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4月の学力テストの結果(2校)、400点以上はたったの3人、5年前の6%に減少 [57. 塾長の教育論]

4月の学力テストの結果(2校)、
 400点以上はたったの3人、5年前の6%に減少


 5月になった。学校は連休である。生徒が友人の釧路の生徒を連れてきた。釧路の中学校は根室よりも授業速度が速いようだ。一緒に数学の問題を黒板を使って解いて勉強していった。ラッコのクーちゃんを何度も見ているらしい。珠算を習っていたことがあるが4級をとったところで塾がなくなったと残念がっていた。計算の速い快活な中学生だ。

 さて、4月に実施された市内の中学校2年生の学力テストの結果については1校のみ400点(500点満点)以上の生徒がいないとブログに書いたが、もう1校のデータが公表されたので追加する。3人である。
 今春、根室高校から国公立大学へ20人が合格した。近年まれに見る数であるが、旧帝大へは北大と東北大へ各1名、あとは地方の国立大や小樽商大、釧路公立大学、札幌市立大学などであった。彼ら・彼女たちが中2のとき(5年前)は2校で50人以上も400点超の生徒がいた。それがたった3人に減少してしまった。5年前の10%に満たない
 いったいこの劣化はなぜだ、学校現場や家庭で何が起きているのか?学校が荒れているのは現実だ。授業中に先生の声が聞こえない教室が増えている。平均点が下がるのは当たり前と思われる状況が広がっている。現場を知りたければ生徒に聞くのが一番だろう。このブログを読んでいるあなたが中学生の親なら子供に聞いてみるがいい。子供の躾けはたいへんな仕事だ。とくに思春期になってしまったら親の言うことなど聞くものではないのが普通かもしれない。小学校低学年かそれ以前に親の言うことはしっかり聞くものだと躾けなければ子供なかなかはまともに育たない。お説教するときには畳に正座してするぐらいのことがなければならないが、今や新築の家には畳の部屋がないのが普通だ。これでは躾などできるはずがない。家を建てるときにはかならず畳の部屋を造れ。
 だが、荒れている原因は表面に見えているだけではない。家庭のしつけにもある。親の言うことすら聞かない子供たちが三分の一を超えたのではないだろうか。糖分の多い食生活は切れやすくなると言うし、環境ホルモンも思春期にその影響が大きくなると言われている、・・・さまざまな原因があるようだ。ゲームソフトも子供たちを取り込んでしまう優れものが増えている。総じて子供たちを取り巻く環境が悪化している。それは子供たちが接する大人たちの劣化をも意味しているのかもしれない。つまり私たちだ。

 中学生の人数は5年前に比べて学年で30%ほど減少した。人口減少がこの5年間で約10%であることを考えると、中学生人口の減少率は3倍もある。人口減少それ自体も問題だが、もっと問題なのは学力低下である

 根室でなぜこのような急激な学力低下が起きているのだろうか全国一斉の学力テストのときに家庭学習についてのアンケートもとっている。テストデータと共に公表すべきだろう
 ブタインフルエンザのパンディミックが迫っている。現下のフェーズは5であり、最終フェーズは6である。新型の強毒性ウィルスによるインフルエンザは情報を隠したら大変なことになる。学力低下も同じことではないのか。

 根室の子供たちの学力がこの5年間で著しく低下している。それは今回行われた4月の学力テストデータで明らかだ。5年前に2校で50人いた400点以上が、たったの3人に減ってしまった。学力テストで成績上位のものがすでに6%しか存在しない。これほど急激な学力低下をきたしている地域は全国でも珍しいのではないだろうか。

 行政や教育関係者は5年後の大学進学率とその内容を危惧すべきだ。根室に高卒者の就職先が少ないので、子供たちのほとんどは札幌や東京などへ出ざるを得ない。そのときに学力や学歴なしに戦わざるをえない者たちが急増する。都会は大卒でなければ入社試験すら受けられない会社が多い

 社会階層の固定化がマスコミで取り上げられることが多いが、親の年収が高い階層は子供の学歴も高くなる傾向がある。東大進学者の親の平均年収は数年前に1000万円を超えた。小学校から個別指導の進学塾に通い、年額50~100万円前後の教育投資を9年間続けなければ東大進学が困難な時代だ。私学の中高一貫校に通わせるとさらに年額100万円を超える授業料がかかる。
 根室に限らずどこに地域にも潜在的に学力の高い子供たちが一定数いる。普通の能力の子供たちは教育の手間隙を惜しまなければ学力はかなりのところまで努力次第で上がる。あきらめさせてはいけない、あきらめてはいけない、それが親や大人たちの役割だ
 一つ身近な例を挙げると、根室高校の中の上ぐらいの成績だったら就職できた地元信金すら、今春の男子新入社員は全員が大卒だと北海道新聞の地域蘭に載っていた。本店を新しくする余裕があったら、三分の一は根室高校から優秀な者を採用しろと言いたい。根室高校の諸先輩たちが発展の礎を築いたのではないか。

 昨年の全国一斉学力テストの結果では北海道は47都道府県中44位、北海道内の14管内で根室は最下位である

 原因はいくつかある。対応方法も原因ごとに具体策がいくつも考えられる。ブログでもすでに何度か書いた。
 事態が進展しないところを見ると、市教委や学校や家庭だけで対応できる問題ではないだろう。大阪府下の各市のようにデータを公表すべきだ。
 根室の子供たちのために大人たちは学力低下の原因を明らかにし、すみやかに具体策を練り、実施すべきだ。 


*現場の先生の努力一つで平均点に20点差がつく:
   …嘘のような本当の話

 市内4校の学力テスト英語の学校別・学年別・平均点を比べると、50点台前半と70点台と20点の開きがある。郡部の1校の点数が高い。教え方が違う。新任の先生が『英語の素振り』と称して、260余の文例のプリントをつくり、書き取りを宿題に課していた。その一方で教科書の進み具合が遅くなってしまってはいる。欠点もあるが、効果はあった、こういうやり方もいいだろう。
 他の学校だが、ある先生が教えたことを定着させるために、普段の授業で小テストを繰り返している。そのお陰で学力テストの理科の平均点がいつも20点ほど高く出る。
 学校も科目も異なるたった2例だが、現場の教師のやる気と工夫次第で平均点は1科目20点は上げられる。5科目全部、こうした先生が担当したら全国学力テストで根室が全道トップになるだろう。

 2009年5月3日 ebisu-blog#568
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コメント 2

Hirosuke

昼間から飲んでいます。

根室に限ったことではありません。
僕の住む地域でも同じことです。

ブタ・インフル…困ったものです。

研究者の中にも騒いでいた人がいるに違いありません。
「鳥ばかり騒いで!牛、豚、羊…ドレも有り得る!!」

by Hirosuke (2009-05-03 14:28) 

ebisu

乾杯!
Hirosukeさん、
こっちものんでいます。

濁り酒です。
お気に入りにぐい飲みで、
たった2杯で、
まっかっか
あるはずのない想像上の胃袋をコンマ?秒で通過して
すぐに小腸で吸収が始まる、
そしてあっというまに酔う。
いい気分だ

さて、拠った勢いで『国家の品格』から藤原正彦の英語教育論を紹介しよう。
前に書いたフィールズ賞数学者の小平邦彦よりも、言い方がきつい。
オブラートに包むことすらしない。
たぶん正直なのだろう。
by ebisu (2009-05-03 19:53) 

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