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#882 数のトレーニング(2)そろばんと補数  Jan.27, 2010 [62. 授業風景]

 続きを書きたくなったので、(2)を書こうと思う。

 小学校低学年のお子さんのいる家庭は、子どもに補数トレーニングをしてほしい。補数とは足して10になる数と考えればいい。1の補数は9、2の補数は8、3の補数は7である。繰り上がり、繰り下がりに補数がぱっと頭に浮かぶ子は計算反応がいい。

 生徒を観察していると、計算の不得手な子は繰り上げ、繰り下げが計算に含まれているとそこで固まってしまう。中学生でも10%くらいはいるようだから、予防のために小学生の1、2年生のうちにテレビを消して10分、20分、しばらくの間子どもと遊んでほしい。

 たとえば、13-7は13-(3+4)⇒(13-3)-4となる。まず13から3を引いて10が残る。今度は10から4を引くのだから答えは4の補数の6だ。

  そろばんを使うとどうなるか?13-7は13から10を引くと同時に補数の4を加える。十のくらいの玉をひとつ下げて、五玉を下げて一玉をひとつ上げる。4を加える操作はをそろばんでは五玉を下げて一玉をひとつ下ろす。5を足して1を引くという操作をやるわけだ。
 減算が補数の加算に変わる。だから、足し算よりも引き算が苦手ということはなくなる。加算は補数の減算に、減算は補数の加算に化ける。そろばんではこうした計算が視覚的に理解できるのと、指の技と頭が連動するから、計算が途中でフリーズすることがない。

 ランダムに数字を書いて読み上げ、補数を言わせよう。一分間に何個できるか時間を測る。乱数を作るのが面倒なら円周率表をインターネットで検索して利用するのもいい。
 やったらけっこう楽しいはずだ。

 できれば1~2年間ほど小学校低学年でそろばんを習わせてほしい。基礎計算力のトレーニングには最高のツールだろう。そろばん玉を動かすと、補数の関係が玉の動きでわかる。この年齢の頃やれば、頭の中にそろばんをイメージして動かすことができるようになりやすい。「暗算」である。

 高校数学には四則演算が高速で精確にできるほど有利である。とくに定積分は四則演算のかたまりだ。三角関数でもベクトルでも二次関数でも四則演算が精確で速い方が時間を制限されている試験では有利だ。数字に関する感覚はセンスもあるようだが、トレーニングで磨くこともできる。高校数学なら、珠算3段~4段でセンスがよければ、定期テストは与えられた半分の時間で処理できる。時間の余裕ができるので、難問が出題されても他の問題は高速で処理しておいて、たっぷり時間をかけられるから断然有利である。

 頭の中にそろばんをイメージできるようになれば、社会人となってから有利な特殊技能となる。どんな大きな会社でも頭から3桁の有効数字で加減算ができれば十分な計算精度が確保できる。頭の中で瞬時にシミュレーションし、假説検証のための計算を頭の中でできるようになる。とくに経営改善の假説検証計算に威力がある。コンピュータで大規模なモデルを使わないと計算できないようなことが概数計算を暗算で繰り返すことでどのくらいの範囲に落ち着くのか確認できる。精度は高い。
 わたしは売上高が30億円の会社で予算と長期計画の統括をしていたときも、300億円の会社で予算編成や予算管理の統括をしていたときも、3桁の暗算でいつもシュミレーションしていた。だから、どこかで予算外が生じると利益にどれくらい影響するのか、またどこに手を入れたら元の利益を確保できるのか、すぐに検討がついた。こういう「暗算でのシュミレーション遊び」をしていると利益を増やす方法もみつかる。

 小学校1,2年生が鍵だ。親が自分の子供にちょっとの間係るだけで子どもの人生が変わるかもしれない。


*#879 数のトレーニング(1): 逆九九  Jan.26, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-25
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