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オバマ大統領就任演説を読む(5) [4, 5] [オバマ大統領就任演説を読む]

オバマ大統領就任演説を読む(5) [4, 5]

 前回と同じ段落を北海道新聞の訳をつけておく。道新のほうが読売新聞よりもしっかりしているように私には見える。道産子の身びいきかもしれない。

(4) That we are in the midst of crisis is now well understood. Our nation is at war, against a far-reaching network of violence and hatred. Our economy is badly weakened, a consequence of greed and irresponsibility on the part of some, but also our collective failure to make hard choices and prepare the nation for a new age. Homes have been lost; jobs shed; businesses shuttered. Our health care is too costly; our schools fail too many; and each day brings further evidence that the ways we use energy strengthen our adversaries and threaten our planet.

〈北海道新聞訳〉
(4) われわれはいま危機の真っ只中にある。われわれの国は、果てしなく続く暴力と憎しみのネットワークと戦争状態にある。一部の強欲下無責任な人々のせいだけでなく、皆が困難な道を選び次の世代に備えることができなかった結果、経済はひどく脆弱になってしまった。家を失い、仕事は減り、商売は行き詰った。医療費は高すぎ、学校制度は明らかに失敗している。われわれのエネルギーの使い方が、を強化し、地球を動かしているということが日々明らかになるばかりだ。
〈読売新聞訳〉
(4) 我々が危機の最中にいることは、現在では明白だ。我々の国家は、暴力と憎悪の広範なネットワークを相手に戦争を行っている。我々の経済は、ひどく弱体化している。一部の者の強欲と無責任の結果であるだけでなく、厳しい決断をすることなく、国家を新しい時代に適合させそこなった我々全員の失敗の結果である。家は失われ、職はなくなり、ビジネスは台無しになった。我々の健康保険制度は金がかかり過ぎる。荒廃している我々の学校はあまりにも多い。さらに、我々のエネルギーの消費のしかたが、我々の敵を強化し、我々の惑星を脅かしているという証拠が、日増しに増え続けている。

health careは「医療費」、our schoolsは「学校教育」、our planetを「この地球」と私は訳したいので、読売訳よりも道新訳のほうが好みにあっている。
 our adversariesは具体的には「ロシアとイスラム教国」だろう。キリスト教原理主義の国の敵といえばそうなる。当たり前と言えば当たり前だが、ストレートな言い方を避けた。


(5) These are the indicators of crisis, subject to data and statistics. Less measurable but no less profound is a sapping of confidence across our land - a nagging fear that America's decline is inevitable, and that the next generation must lower its sights.


〈北海道新聞訳〉
 これらはデータや統計で示すことができる危機の指標だ。測ることはできないが、同様に深刻なのは、自信喪失が全土に広がっており、米国の衰退は避けられず、次の世代は下を向いて生きなくてはならないという恐怖だ。
〈読売新聞訳〉
 これらは、データと統計に基づく危機の指標だ。予測は困難だが、間違いなく深刻なのは、我々の国土に広がる自信の喪失や、米国の凋落(ちょうらく)は避けがたく、次の世代はうなだれて過ごさなければならないというぬぐいがたい恐怖だ。
〈朝日新聞訳〉
 これらは、データと統計で示される、危機の指標だ。測定はより困難だが同様に深刻なのは、米全土に広がる自信の喪失だ。それは、米国の衰退が不可避で、次の世代は目標を下げなければいけないという、つきまとう恐怖だ。

the next generation must lower its sightsを道新は「次の世代は下を向いて生きなくてはならない」と訳出した。これは読売と類似の解釈だ。朝日訳を見てもどれがいいと言うことはない。
 文脈から判断すると、「次の世代は生活レベルを下げざるを得ない、そうした光景を目の当たりにすることになる、それが振り払っても振り払ってもぬぐいえない(もはや確信に近い)恐怖の正体である」。そうした意味がコンパクトな日本語で表現されればよい。しかし、コンパクトな、切れる日本語で表現しえた新聞社はないようだ。もちろん前回ブログに書いた私の訳も冗長の謗りはまぬがれない。 
 やれやれ・・・

 2009年2月9日 ebisu-blog#530
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