市立根室病院建築仕様の前提条件 [32. 市立根室病院建て替え]
市立根室病院建築仕様の前提条件
7年前に80~90億円(坪単価135万円、システム投資5億円)の建替え案がつくられた市立根室病院について、新たな建築仕様検討の前提条件を7項目並べてみる。
①建築坪単価:75万円
②建築面積:2600坪
③断熱仕様:外断熱
④院内情報システム:ソフト1億円以下、パソコンサーバーによるネットワークでハードは5000万円以下
⑤療養型病棟:当初50床(順次100床まで増床できるように配慮)
⑥病室は4人部屋を基本とし、病室ごとにトイレをつける。
⑦入院病棟規模:一般病棟100床、療養病棟50床
低価格で維持費が安く居住性のよい病棟、外来診療機能を実現する。
そのために予算内に収まるように、仕様を整理する。
積み上げ方式だと際限なくコストは膨らむので、逆に予算を決めてしまう。
引越しも含めて総予算25億円以内でどの程度の病院ができるのか具体案を検討する。何ができて何ができないのかを明らかにして、市民へ理解と納得ずくで建築仕様固めをしていくことが望ましい。
市立根室病院は建物も古いが、実務や仕事の仕組みも古い。そこでもうひとつ言いたいことがある。3月以前の釧路医師会病院と比較して、市立根室病院がなすべきことを書いておきたい。なすべきこと、それは業務改善である。事務部門や外来診療は機能を強化しつつ、業務デザインを変えることで人数を3割程度減らすことが可能だろう。「顧客満足度」のアップと人員削減が同時にできるはずだ。ポイントは二つ。
(1)カルテ管理も含めて事務管理デザインを見直すべき。人数が多く感じる。
(2)外来診療部分の医療スタッフは合理的範囲で削減可能だ。いくつかの診療科はまとめて受付を設けてもいいのではないだろうか。これも元の釧路医師会病院が参考になる。救急外来以外は夜勤がないからパート勤務も半数程度までは入れたらいい。こどもが学校に入学すると常勤がきつくて辞める看護師さんも少なからずいると聞く。
これらを成し遂げるためには、事務管理責任者が病院業務に精通しているか、業務改革の経験者あるいは業務改革のプロジェクトリーダだった者が望ましい。病院の事務管理責任者は病院経営改善のキーマンの一人である。病院業務の経験のない者が数年事務管理責任者をやっても病院業務はほとんど改善できないだろう。今後は経営改善のために、いくつかの院内実務を3年程度経験させて次の病院事務管理責任者を育てるべきだ。
釧路医師会病院は消化器と循環器の専門病院から整形外科へと4月から方向転換した。事務責任者あるいはそれに相当する人に有償で1年間協力願えば、大幅な業務改善ができるだろう。元の釧路医師会病院はCSひとつをとっても、じつに配慮の行き届いた病院であった。看護師さんたちの患者への応接の仕方、ことばの使い方、院内清掃の徹底など、院長の経営姿勢の表れだったのだろうか。病院経営上、学ぶべきことが多い。
*パートタイマーを増やすことで、地元の雇用機会を増やし赤字縮小を同時に実現できる。正規雇用の職員は自分の業務をこなすだけでなく、担当業務を自ら見直し改善する主役、つまりプロに徹することが要求される。そのほうが仕事が楽しいだろう。今までどおり、前例踏襲でやるよりは、自分で自分の業務を見直し改善していくほうが仕事は格段に楽しくなる。
業務を見直し、新たな業務デザインをすれば、仕事の精度を上げつつ、仕事量を30%はカットできる。
2009年5月27日 ebisu-blog#592
総閲覧数:108,786 /547 days(5月27日11時15分)
出張先で病院にかかることになり,
紹介されたのが順天堂大学附属医院でした。
ここで診察を受けたのですが北海道の医療サービスとのあまりにも大きな差に愕然としました。
まったくホテルで過ごすようなひと時でした。
おっしゃるとおりのCSという重箱は,隅々まで人の手が行き届いています。
人の手が届かないところは機械によって補われており,
ソフト全体でハードと呼べるような完全なシステムに驚きます。
「病院」ではなく,「医院」という呼び方をしているのは
ポリシーがあるのだとか。
名前遊びだけの浅はかな考え方ではないことが,
身をもって実感できます。
by クラブナビ (2009-05-27 15:32)
順天堂医院は御茶ノ水駅から見えますね。病院経営はCustomer Satisfactionを無視できない時代になりました。
「診てやる」から「診させていただく」
5S(整理、整頓、清掃、清潔および躾)運動もCSの一環でしょう。いい病院にしようと思ったらやるべきです。いい病院はそこで働く人々が創るものでもあるのではないでしょうか。
ところで北海道新聞に4回連載で病院建替え問題が特集されました。最後の4回目は5月16日に載りました。青森西北五地域医療を守る住民の会事務局次長の金川佳弘さんが次ぎのように書いています。
「根室は医師不足のため患者の三分の一が流出しています。住民のニーズのこたえる病院に変われば、患者は増えます。」
「必要なのは、50年先のまちづくりを考えた徹底した市民の議論です。そのためにも市はモット情報を提供すべきです。この手順を踏まず着工はありえません。」
あいかわらず市民への情報提供が少ない、あるいはほとんどないと感じます。市のホームページで検討経過を公開するだけでもずいぶん違うと思うのですが…
ぜひそうして欲しいものです。
by ebisu (2009-05-27 23:52)
根室市のホームページはイメージが良く,デザインも良いと感じます。しかし,その市制はどうなのか,疑問に及びます。
議員は何のため?
紛れも無い,そのような疑問など,容易い答が導きます。
自分のためです。
いや,それならまだ良いのですが,自分のため「だけ」ではないでしょうか。
かつては市民の泣き声が聞こえていた。
泣き声はうめき声になった。
そのうち,声すら発せ無くなったのではないか。
声は息吹になるはずだ。
出でよ民よ!
息吹く声を,今ここに。
明日炊き上がるゴハンよりも,明後日に焼きあがる魚や肉を食らおうではないか。
by クラブナビ (2009-05-28 00:29)