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国家財政破綻の瀬戸際 #829 Dec.12, 2009 [91.経済]

国家財政破綻の瀬戸際 #829 Dec.12, 2009

 今年度の税収見通しが当初見込みよりも9.2兆円減少し、36.9兆円になるという。これに対応して赤字国債も当初44.1兆円から53.5兆円に拡大するという。赤字国債発行額が初めて50兆円台に載ってしまった。
 いつ財政破綻が起きても不思議ではない。経済学者や財政学者は破綻の時期を予測できないが、破綻が起きれば「破綻して当然だ」と口をそろえて解説するだろう。

 家計にたとえれば、369万円しか収入がないのに904万円使っており、借金が9000万円もあるということだ。自己破産ラインを年収の6倍の借金とすれば、すでに4回連続して自己破産している。どうしようもない自堕落な家計が想像されるが、それが日本の現実である。

 自公政権から民主党政権になっても、この自堕落な生活は終わらないどころか、ますますその度を大きくしている。
 来年度も実質50兆円を超える赤字国債の増発がなされる。「埋蔵金」を取り崩すことで発行額は50兆円を切るだろうが、補填の仕方が違うだけで実質赤字の額が減るわけではない。

 今年度末930兆円を超える膨大な借金を誰が支払うと思っているのだろう。私たちの子供や孫の世代である。その子や孫のお金を今使っているという自覚がなさ過ぎる。
 国債残高はまもなく1000兆円を超える。長期金利が3%になれば、税収のほとんどは金利支払で消える。
 原口総務大臣が「先ず第一にしなければならないことは、不況からの脱出ですね」などと能天気なことを、テレビで言っている。こんな程度の者が総務大臣だ。
 藤井財務大臣は「財政規律の維持」を声高に叫んでいる。藤井さんは、「財政破綻の引き金を引いた財務大臣」の汚名はごめん被りたいのだろう。この人もまた国家財政の現況とその行く末を正直に語れる人ではなかった。

 1億3千万人の中にこの破綻直前の国家財政を救える人材が一人もいないのだろうか。甘いことばかり言って破綻に導くのではなく、厳しい選択肢を示し果断に実行する人材が現れなければ、そう遠くない将来、突然に財政破綻が現実になり、大不況が日本を襲い、銀行預金は三分の一に減価する。
 為替レートは200円/ドルを超え、ガソリンや暖房に使う灯油は2倍から3倍の価格になる。根室で冬に10万円の暖房費がかかることになる。売上減でつぶれる会社が続出するだろう。夕張市と同じように、国家公務員のリストラをやらざるを得なくなる。人員は半減、残った人の給与は30%減ですむだろうか?

 いつ出口が見えるとも知れない大不況が日本を襲う。輸入物資は2倍3倍に高騰するが、地価は下がるという今までにないタイプの大不況になるだろう。戦後のインフレとはまったく違った様相があらわれる。あなたに預金も土地もその価値が数分の一になる世界が想像できるだろうか?
 このままでは誰も想像もできない世界が日本に出現する。

 市立根室病院は暖房費を三分の一にするために、外断熱仕様が絶対条件である。最悪を予測して事前に手を打っておけば被害は小さくできる。入院患者が暖房費節約のために寒さに震える姿は想像したくない。室温が下がれば老人は低体温で死んでいく。
 燃料費の高騰は人口へも影響する。根室だけでなく北海道の人口がずるずると減少するだろう。国家財政破綻の影響は計り知れない。

 そうしないためには収入の範囲の36兆円以下でやりくりするしかない。公務員給与の大幅なカット、特権的年金(議員年金と国民年金や厚生年金の2重取り、公務員の年金と厚生年金の計算基準の差など)も是正し、支出を切り詰めなければならなくなる。特殊法人もそのほとんどを廃止しなければ、財政支出を36兆円には抑えられない。
 そのような現実を国民が受け入れるだろうか?労組がそのような政策を受け入れるはずがないし、特殊法人も廃止できる可能性はほとんどないように思える。一例を挙げれば、廃止したはずの「緑~開発機構」という特殊法人も看板を書き換えて存続しているらしいし、民主党が約束した公務員人件費の2割削減も、国家公務員を地方公務員にするだけのこと、つまりは看板の書き換えに過ぎないことが選挙後に明らかになっている。社会保険庁も看板が書き換えられた。こうして実質が何もない看板の書き換え政策ばかりが横行し、国家財政は破綻する。

