#094 市立根室病院改築（道新記事） 2,008年2月18日

2,008年2月18日　　　ebisu-blog#094
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　2月18日北海道新聞夕刊根室地域版より。（無断転載御免）

市立根室病院改築

「０９年度以降早い時期に」

市長　常勤医15人体制に意欲

【根室】長谷川俊輔市長と語る市民の集いが15日夜、根室商工会館で開かれた。長谷川市長は先送りしている市立根室病院の新病院建設について「4月までに常勤医師15人体制を作り、経営安定化を図って、2009年度以降の早い時期に病院改築に取り組みたい」と意欲を見せた。（仁科裕章）

　長谷川市長の支持者でつくる実行委員会の主催で、400人が出席した。長谷川市長は新年度の医師確保の状況について「現在でも行き先が決まらない医師がかなりいる。2月中、場合によっては3月末までずれ込む」と見通しを示した。新年度予算案で一般会計から病院事業会計への繰入を増やし、不良債務解消に「公立病院特例債」を充てることを説明し、「08年度で借金のない状態にし、病院を改築できる体制をつくる」と述べた。

《コメント》
　「常勤医15人体制」が具体的根拠のある発言であるかどうかは4月にならばわかる。道内の大学病院（北大、旭川医大、札幌医大）は臨床研修医が不足していて、本人の診療にも支障が出ているようだ。したがって、新規派遣に応ずる余裕はない。北大は臨床研修医が45人不足、札幌医大は44人、旭川医大は56人の定員のところ16人しか充足していない。どのような状況なのかについては以下のブログに詳しい。
http://consultanthokkaido.web.fc2.com/KensyuuiDoukou.html

アンダーライン部の主語は何か？他の病院の医師だと思うが、行き先の決まっていない医師が全国に何百人いようと、根室に来る医師がその中にいるかどうかが問題である。交渉が進んでいる案件があるのならそれを語るべきだろう。何一つ具体的なことを語らない市長は、病院経営の最高責任者の自覚がない、まるで傍観者の発言に聞こえる。
　わたしの知る限りでは、地域医療協議会から産科医が一人4月に赴任してくることだけだ。産科学会から診療体制については常勤2名が推奨されている。一人でどこまでやれるか、それを確認するために4月から試験的に診療がはじまる。病院改革へのビジョンも具体的な達成方法も語れない市長に赴任してくる医師が失望しないことを祈りたい。

　病院新築の病床数と診療科目については、10年後の人口25000人を前提に、老人人口35％を踏まえて今一度内容を再検討すべきだろう。199ベッドは町の財政規模からいって維持できない。中身を棚上げにして、建築を急いでもしようがないのではないだろうか。本当に新築する意志があるのならば、療養病床を何ベッド確保するのか、一般病床を何ベッド確保するのかをまず検討し、市民に説明すべきだろう。
　私の目には病院新築ができるような状況には思えない。市長に就任してから1年半たつが、医師確保を声高に叫ぶのみで、病院の経営改善についてはひとつも具体的な政策を語ったことがないではないか。よく記事を読んで欲しい、支持者を前にしてすら、何一つ具体的なことを語っていない。

　長谷川市長は常勤医4人増員について根拠のある話をしているのだろうか？それとも常勤医15人体制を実現して経営安定化を図りたいとの希望を述べただけなのだろうか？たとえ、常勤医が年度当初から15人確保できたとしても赤字幅は9億円前後になる。2月12日の財政課への取材では、市側は6億円しか繰出金を手当てできないと聞いた。長谷川市長はこういう具体的な話をすべきだ。

　具体的な常勤医増員が示されない限りは、平成19年度並みの常勤医11人で計算するのが当然だろう。新年度の赤字予測額は12.5億円（blog#092参照）である。とても一般会計から繰入金を増額してカバーできる金額ではない。それに返済が必要な「一時借入金」が6億円残っている。特例債を発行しても、「一時借入金」の返済でなくなる。財源は6億円以上足りない。財源についてもきちんと具体的な話をすべきだろう。一時借入金の話しや平成19年度の赤字額12.5億円の処理についても新聞記事を読む限り具体的な話がなかったようだ。

　常勤医が11人確保できるかどうかについては確認できているのだろうか？そういう具体的な情報こそ、市民が安心するために必要な情報である。「どの診療科のどの医師が平成20年度も引き続き診療に携わるのか」、「どの診療科の常勤医が増員になる見込みなのか」について、具体的な情報がほしい。
　新聞記事を読む限り、長谷川市長は具体的なことは何一つ語っていない。市長就任1年半を経たいまも、ビジョンとその達成手段を具体的に語る政治家へ成長の兆しが見えない。
　市長就任後１年半になる。平成20年度予算でも具体的な政策が示されなければ、長谷川市長の政策立案及び実行能力を疑わざるを得なくなるだろう。

memo: February 18, 2008. (4571, 84 days, 51/day)

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　#1539 ランニングコストの低減と病院経営 ：父よ許したまえ、彼らは・・・ Jun. 3, 2011　
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　#1143 市立病院建て替え：建築費10億円カットの方法 Aug. 3, 2010　
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　http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-23

　将来、療養病床設置も　＃834 Dec.18, 2009　
　http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-18

　「市立病院建て替え　基本計画の課題続々」
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　 7月25日blog#667『市立根室病院4～6月営業収益予実差異9660万円』
　http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-25

　7月2日blog#634『病院建て替え基本計画案への7つの疑問』
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　2009年6月21日#619「定数削減と市立病院問題について（J&K対話）-(3)」
　　http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-21

　2009年6月26日#625「建て替え必要なし33%、なぜ？　市立根室病院建て替えアンケート・ショック」　
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　2009年5月27日#592「市立根室病院建築仕様の前提条件」
　　http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-05-27

　2008年2月18日#094「市立根室病院改築」
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　2008年3月23日#147「2018年の根室の人口」
　　http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-03-23