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#676 「市立病院建て替え 基本計画の課題続々」 [32. 市立根室病院建て替え]

「市立病院建て替え 基本計画の課題続々」

 今頃になって「基本計画の課題続々」とは病院事務局も病院建て替え特別委員会も一体何をやってきたのだろう。5年前に概算90億円のニホロ移転案を作ってから一体何をしてきたのか。事務長や委員長の管理能力を疑わざるをえない。
 他方、特別委で「拙速な論議は将来に禍根を残しかねない」との発言や「療養病床ゼロに異論」が出るようになった。特別委の委員の中に自分の頭で考える人があり、市側の基本計画をチェックする機能が少し働き始めたようだ。きちんとした病院を作り、将来に禍根を残さないためにがんばってほしい。

 療養病床ゼロに異論が出たのは当たり前のことだろう。病院職員へのアンケートでも根室に療養病床が1床もないことに危機感を感じている職員は多い。
 病院は院内に経営改善のための課を新設したのではなかったのか。このブログ上でも、休床になっている病棟を療養型病棟にすれば2.5億円程度赤字を減らせる見通しを書いた。病院事務局は療養病床の新設は難しいと言っているが、根室には昨年3月まで50床あった。その分の枠があるからいくらでも交渉可能だ。人口3万人に町で療養型病床数がゼロの町が他にあったら教えてほしい。極めて稀か、日本全国で根室だけの可能性がある。別海町ですら100ベッドある。老人になって医療が必要でも療養病床すらない町からは、老人が逃げ出す。ふるさとに戻り老後をすぐすつもりでいた団塊世代も戻ることを躊躇するだろう。人口減少が昨年から加速していることは北海道新聞でも取り上げている。その原因の一つに、老人医療の問題があるのではないか。病院事務局メンバーはほとんどが根室の人間だろう。根室の人間が根室を悪くしている。北方領土問題でもそうだったが、根室の衰退の原因は自分に課せられた仕事に誠実に取り組まない根室の人間自身だ。仕事を決してごまかしてはいけない。
 さらに言いにくいことを言わねばならぬ。市病院事務局は「介護施設との連携」によって何とかしようと言っているが、介護施設は医療施設ではない。考え違いもはなはだしい。医療が必要な高齢者は介護施設から出されてしまう。介護施設は医療施設である療養病床の肩代わりは原理的にできよう筈がない。昨日今日病院で働き始めたわけではあるまい、物事のわからない者がいるとほんとうに困る。私が市長なら事務長を呼びつけてどうなっているのか聞く。そして仕事の進め方や職員の教育について具体的な指示を出す。それでもだめなら人事を含めて適切な手を打つだろう。市長に就任して3年もこのような体たらくを続けるようなことはしない。

 現在は高齢者のターミナルケアを精神病院が引き受けているが、これは正常な姿ではない。療養型病床ゼロが高齢者医療を異常な状態においているという、健全な危機感が必要だ。

 北海道新聞の記事を見ると建物の面積比較が載っているが、職員用の保育所機能については面積の明示がない。職員用の特別保育施設が院内に必要なのか、市が運営する保育所で24時間保育を実施するのか、きちんと議論すべきだ。

 気がついたことからランダムに採り上げているが、訪問看護支援室と地域医療連携室などは独立のスペースを設けるべきではないと私は思う。たかだか15ベッドの病院だ、大きな組織ではないのだから一人の管理者が両方の組織を管理すべきだ。ありていに言うと事務長がやればいい。
 この比較表「市立病院建て替え意基本計画の概要」では中身がさっぱりわからない。50ベッド減るのに2300㎡増える理由が計算上納得がいかない。入院病棟の病室面積純増分は新聞記載の数字で計算しても100㎡である。予定されているスペースについて明細の新旧比較表をホームページ上で公表してもらいたい。情報開示がなされないとどのような病院が作られるのか市民は判断ができない。50ベッド減らして3割増えても理由がはっきりしていればいいのだ。

 個室が43室28.7%というのは公立病院らしからぬ多さである。こんな無駄をするくらいなら、4室病床にトイレの設置をすべきだ。仕様を見直して当然だと思う。病院事務局は中標津や厚岸、釧路の公立病院との個室数比較表を作り提示してもらいたい。

 150ベッドの規模の病院に「外来レストラン」が必要だろうか?否である。ほとんど例がないだろう。この程度の規模で外来レストランを採算が取れる運営は困難だろう。完成後の病院維持コストが高くつく。「あったら便利」などと言う感覚で建築面積を決めていくと途方もなく広い病院になって建築費が高くついてしまう。

