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成長戦略とスーパーグリッド構想:戦略構想と仕事の指し立てを担う人材の不在 #901 Feb.10, 2010 [91.経済]

 朝のラジオをベッドの中で聴いていた。テレビでおなじみの慶応大学の金子勝が「スーパーグリッド構想」を説明していた。
「気がついたときには日本は最後尾を走っていることになる、民主党は何をしている。」

 半分寝ながら聞いていたので数字はうろ覚えなのでそういうつもりで読んでほしい。彼の説明はこうだ。休耕田で復田できないところにソーラパネルを設置すれば、日本の電力の28%をまかなえるというのだ。そのほかに農業用水路を利用した小水力発電を大々的に設置するなど、自然エネルギー利用を国家戦略として進めるべきだというのである。
 彼の試算によれば90年度比で二酸化炭素30%削減も可能だという。ヨーロッパのスーパーグリッド計画、米国のスマートグリッド計画など国家戦略として先進国はスタートを切っているのに日本だけが出遅れている。

 今は部分的にしかやっていない余剰電力買取を、電力会社に全量買取を義務付け、その分のコストアップは電気料金に上乗せする。ソーラパネルや小型水力発電は一度設置すると売電によって収入増が期待できるから地域活性化になるという。休耕田や小型水力発電は過疎地に大々的に設置することになるから、過疎地の恒常的な収入になりうる。

 スーパーグリッドは二つの主要な要素で構成される。ひとつは送電ロスを小さくするため超低温での送電網を整備である。もうひとつは余剰電力で液体水素をつくり貯蔵し火力発電に利用する。そういう送電網と貯蔵(倉庫機能)の二つで構成される。

 経済学者金子勝の試算がおおよそ正しいとして、それを実施計画に移すには、実証実験が必要だ。休耕田にソーラパネルを設置して雑草や木による影響や手入れの仕方など回収電力量や維持管理のデータを2年間全国100箇所以上でとる必要があるだろう。小型水力発電にしてもさまざまなものが出ているから、大規模にやるまえに比較実証実験が必要だ。

 民主党政権は菅直人の国家戦略室が開店休業状態を続けた後、財務大臣へ転出、ついで行政刷新会議担当大臣の仙石氏へ兼務でバトンタッチが行われた。鳩山首相は昨日、枝野氏に行政刷新会議担当大臣就任を命じ、仙石大臣を国家戦略室に専念させることを決定した。迷走しっぱなしだ。人を変えても、なぜ前任者ができなかったのかを総括しなければまた同じ愚を繰り返し兼ねない。

 仕事は「指し立て」が7割だ。菅直人はそういう経験がなかった。仙石氏にはあるのだろうか?国家戦略相は日本の将来をデザインする重職である。任に堪える能力があることを祈りたい。
 
 翻ってわが町の病院問題も、北方領土返還運動も、長期の構想を練る人材が不在な上に、仕事の指し立てをできる人材がいない、この「2重の不在」が病院建て替えの迷走と60年間の返還運動停滞の真因であるやも知れない。民主党には国家戦略を担う人材がいないのかもしれない、少なくとも菅直人氏は失格だった。根室も他人事ではない。

 さて、ここまで書いてふと疑問がわいてしまった。経済成長は必要なのだろうかという疑問である。極論がその答えにヒントをくれる。人口13億人の中国が、人口12億人のインドがそれぞれ経済成長を果たす。全世界の発展途上国が経済発展を成し遂げ、先進国もそれなりに経済発展する。
 有限な地球上でそのようなことが可能なのだろうか?価値観の転換、パラダイム・シフトが必要な限界に人類が到達してしまったように思えてならない。
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