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病院建て替え基本計画案への7つの疑問 [26. 地域医療・経済・財政]

病院建て替え基本計画案への7つの疑問

 市立病院建て替え
 10年度着工、12年度完成
 市が基本計画 総事業費は59億円
【根室】市は30日、市立根室病院の建て替えに向けた基本計画を同病院整備市民委員会と市議会の特別委に示した。総事業費(概算)は59億2800万円で、2010年度の着工、12年度の完成を目指す。(幸坂浩)
 市は6月12日に発表した基本構想で、建て替え場所はしない有磯町の現病院の敷地、診療科目については18科とする方針を明らかにしていた。
 基本計画によると、09~10年度に設計、10年度末までの工事を始め、12年度に病院本体を完成させる。既存施設の撤去など、工事すべてが完了するのは13年度になる。
 病総数は150床(現在は休床55床を含め199床)。延べ1万3200平方メートルを予定しているが、何階建てにするかは設計段階で決める。
 市が10年度中の着工としているのは、利用を考えている国の医療施設耐震化臨時特例交付金が、10年度末までの着工が条件になっているため。市は今後申請作業を進め、認可されれば、11億5千万円程度の交付金が受けられる見込み。
 事業費のうち建設費は39億7500万円で、医療機器や医療システムなどの整備費が19億円。その他測量・地質調査日に1100万円、移転・移設費に4200万円がかかる。
 財源は総額の96%を記載(借金)で賄い、残りは一般財源や寄付金などを充てる。交付金が得られれば、起債額を圧縮する。
 収支計画は市の一般会計の収支に関する5カ年計画を7月中旬に策定し、その後に示すという。
 市総合文化会館で開かれた市民委員会では、委員から「市の人口が減っている中、後世に借金を押し付けられない。議論のために収支計画を早く示して欲しい」との要望書が出た。

 7月1日北海道新聞20面根室地域版から記事を転載させていただいた。担当記者の取材に感謝したい。
 さて、市のホームページを開いて「基本計画」を閲覧してみた。院内のプロジェクトチームが作成した資料のようだが、肝心の建物関係の資料がこの中に含まれていない。記者はどういう資料を見たのだろう。急いでみたのでわたしが見落としたのかもしれない。後でもう一度目を通してみたい。
 「基本計画」をみてもどのような病院になるのかさっぱり具体的なイメージがわかないのはどうしてだろう。私に想像力が乏しいからなのだろうか、それとも大事な情報や具体的な「基本思想」を欠いた構想だからなのか、私には後者に見える。
 私見であるが、「基本計画」書に「病院運営基本思想」は絶対的記載事項である。こういう病院運営基本思想を実現するためにこれこれの病院設備、面積が必要だという説明が欲しい。老人用の療養病床すら検討していない「基本計画」はなんのための病院なのかという視点すらない。根室市は市民に新病院でどのような医療サービスを提供しようとしているのだろうか?
 この計画書をみて、提供される具体的な医療サービス・イメージをもてる人が市議会の特別委メンバーや病院整備市民委員会メンバーにいるのだろうか?おそらく一人もいないだろう。もてたと考える人がいたら錯覚だろう。以下に具体的な疑問点と提案を7つ挙げる。

【疑問1と提案と一市民からの苦情】
 既存建物の延床面積は資料の中に10,901㎡とあるが、記事中の建て替え建物の延べ面積は13,200㎡と書かれている。病床数が25%減るのに面積が21.1%も広くなるのはなぜだろう?病床数は現状199が150に計画されている。比例計算すると8,216㎡で十分ではないのか?広くする理由と実際の病棟面積、外来診療面積、待合室面積、機器ごとの医療機器室面積、リハビリ室面積等々再分化した面積比較表を明らかにされたい。
 根室市が招聘して、50人の幹部職員を集めて意見を聞いた長隆氏は100床で10億円あれば病院建物の建設は可能だと言明したはずだが、その意見をどう受け止め、基本計画に反映したのかについても明らかにして欲しい。聞きっぱなしでまったく異なる「基本計画」を公表したことはたいへん非礼な行いで、根室市民として私は恥ずかしい。何のために彼を選び意見を聞いたのだろうか。病院建て替えのために専門家の意見を聞いたのではなかったのか。公表前に彼に事情説明に行ったのだろうか?10年ほど前にも意見を伺ったそうだから2度目だ。私が彼なら、非礼な根室市の関係者とは会いたくない。専門家の意見を採り入れるつもりがないのだから時間の無駄である。
 病院の広さは市民の合意が必要だ。これでは白紙委任状をよこせと言っているようなもの。橋下大阪府知事が「ぼったくり請求書」発言をしたが、明細のないこれらの建築予算も同じことだろう。「基本計画」でこれらの明細を明らかにすべきだ。最小の予算で最良の病院を建てるという発想をもとう。
 