 暖房費節減のために「外断熱仕様」は絶対要件であるが基本仕様に書かれているのだろうか?維持費の高くつく病院を作ってはならない。

 屋上スペースは、ソーラパネルで埋め尽くすのか、何もしないのか?二酸化炭素削減についての計画ありやなしや。

 小学校は市街化地域に3校は必要ない。1校当たり1学年50~70人規模になってしまっている。現在地よりも成央小学校を統廃合して、そこに建てる方がいいと思うが検討の余地はないだろうか。面積が広いし眺めもいい。駐車場スペースが必要な分だけ取れる。
 そして、井戸を掘れば昔もう一軒あった造り酒屋の「色媛」が使っていた美味しい水が出るから、地震災害時の補完水道としても使える。塩素殺菌の必要のないとっても美味しい水が飲める!
 市の水道局でペットボトルに詰めて「ニムオロの美味い水」と言う名前で販売しないか?いやいやこの部分のみは冗談である。冗談には惜しいくらい美味い水だった。その昔色姫が湧き水を引いていたが、その水の味の記憶がまだ残っている。緑町と花咲町の交差点に水道があり、お茶を飲む水や飲み水として近所で共同で使っていた。飲料用以外は井戸水だった。50年前の話しである。花咲小学校に始めて水道が引かれたとき、その水のまずさに驚いたのは団塊世代である。

 これはついでの議論だ。ナンブトウから牧の内に水源が替り、少しは水質がよくなったのかもしれないが、所詮は「たまり水」である。美味いはずがないし、必須ミネラルがほとんど含まれない。東京の水に比べても根室の水は相当にまずい。原因は水源を「たまり水」に求めたことにある。
 根室の高齢者には歯が悪い人が多いが、「たまり水」を水道水に利用すればカルシウム分のない水質であることは容易に想像がつく。ミネラルは水が地下を長い距離移動することで補給される。ミネラル分の乏しい水を長年のみ続ければ、歯にダメージが出ることは当然だろうし、骨粗鬆症も増えるだろう。具体的なデータを持ち合わせているわけではないが、他の条件が同じだとすれば論理的にはそういう結論が導かれる。長年にわたって呑み続ける飲料水の影響は意外に大きいのではないだろうか。
 山も大きな川もない根室はどこまでいっても水源に問題がある。現在ある牧の内貯水池の周りに土地本来の生態系にある木を植樹をして、300メートル幅の林で取り囲み水質改善をするとか、水源の半分を他の近隣市町村に求めてもいいのではないだろうか?

 8月3日申請期限の国の地域医療再生臨時特例交付金にエントリーするために作業を急いでいるようだが、無理だ。ほんとうにやる気なら特別委メンバーは毎日10時間作業に没頭すべきだ。病院事務局が作る辻褄合わせのろくでもない資料を使う必要はない。今期3ヶ月間の売上計画だって十数パーセントの予実差異が出ている。まるで使い物にならない。
 *7月25日blog#667『市立根室病院4~6月営業収益予実差異9660万円』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-25
 収支見通しは病院事務局から過去の資料をもらえば作れる。どのような病院にするかビジョンがあればそれに沿った現実的な損益計画は作れる。わたしにだって過去の資料に目を通して1日に2時間4日あれば可能だ。総額30億円程度の現実的な稟議書をつくり経営会議の了承をもらうくらいの資料をつくるのに相当する仕事だから、それほど日数はかからない。できないのは普段辻褄合わせの予算を作成することに汲々として、まともな損益計画のシミュレーションをやったことがないからだろう。普段の仕事をごまかさず誠実にやらなければ、何年たっても仕事のスキルは磨かれないし、身につかないものだ。

 いままで7年間何をしてきたのだろう。建築仕様、建築延べ面積、収益見通しを含む経営改善計画、療養型病床の設置など基本的なことがまるで詰まっていない。病院事務局も特別委も仕事をする能力がまったくないかのようだ。
  7年前に基本仕様を固めないままに業者を選定し、基本設計を依頼し、500万円もの設計料を支払ったのではなかったか。またここで、基本仕様を固めないうちに基本設計をさせたら、仕様が固まったら設計図を書き直さなくてはならない。設計費用が倍かかる。何という無駄だろう。
 特別委は今日(30日)ろくな論議もしないままに、建築仕様も決めず、市側が作成した基本計画を認める方向だという。これでは特別委員会を設けた意味がない。7年前に概算90億円のニホロ移転案を認めたときとまったく同じだ
 特別委メンバーは、まじめに、誠実に職務を遂行してもらいたい。仕事ができないのなら全員市議を辞すべきだ。特別委には権限がある。権限のあるところ責任も生ずる。

 北海道新聞7月28日朝刊20面根室地域版から、幸坂浩記者の追跡取材に感謝しつつ転載する。
 
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 市立病院建て替え
 
基本計画の課題続々
 市議会特別委 30日了承の方向
【根室】市立病院建て替えをめぐる論議が、市議会市立根室病院建設等に関する特別委員会で続いている。本格的な論議は8月30日投開票の市議選後の新たな議会に委ねられるが、これまでの論議で施設内容や財源など、いくつかの論点、課題が浮かび上がってきた。(幸坂浩)

