないなら、いま病院建て替え計画をストップして、コンサルタントの言うとおり30億円での建て替えプランを作るべきだ。

 このまま進めれば、10年を待たずして根室市は財政破綻することになるだろう。そのときは、大きな病院建物が残り、病院は診療所に、小中学校はそれぞれ各2校に統廃合され、市役所職員は半分リストラ、残った人は給与3割減、人口は10年後2.3万人に激減など、たいへんな苦労が待っている。

 4月27日付北海道新聞根室地域版より
(インターネットの道新ニュースには地域版が載らないので、トラックバックできない)
 病床数135床に圧縮
 市議会特別委「観察室」を増床
【根室】市は26日の市議会市立病院建設特別委員会で、建て替え後の新病院について、病床数を135に減らす方針を説明し、了承された。長谷川俊輔市長は理由として、建て替え財源の起債発行(借金)をめぐる道との競技で、道から実際の患者数に見合った経営計画を立てるように助言されていることを明らかにした。(幸坂浩)
 病院事務局によると、病床を当初計画より15床減らす代わりに、許可病床外で、看護師の観察が必要な手術後の患者や救急患者が利用する観察室を計画費4床増の10床とする。長谷川市長は「観察室の増床を条件に、病床を削減することになった」と説明した。
 病床数を算定する基本となる1日あたりの入院患者数に関しては、事務局が2010~17年度の収支試算の中で、105.3~110.9人になると説明。3月に示した試算の中間報告の111.6人を下方修正した。「09年度実績の97.1人を基に医師数増を加味して試算した」という。
 その結果、同期間の病院事業会計の赤字に伴う一般会計からの繰入額は年8億8800万~11億900万円となり、最大で12億2800万円としていた中間報告より改善した。
 また、市財政課が、病院事業会計への繰り出しを含めた一般会計の収支試算を報告。11~14年度には、最大で年4億4200万円の財源不足が発生する者の、各種基金を取り崩すことで対応でき、14年度末でも基金の残額は7億400万円を見込めるとした。
 質疑では、橋本竜一氏(共産党)が09年度に当初予算より4億円も繰出金が増えたことを指摘。今後も想定以上に繰出金が膨らんだ場合の対応をただしたのに対し、財政課は「今すぐ(一般会計が)倒れる状況にはない」と理解を求めた。
 市は27日、この収支計画に基づき、道と起債について協議する。耐え変えの総事業費は役62億円で、国の交付金は約22億円。市は現時点で、30億2100万円の起債を申請する。
 一方、建て替えの基本設計の報告された。免震構造の鉄筋コンクリート造り地下1階、地上4階建て延べ1万3500㎡で現病院の裏側にある駐車場に建設し、現病院後に駐車場を造る。市は既に実施設計に着手しており、来年2月の着工を目指す。

*本田市議の4月26日付ブログへジャンプ
 http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/04/post-19f8.html


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