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被弾の羅臼漁船2隻、隠蔽工作 #890 Feb.3, 2010 [21. 北方領土]

 位置確認の機器であるVMSが4時間止まっていたことと、航跡を記録しているGPSのデータが廃棄されていたことが海保の調査で判明した。被弾の後を隠すなど、船長らの挙動も不審だった。
 これらの事実を併せ考えると、ラインを越えて密漁していたと推測していいのだろう。密漁をやっているのはこれら2隻だけではないと考えるのが大方の判断だ。根室湾中組合長のカニ密漁・銃撃事件もあった。いま羅臼組合参加の船長たちが集まって相談しているという。

 国後島の返還が実現していたらこの事件はどうなるのだろう。
 国後島の漁師の漁業権の水域で羅臼や根室の一部の漁師が密漁していることになる。他人の漁場に入って魚を獲るのは泥棒行為だ。組合間の大問題になるから、島が帰ってきたらこのような密漁はできない相談だ。

 つまり、根室管内の漁師は国後島が返還されない限り、大手を振って密漁し、所得を大幅に増やすことができる。ロシアが日本側に密漁取締りを再三要求してきている背景にはこのような実態があるのだろう。40年前の最盛期にはカニの密漁が年間100億円(話半分でも50億円か?)あったとも言われ、根室の町が活況を呈する中で資源は枯渇していった。

 自分の利益のためなら密漁ぐらいは当たり前と考えている漁師が一部だがいる。危険もあるからルールを守っている正直者の漁師ももちろんたくさんいる。もともと漁師は海の男だから、多少の危険は「想定内」で越境くらいは度胸だめし。昔は拿捕される船が多かった。越境は半ば常識化していた時代がある。敗戦までは自分たちの海だったのだから、終戦後しばらくの間は越境・密漁は当然という意識が海の男たちの中にあったことは否めない。好い加減さもほどほどならひとつの味だ。

 戦後60年も経ってしまえば、北方領土がロシア領になっていることで旨味のある者たちが少なからず存在し、そういう不心得者を含めて各地の漁業組合長が選ばれている。漁業の町で漁業組合長職は町の「名士」である。
 北方領土の見える町々の政治にそういう者たちが影響力を保ち続けている。根室管内の漁師町が衰退する理由がわかろうというものだ。北方領土返還運動が盛り上がらないのは一部の地元漁師たちの現実の利害と反するからだろう。島が帰ってくれば、前浜の漁業権は島に住む者たちのものだ。
 3年前のカニ籠漁船銃撃事件と2度、隠蔽工作や虚偽の言い訳など子どもたちへの教育上も悪い。
 昔の密漁は危険を覚悟の冒険の色がついていたが、時代は流れて密漁には犯罪の臭いがするようになった。やっている者たちも悪いことをしているという意識があるから、隠蔽工作までするのだろう。昭和30年代なら密漁をして銃撃をされ無事に帰ってきたら勇気を称えられ勲章ものだっただろう。時の移り変わりを感じる。

 事件後直ちにロシアに厳重抗議を申し入れた高橋はるみ北海道知事は大恥をかいたことになる。
 羅臼には同級生を含めて高校同期の漁師が二人いる。ふと高校時代のなつかしい顔が浮かんだ。


道新ニュースより

被弾の羅臼漁船2隻 位置記録が4時間半空白 安全水域外操業か (02/02 16:17)

 【羅臼】北方領土・国後島沖で根室管内羅臼漁協所属の漁船2隻がロシアの国境警備隊に銃撃された問題で、銃撃のあった1月29日当時の2隻の衛星通信漁船管理システム(VMS)の記録の空白時間が4時間半に及び、これとは別に航跡を示す衛星利用測位システム(GPS)の記録も船内に残されていなかったことが2日までに、第1管区海上保安本部の調べで分かった。1管本部は安全操業水域外で操業していた可能性もあるとの見方を強め、銃撃された第58孝丸(たかまる)と第63清美丸(きよみまる)(ともに19トン)の船長や船員から引き続き任意で事情を聴いている。


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