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C.101 [38. cancer]

C.101

 C.101からは術後のことを書く。同じ病気の人へ参考になれば幸いである。
 術後3年目の検査・診断が本日終了した。フィリップス製のX線CTで撮った画像は鮮明だった。市立根室病院のX線CT装置は道東の病院ではトップレベルの高性能機だから、患者の側から宣伝しておこう。高精度の分解能をもつ装置で検査すれば病変の見落としの確率が小さくなる。病院選びはこういう口コミ情報が一番あてになる。
 機械だけでは片手落ちだから、検査をしてくれた技師さんへも感謝、ありがとう。m(_ _)m

 胃の全摘手術をしてから3年がたったが、懸念していた肝臓に病変はまったく見られない。お陰様で再発の兆候はなかった。再発したらあの装置ならくっきり映るだろう。

 病気の詳細についてはまだ書く気になれないが、いつかは"C.5"で書くことになる。書けば同じ病気を患う人へ参考になるだろう。
 とにかく3年前、王監督が手術をした1週間後に胃と胆嚢の全摘と横行結腸の一部切除手術をしているから、食事は一日6回、小分けにして食べている。もちろん、焼肉などのあぶらっけの強いものは食べられない。天麩羅なら大丈夫だ。動物性脂肪は胃がないと消化不良を起こすが、ちょっとくらいなら大丈夫だろう。しかし食べたくはない。

 とにかくよく噛んで食べる。目安は100回である(ほんとうはそれほど噛んでいないが、時々は思い出して100回数えることにしている)。たくさん噛むことで唾液と混ぜで、消化不良を起こさないようにしている。米は玄米を主体に食べている。硬くてよく噛まなければならないから、唾液と混ぜる時間が自然に長くなる。おかゆはダメだ。噛む必要がないからほとんど唾液と混ざらずに小腸へと送り込まれて下痢しやすい。大麦若葉も一日500ml、3時間くらいかけて飲んでいる。もともと緑色の野菜は嫌いだった。とくにほうれん草が嫌いだが、キャベツやレタスやピーマン、キュウリなら大丈夫だ。
 最近は下痢がめっきり減った。食事の内容に注意していること、食べ方、そして身体が慣れてきたからだろう。

 参考までに、カルシウム分が不足することを特筆しておくが、あくまでも私の場合で、胃を全摘した人すべてに当てはまるかどうかはわからないので、あまり拡大解釈しないでいただきたい。
 私の場合はカルシウムの吸収が悪くなったようだ。症状としては歯が次々とダメになった。これには参った。3年間のうち三分の一くらいは歯医者に通院している。たぶん骨ももろくなっているのだろう。コンドロイチンとグルコサミンも通常摂取量の三分の一ほど飲んでいる。膝関節のためだ。
 骨粗鬆症は破骨細胞が増えるからもろくなるので、カルシウムをとってもたぶん効果はないだろう。しかし、歯の痛みはしばらくの間消えてしまう。
 もう一つの問題は鉄である。今日、担当医から鉄分の不足を指摘された。この半年ぐらい散歩が億劫になっていた。術後は血中ヘモグロビンが10.5g/dl前後だった。今日検査結果を見たら9g台に落ちている。どうりで歩くと息苦しいはずだ。ヘモグロビンが不足すると酸素運搬量が減り、貧血を起こす。そこまではなっていないが、酸素運搬能が落ちていることはよくわかる。この半年ぐらい実感していたことだからだ。
 鉄剤を処方してもらった。ビタミンB12も処方されていたのは併用することで鉄の吸収がよくなるからだろうか。鉄剤を飲んでも滞留・吸収する胃がないから、小腸を通ってすぐに排泄されてしまう。ドクターも効果のほどを疑問視していた。顔見知りの調剤薬局の薬剤師さんが、処方された薬剤を見て「どうして?」と聞く。「顔色が鉄分不足には見えるけど・・・」、かいつまんで病気のことを説明した。やはり胃の全摘をしているから吸収は悪いだろうとドクターと同じ意見。
 肝臓に負荷がかかるから1ヶ月だけ飲んでみて、血中ヘモグロビン濃度が上がるかどうか様子をみることになっている。

 市立病院で検査の合間にちょっとだけ看護師さんと話した。
 3年前は市立根室病院には消化器外科医はいなかったので釧路医師会病院で入院・手術をした。釧路医師会病院がなくなったので、ここで術後3年目の定期検査だと経緯を話した。地元の病院に専門医がいないのは困るが、199床の規模では総合病院として専門医をそろえること自体が無理である。釧路の病院と機能分担をせざるをえない。

 (たとえば、消化器内科医だけでは内視鏡検査で胃粘膜のサンプルをとることができない。粘膜を這う腫瘍だったら、粘膜を病理標本としなければ診断がつかないが、胃粘膜を傷つけたら出血を起こし消化器外科医が必要になる。両方そろわなければ検査すら制限を受ける。釧路医師会病院の内科の副院長は一度目の細胞検査による所見とは別のものがあるとの私の自覚症状を聞き入れてくれた。検査入院している間にも胸の奥に冷たく重いものが広がっていく感触がはっきりあった。急速に進行している。内視鏡で見えたものとは違うものが身体の中で成長していた。はっきりわかるものである。内科の副院長は別の方法(ガストロ造影検査)で胃の下部をふさいでいた腫瘍の下の粘膜に走るスキルスを見つけてくれた。自覚症状から予感していた通りの診断だった。それで胃の全摘が決定した。当初は三分の二を残すはずだったが、スキルスではしかたがない。
 それまであった疑問がなくなり、安心して手術を受ける気になった。どういうわけか術場の看護師さんたちと担当外科医が救ってくれると確信があった。患者にとっては心の安らぎがなにより大切である。)

 私を執刀してくれた若手の名医ドクターGはいま首都圏のある病院で内視鏡操作技術を修得するために修行中だ。いずれ故郷の帯広に戻ってくる。戻ってきたら診察をしてもらいに帯広まで行くつもりだ。
 そのような話しをしたら、看護師さんが肯いていた。「そういうドクターがたくさんいればいいですね」。
 鮭ではないが医師も「養殖」が必要な時代だ。根室市で奨学金を出し、優秀な生徒を医者にするプログラムがあってよい。たくさん「放流」すればそのうち何割かがふるさとへ戻り患者を診てくれる。ふるさとの地域医療を支えたいという志をもった生徒は案外いる。看護師志望の生徒も多い。自前の努力を何もしないで「医者が足りない」と嘆くのは愚の骨頂である。

 2009年8月5日 ebisu-blog#687
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ys(8月5日21時00分)


*#2058 フラミンゴ騒ぎと仕事の基本  Sunday Aug. 19, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-19


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