 療養病床ゼロに異論
 滋賀8月に公表した基本計画によると、新病院の建設地は有磯町の現病院隣接地。病床を現行の199床から150床に減らすものの、感染病床や人工透析など各種機能を拡充するため、延床面積は1.2倍の1万3200㎡になる。
 特別委では、寝たきりの高齢者らを受け入れる療養病床の設置が計画に盛り込まれていないことに異論が出た市内には療養病床が一つもないためだが、病院事務局は国が療養病床を減らす方針のため、新設は難しいと説明。市内の介護施設などとの「連携を深めていく」と答えたが、具体策はこれからだ。

 
ハードル高い交付金
 建て替えの掃除合否は59億2800万円(概算)で、現段階で総額の96%を起債(借金)で賄い、残りは一般財源や市民からの寄付金で賄う計画だ。
 焦点は国の交付金をいかに得るか。交付金が増えれば、それだけ起債額を圧縮できる。
 しが最も重視するのは、最大11億5千万円程度が交付される国の医療施設設備耐震化臨時特例交付金。ただ、申請団体が多ければ全額交付されない可能性があり、9月に交付が決まるまで予断を許さない。また、市は根室管内など医療単位で交付金を受ける国の地域医療再生臨時特例交付金にも注目している。ハード事業で認定されれば100億円、ソフト事業では30億円が医療機関に交付されるが、認定は道内で1,2件にとどまる見込みで、ハードルは高い。交付が内示されるのは11月と見られる。

 収支見通しこれから
 建て替え後の収支見通しも、明らかになっていない。病院の収入は医師数や看護師数に大きく左右されることに加え、一般会計から今後、病院事業会計にどれだけ繰入可能かの判断は、10月にも策定される市財政収支計画を待たなければならないためだ。
 特別委では、複数の委員が早く収支見通しを示すよう繰り返し求めており、ある委員は「事情はわかるが、これでは議論しづらい」と話す。

 
スケジュールに無理
 特別委は30日の次回委員会で基本計画を了承する方向だが、委員の中には「拙速な論議は将来に禍根を残しかねない」との意見もある
 市と特別委が論議を急ぐのは、医療施設耐震化臨時特例交付金の道への申請期限が8月3日になっているためだ。着工も09年度中にする必要があり、ある委員は「そもそも、交付に向けた国のスケジュールに無理がある」とぼやく。
 病院事務局は特別委の基本計画終了後、基本設計の準備に着手し、設計費用を盛り込んだ本年度補正予算案を10月にも、改選後の市議会に提出する予定。基本設計には7、8ヵ月かかるものの、事務局は特別委に設計の中間報告をする予定。その段階で事業費などの本格論議が始まりそうだ。
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*【関連過去ブログ記事】
  7月25日blog#667『市立根室病院4~6月営業収益予実差異9660万円』
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-25

 7月2日blog#634『病院建て替え基本計画案への7つの疑問』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-01-1

 2009年6月21日#619「定数削減と市立病院問題について(J&K対話)-(3)」
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-21

 2009年6月26日#625「立替必要なし33%、なぜ? 市立根室病院建て替えアンケート・ショック」 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-26 

 2009年5月27日#592「市立根室
病院建築仕様の前提条件」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-05-27

 2008年2月18日#094「市立根室病院改築」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-02-18

 2008年3月23日#147「2018年の根室の人口」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-03-23
 
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  #1958 チグハグ:13.7億円の病院事業赤字と新しい病院の名称募集 June 3, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-03
 
*#1563 玄海原発説明会と建て替え市民整備委員会の相似性 Jun. 27, 2011
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27-1

 #1539 ランニングコストの低減と病院経営 :父よ許したまえ、彼らは・・・ Jun. 3, 2011 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-06-03

 #1234 地域医療改革の烽火(4):根室市議会 病院建て替え問題点 焦点 Oct. 10, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10

 #1143 市立病院建て替え:建築費10億円カットの方法 Aug. 3, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-03

 #1091 免震構造と外断熱はどちらを優先すべきか Jun. 30, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30

 #1057 「広報ねむろ6月号」を読む(2):病院建物仕様への疑問 Jun. 6, 2010
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-06

 #1013 基本設計にまつわる疑問:市立根室病院建て替え-086 Apr. 29, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-04-29

 病院建物基本仕様検討作業への要望(1) #889 Feb.2, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-02-02

 根室人はほいどか?答えはノーだ #881 Jan.27, 2010 
 
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 杞憂(2)根室の地域医療の未来 #855 Jan.6, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-06

 建築仕様も詰めずに基本設計発注か? #839 Dec.23, 2009 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-23

 将来、療養病床設置も #834 Dec.18, 2009 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-18

 「市立病院建て替え 基本計画の課題続々」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-30


 

 2009年7月30日 ebisu-blog#676
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