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新型インフルエンザのため根室高校学校閉鎖 #772 Oct.26 2009 [35. 感染症および自己免疫疾患]

新型インフルエンザのため根室高校学校閉鎖 #772 Oct.26 2009

  一昨日の制定気温は5度、関東に台風が近づいている影響なのか少し暖かくなった。明日朝の最低気温は10度くらいだろう。寒暖の差が激しいので、インフルエンザに注意したい。

 新型インフルエンザが根室市内に蔓延し始めたようだ。根室高校は先週金曜日から2年生が学年閉鎖中だったが、今日(10月26日月曜日)から11月1日まで、1週間の学校閉鎖措置をアナウンスした。
 二年生は宿題がたくさん出ているようだ。他の学年も一緒かもしれない。宿題をさっさと済ませて暇な高校生はblog#769に2002年のジャパン・タイムズのHIVに関する記事を載せてあるから、エイズの勉強にトライしてみよう。HIVとエイズの区別くらいはできないと恥ずかしいぞ。感染経路や、病気の機序を理解することが予防につながる。勉強不足でセックスして感染するなよ。まだ、治る病気ではない。発症を抑えられるだけだから、一生抱えなければならないし、寿命も確実に縮む。90年代前半はHIVに感染したら二年程度で死ぬ患者が多かった。発症を抑える薬剤が次々に開発されたから、HIVキャリアーが増えている。まずは事実を知ることだ。高校生はblog#769を読め。
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-10-25

 市内の中学3年生は明日火曜日が根室高校見学日だったが、この学校閉鎖措置により急遽取りやめになった。

 ところで高校二年生は学校閉鎖明けの2日から修学旅行だ。ここから先は10月26日blog#770『新型インフルエンザのため2年生学年閉鎖』に加筆修正して張り付ける。

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 修学旅行が来月2日からだから、あと一週間だ。いま新型に感染して熱を出している人は幸いかもしれない。確実に修学旅行にいける。

 直前になって感染していたら、修学旅行に連れて行かないのだろうか?季節性インフルエンザと同程度の毒性だ。いつもの年なら季節性インフルエンザに罹ったくらいなら連れて行くだろう。ただのカゼだ。今年は騒ぎすぎではないのか。発熱患者の参加拒否が意味があるのかどうか、冷静に検討してみたらどうだろうか。高校には生物担当の先生や保健担当の先生がいる。医学的には、発熱患者の修学旅行参加拒否はあまり意味がないようである。後で述べるが、そのような措置をとっても、他の生徒への感染を防げない。
 旅行代金の返金について旅行業者との交渉などたいへんややこしい。風邪を引いていても連れて行くという選択肢はないのだろうか?
 タミフルを学校側が用意するのに市立病院が協力するようなことはできないだろうか?キャリアーが旅行中に発熱する可能性があるから、タミフルの携帯は必要だろう。一生に一度の楽しい修学旅行だ。みんな行けるといい。

《不顕性感染者の存在》
 わたしがなぜこのようなことを言うのか、怪訝な顔をしている読者がいるかもしれない。時事英語授業で何度も新型インフルエンザの記事を扱ったから、塾生は発熱患者の隔離が感染拡大に何の効果もないことを理解しているだろう。
 ジャパン・タイムズの記事から具体例を挙げてみる。4月29日水曜日、流行初期にメキシコからの直行便を成田で機内検疫した。全身を覆う感染防護服で7人の検疫官が赤外線センサーで物々しく乗客をチェックし、喉の痛みを訴えた感染(容疑)者を隔離し、その周りに座っていた乗客20人を1時間足止めして簡易検査を実施したが全員陰性であった。その結果、症状の出ていない不顕性感染者が検疫をすり抜けてしまい、感染拡大防止には機内検疫や隔離措置は効果がなかった。

 医学的には当たり前のことである。不顕性感染者(キャリアー)がいたからであり、一般に感染症は発熱症状が出ている感染者よりも、症状の出ていない不顕性感染者(キャリアー)の方がはるかに数が多い。不顕性感染から発熱などの症状を呈する感染へと連続的に推移するのが通常の発症メカニズムであるから、発熱感染者だけを分離しても医学的に意味のないことがわかる。目立った発熱症状の出ない患者もいて、症状は個人差がある。37度台の発熱なら「ちょっとカゼをひいたかな?」と思うだけで、ほとんどが医者にすら行かないだろう。
 (ここからが結論だ)したがって、発熱症状の出ている生徒を修学旅行に連れて行かなくても、数倍いると考えられる不顕性感染者が混じってしまうから、修学旅行生への感染拡大は防げないのである。それに旅行先の東京も京都もすでにインフルエンザが蔓延している。
 生物と保健を担当する先生が、きちんと専門的見地から生徒や他の先生、校長や教頭に説明すれば好い。旅行中に発熱する生徒が数人でるだろうから、数人分のタミフル携行は欠かせない。市立根室病院の協力を仰ぐべきだ。

⇒4/30のジャパンタイムズ"Flu fears spread as cases stack up(患者数が激増しているので新型インフルエンザの脅威が広がっている)"という記事が載った。マスクをした乗客と思しき親子が映っている。その写真のキャプションに"Cleared for landing: Passengers at Narita airport on a direct flight from Mexico on Wednesday(機内検疫をクリアして飛行機から降りる:メキシコからの直行便の乗客)".とある。ついでに少し引用しておこう。

   "Japanese quarantine inspectors Wednesday boarded the first direct flight arriving from Mexico since the alert for a global influenza pandimic was raised to an unprecedented level.
(爆発感染がかつてないレベルで起きWHOから警告が発せられたので、メキシコからの最初の直行便に日本の検疫官が乗り込んだ)
   Narita airport quarantine officials said no passengers or crew members apparently contracted swine flu.
(成田空港検疫当局はブタ・インフルエンザ罹り、感染症状を呈している乗客や乗組員はいなかったと発表した)
   Seven inspectors wearing protictive clothing and masks walked through the arrival gate and onto an Aeromexico flight that arrival at 6:30 a.m. with 185 passengers and 13 crew members abroad.
(防護服を着てマスクをつけた7人の検疫官が到着ゲートを通り、海外からの185人の乗客と13人の乗組員を乗せたアエロメキシコ便に乗り込んだ)
   About 20 passengers seated near a man who reported having a sore throat were detained for about an hour inside the aircraft. However, all disembarked after testing negative.
(喉の痛みを訴えた一人の男の周辺に座っていた約20人の乗客が一時間ほど機内に留め置かれた。しかし、簡易テストの結果は陰性であった。)

 *新型インフルエンザに関する過去ブログは「新型インフルエンザ」というカテゴリーにまとめているので、興味のある人は当該カテゴリー区分をクリックすべし。
   
 **「不顕性感染」について(ウィキペディアより)
 不顕性感染(ふけんせいかんせん、inapparent infection)とは感染が成立していながら臨床的に確認しうる症状を示さない感染様式のことを示す。不顕性感染と
顕性感染は連続的であり、病原体により不顕性感染の方が一般的であり、発症に至ることの方が稀であるものも少なくない。不顕性感染を示す個体はは臨床症状を示さないため、感染源として気付かないうちに病原体を他個体に拡げてしまうおそれがある。このような個体をキャリアと呼ぶ。一般に宿主と微生物との関係が長期間におよぶほど病原性は弱くなる傾向がある。これは宿主側の免疫などの防御機能や微生物側の生存戦略が関係している。不顕性感染の臨床上の応用では弱毒生ワクチンがあり、これは人為的に不顕性感染を成立させることにより、免疫を成立させる方法である。
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