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市立根室病院:仕事の権限と責任の問題 #840 Dec. 24, 2009 [32. 市立根室病院建て替え]

市立根室病院:仕事の権限と責任の問題 #840 Dec. 24, 2009
 ある人が仕事に関して権限と責任の問題をワンセットのものだと繰り返し語っていたのを思い出す。
 病院建て替え問題で病院事務局は基本計画案を作成する権限をもっているが、その権限には責任が伴う。市議会や市議会特別委へきちんと説明すること、もちろん職務をまっとうする責任ももたされている。
 しかし、提案型で基本設計に係る入札をしたところを見ると、職務放棄の疑いが強い。責任放棄である。病院建設に係る建築概略仕様の作成は病院事務局の仕事であった。

 市議会病院建設特別委のメンバーは、基本計画案を審議・承認する権限を与えられている。建築概略仕様も確認せずに2度目の基本設計を承認したことがようやく明らかになったようにみえる。ここでも責任放棄である。
 10%の面積縮小だけでは仕事をしたことにはならない。根室市が招聘して市長を含めて幹部職員50人を集めて商工会館で講演会を開いた。病院経営コンサルタントの長隆氏は医療機器を含めて医業収入(20~25億円)の範囲内での建築を強く主張していたはずだ。特別委のメンバーはもう一度講演会議事録を読み直して概略仕様を検討すべきだ。それが権限に対する責任と言うものだろう。副業市議だから責任を果たさなくていいと言うことにはならない。特別委の委員になったら徹底的に建築仕様について議論をし、市民へ説明の努力をすべきだ。お一人を除いて、他はそういう努力をされていないように私には見える。

 病院に関してはもうひとつ権限と責任のことを語らねばなるまい。院長を名誉院長にする条例案が先に可決された。わたしは反対である。
 院長が旭川医大が医師の引き上げを進めるく中で、診療に苦労されたことは想像に難くないが、院長の職務は診療だけではない。当たり前のことだが、病院経営に関しても権限と責任をお持ちだ。
 病院赤字は5年間年額10億円を切ることはなかった。なす術がなかったというのが正直な感想ではないだろうか。地域医療推進協議会の提言を受け入れ、休床病床50ベッドを療養型に転換すれば年間赤字額が2~2.5億円は削減できたはずだ。
 無策であったといってはいいすぎだろうか。院長に全面的に権限があったわけではないから、責任も割り引きべきだと思う。たとえば、職員に対する人事権がない。人事権すらなくては経営に責任がもてるわけがない。責任の大半は病院事務長や財政課長、副市長そして市長にあるのだろう。市長が持っている人事権も限定的である。公務員は「特別な存在」なのである。経営の都合で雇用形態を変えることができない。だから自治体病院はおしなべて赤字経営である。違いは赤字の幅で、市立根室病院は規模の割りに年間赤字額が大きすぎる。
 病院経営に関しては院長・事務長・市長などが分散して権限をもっているが、これらの権限を分かちもつ者たちは責任を果たしているのだろうか?5年間10億円を超える実質赤字が続いている事実を鑑みれば、責任を果たしているとは言えないだろう。
  百歩譲って、院長が診療に専念するだけでよしとするなら、病院経営の責任は誰がもつのか?そこが明確になっていない。無責任経営が継続し、市の財政規模150億円と比べても巨額の10億円を超える赤字が今後も続き、市の財政はそう遠くない将来破綻することになるかもしれない。
 市職労はそれでもいいのだろうか?病院建て替え問題に無関心でいると、大きなツケを支払わされる。

 報酬は責任をまっとうすることによって支払われるべきものである。関係者たちは権限と責任の問題を今一度考えて職務に誠実に行動してほしい。

 市立根室病院経営に誰が権限を責任をもつのか明瞭にすべきだろう。それは根室だけではなく、地方自治体病院すべてに言えることである。
 卑近な例が比較の役に立つかもしれないのでひとつ例を挙げよう。厚岸町立病院は一時期閑古鳥がなく病院だったが、現在は患者で溢れており、赤字も年額3億円程度であると数ヶ月前の新聞報道にあった。大きな役割を担ったのは、院長である。
 もちろん、コンビニ受診をしないという地域住民の意識の問題や啓蒙活動も病院経営改善に大きな役割を果たすだろう。

 「病院は中小企業、経営はオーナーであるオヤジ次第」とは病院経営に詳しいKさんの弁である。養老牛温泉対話で書いたかもしれない。そういう経営手腕を兼ね備えた医者がめったにいないことも根室の医療を難しくしている。
 


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