【疑問2と20億円の建築費カット提案】
 記事中の資料で計算すると建築坪単価は99.4万円である。85万円になっていたはずだがなぜ建築単価が上がったのか?外断熱仕様でも坪単価80万円あれば十分建築できる。ある病院の建築仕様資料を7年前に当時の部長と室長へ渡してある。超一流のゼネコンの施行で坪単価65万円である。
 1,2を勘案すると建築費は39億円から19.9億円に下がる。これだけで20億円も節約できる。プロジェクトチームには低コストで立派な病院を建てようという意識がなかったのだろうか#592「病院建築仕様の前提条件」を読んでもらいたい。誰が読んでもわかるように書いたつもりだ。国からたかだか11.5億円の耐震化臨時特例交付金をもらうために拙速に動く必要はないことがわかる。

【疑問3と提案と叱責】
 職員のアンケート資料の中に「高齢者のための長期療養病床の整備」がトップに上がっているのに、病棟計画に療養型病棟の検討がまったくない。いったい、根室市は療養病床をどうするつもりか。老人人口割合はすでに25%、7700人を超えた。今後急速な高齢化が進みことが人口構成上明確なのに、根室市内に長期療養病棟がない現状をどう解決するのか見解を示すべきである。「基本計画」は老人医療の切捨てになってしまっている。ほんとうに院内のプロジェクトチームが「基本計画」を作ったのか? 医療人としての常識を疑わざるをえない内容だ。
 この「基本計画」をつくった責任者は療養型病床の検討を基本構想から脱落させるという大失態を演じた。院内職員へのアンケートでもトップに上がったトピックである。言い訳を聞きたいものだ。センスが悪いのか仕事の段取りが悪いのかいずれか判然としないが、今後の検討から「基本構想」をまとめたプロジェクト責任者を外すべきだと思う。職務権限は責任を伴うことを肝に銘じて仕事してもらいたい。

【疑問4と提案と周辺問題】
 積み上げ方式への疑問。ニーズを拾い上げて積み上げるから、際限なく建築面積は増えてしまう。建築予算20億円を前提に面積の切込みをすべきだ。トップダウンで仕様の優先順位付けを行い、検討結果を公開すべきだ。
 たとえば、病院内の保育設備はほんとうに必要かどうかもう一度検討すべきだ。病院職員だけでなく一般市民の幼児を受け入れるかどうかについても議論があるだろう。運営については民間委託ということも考えられる。いくつか議論の余地があるだろう。市内の公立保育所の統廃合と関連付けて検討してもらいたい。

【疑問5と長期体質改善の提案】
 「基本計画」は「オール根室」を言うのみで、長期的な医師確保の視点がない。対症療法をいつまで続けるつもりだろう。
 地元出身の医師を増やすことが長期的な医師確保に有効だ。市条例を作り、たとえば医学部進学者に50歳までに8年間の就業義務をつけた学費全額補助制度を創設することも検討課題に入れるべきではないのか。

【疑問6と9億円のコストダウン提案】
 医療機器と医療システムへの整備費が19億円。これは以前に業者へ委託してつくった資料の引き写しではないのか。仕事がイージーすぎる。前にも言ったが、医療機器は値引き交渉して定価の50%~60%で買うのが通常のユーザーだ。ほとんど定価ではないのか?
 それから、以前の資料では5億円がシステム整備費だった。これは売上25億円規模の病院としては法外なシステム投資である。額を決める前に、「システム要件書」「概略仕様」「実務デザイン」を院内のプロジェクトチームで詰めるべきだ。抽象的で役に立たない「基本計画」など作る暇があったら、やるべき仕事をしろと言いたい。予算を決めてからシステム仕様を固めるのでは順序が逆だろう。順序が逆になると開発費は数倍に膨らむ。基本仕様変更が起きるからだ。統合システム開発経験のない者にはわかるまい。誰もいなければ私のところに聞きにくればいい。
 ハード5000万円、ソフト1億円程度の予算で再検討すべきだとだけ言っておく。