 もう経済がよくなるなどという幻想は棄てるべきだ。人口減少・高齢化のダブルパンチで、日本はピークを過ぎている。昔を追い求めるのはやめて、質素で堅実な暮らしをし、誠実に仕事をして互いに助け合うしかない。
 ばら撒き政策で選挙民を喜ばすような余裕はとっくの昔にない。
 自分だけがよければいいという価値観では、経済社会そのものがダメになる。自分に課せられた仕事がどのような意味を持ち、自分にとって不利益であっても、社会のためになるならやり遂げる勇気をもたねばならない。

 自己の利益や損得勘定を最優先させるのではなく、公的な価値を大切にし、誠実な仕事をする社会へ舵を切り換えるチャンスであるかもしれない。
 質素な生活はエネルギー消費も抑え低CO2排出社会への切り換えに貢献するだろう。日本が財政破綻することで、南太平洋上の島々、ツバルのような国の水没をいくらかでも遅らせることができるなら、幸いである。
 11日付のジャパンタイムズ一面の見出しには、コペンハーゲンの会議で両手を顔で覆っているハイチ代表の女性の写真が載っている。"Poor blame rich at climate talks"(気候変動に関する国際会議で、貧乏な国が金持ちの国を非難している)。中国や米国の態度に南太平洋の水没しつつある国々がいらだっている。

 国家財政の破綻を回避しようと躍起になる必要は無いのかもしれない。バベルの塔のごとくに途方もなく積み上げた国債残高の山が崩れるだけである。因果応報、それはもう決定事項であるのだろう。日本人はそれを黙って受け入れればいい。一番責任の重い自民党政権が国民に愛想をつかされ、バトンタッチした民主党政権が財政破綻を招来するのはなんとも皮肉なことではあるが、人材をみても仕方がないような気がする。とても彼ら・彼女たちにこの難局を乗り切ることはできまい。やはり最悪の事態を回避するのは無理のようだ。

 1年前に「これから10年のシナリオ」を書いた。1年たって、自公政権から民主党政権に変わったが、政治経済は回避の方向ではなく破綻へ向かって加速しているようにしか見えない。

*2008年10月10日blog#346『これから10年間の日本経済のシナリオ』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10

**国債発行53.5兆円へ「財政は極めて深刻」=藤井財務相(ロイター配信ニュース)
 
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12823820091208

[東京 8日 ロイター] 藤井裕久財務相は8日の閣議後会見で、景気の悪化などに伴って2009年度税収が当初予算から9.2兆円下振れ、36.9兆円に減少するとの見通しを示し、これに伴う2次補正後の新規国債発行額は09年度1次補正後の44.1兆円から53.5兆円に拡大することを明らかにした。

 国債発行額が税収を大きく上回る異例の事態となり、藤井財務相は「日本財政は極めて深刻な状況」と危機感を表明した。 藤井財務相によると、8日に閣議決定した緊急経済対策を含む2次補正予算は15日に閣議決定する。税収の9.2兆円減は過去最大で、新規国債発行額53.5兆円も過去最大。国債発行額が税収を上回るのは終戦直後の1946年以来、63年ぶりの異例の事態となる。

 藤井財務相は、こうした日本の財政事情について「極めて深刻」と警戒感を示し、これから本格化する2010年度の予算編成作業に向けて「各大臣はあらためて査定大臣として経費の見直しに取り組んでほしい」と訴えた。

 厳しい財政状況のなか、10年度の予算編成にあたり、国債市場からの信頼確保の重要性をあらためて強調。10年度の新規国債発行額を麻生太郎内閣が決定した1次補正後の44兆円よりも減らすとの考えについて「変わっていない」とし、「国債を乱発することは国債市場の信頼を失うことになる。これは財政の健全化以上に大きな問題と認識しており、あらゆる努力をする」と語った。また、予算の年内編成が「非常に大事」とあらためて強調した。

 一方、2010年度の税制改正大綱については、予定していた11日よりも後ずれし、来週になるとの見通しを示した。

 財政支出の規模をめぐって調整が難航していた緊急経済対策は、8日の閣議でようやく決定した。政府は、当初与党に提示していた7.1兆円の財政支出について、8兆円程度を主張していた国民新党に配慮し、建設国債を財源に7.2兆円程度に引き上げた。事業規模は24.4兆円程度となった。

 藤井財務相は、国民新党との主張の違いで財政支出が拡大したことについて「3党連立ということだ」と述べるにとどめた。国債追加発行による規模拡大の市場への影響については「市場に影響はまったく出ていない」と指摘、むしろ事業規模24.4兆円を確保したことは株式市場や為替市場、国債市場などに「インパクトとして、いい影響を与えている」との認識を示した。


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*#2729 年金基金の運用資産が130兆円から210兆円に増える:危うい株式投資 July 9, 2014 
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  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
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  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
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