【疑問7と特別委・市民委員会廃止&市民による市政チェック提案】
 病院整備市民委員会にも市議会の特別委員会にも、きちんとした専門知識のあるメンバーがいるのだろうか。たとえば、システム開発経験者はいるのか?医療機器の購入交渉経験者はいるのか?ゼネコンと建築仕様の検討や建築単価交渉をしたことのあるものがいるのか?
 専門知識や経験のあるメンバーがいなければただの「体制翼賛」組織あるいは「追認機関」に過ぎない。たとえて言うと、基礎的専門知識すらもたずに何年にもわたって専務理事の横領を見逃した漁船保険組合の監査役のようなものだ。そのような組織では実質的なチェックができないだろうから、データをホームページ上ですべて公開してほしい。具体的なチェックは専門知識や経験を有する市民がする
 少なくとも、以前の市のニホロ移転構想案に賛成した市議会特別委メンバーや病院整備市民委員会のメンバーは今回の検討から外すべきだ。場所についても内容についても、新病院に対する見識を欠き、その上具体的な検討能力もないことが証明されてしまっている。以前の80億円を越える概算予算はこれらの組織がゴーサインを出したものであることを忘れてはならない。今回の市民運動グループのアンケート調査結果を見ても市議会の特別委はメンバーを入れ替えても大同小異だろうから、再びこれらの組織に検討させる意味はないとわたしは思う。 

 仕事は真面目に誠実に、そして渾身の力でやり遂げよう。

*【関連過去ブログ記事】
 2009年5月27日#592「市立根室
病院建築仕様の前提条件」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-05-27

 2008年2月18日#094「市立根室病院改築」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-02-18

 2009年6月21日#619「定数削減と市立病院問題について(J&K対話)-(3)」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-21

 2009年6月26日#625「立替必要なし33%、なぜ? 市立根室病院建て替えアンケート・ショック」 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-26 

 2008年3月23日#147「2018年の根室の人口」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-03-23

**「基本計画」の中で使われている人口推計によれば根室管内は2022年までに10%しか人口が減少していない。これは根室市の人口減少実態とまったく合わない。1年間に300人しか減らないことになるが、現実は人口減少が昨年から年400⇒500人に加速化してきている。これは北海道新聞が「人口減少の加速化」と題して記事に採り上げた。だいたい、根室市立病院の規模を決める資料に根室市ではなく根室管内の人口推計値を使うことが間違いの元だ。2008年3月23日のブログ#147「2018年の根室の人口」を見て欲しい。過去の減少データと推計値を載せている。それと比較すれば非現実的な推計であることがわかるだろう。過去10年間の人口減少平均値は年間447人である。若者が地元に就職できない状況が改善されない限り、人口の縮小は続く。「基本計画」17ページにある出生数データにも現れている。平成16年271人が平成20年には218人へと傾向的に減少している。花咲小・北斗小・成央小に1学年50人の時代があと6年で来るのである。現在すでに60~70人にまで減ってしまっている(団塊の世代が小学生のときに花咲小学校は1学年360人だった)。根室支庁が統廃合されて振興局になろうがなるまいが、人口減少は止まらないどころか、昨年から加速化している。外部に原因を求めても無駄だ。戦後65年の根室の町の衰退の真因は内部にこそあるのだ。市民運動グループが市議定数削減アンケートでその一端を明らかにしつつある。
 7ページにある百床当たりの全国平均値との医師数や看護師数は199ベッドで計算した数字だが、実際は50床が休床になっていて、149ベッドだから、医師数は全国平均値より若干少ないだけ、看護師数は全国平均値を20%上回るという結果になる。事務職員も同様の結果になる。休床を除いて実際に稼動している病床数で計算するのが筋だろう。
 いろいろと、データの取り扱いに問題のある「基本計画」と私は思う。暇があれば、分析し結果をブログに載せてみたいが、重箱の隅をつつくようなことにならぬよう気をつけたい。

 2009年7月2日 ebisu-blog#634
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