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日本語の運用能力アップが成績向上の鍵 [B2. トピックス]

私塾塾を開設した目的は、
  首都圏と根室の格差を縮められないだろうか?
  部分的に首都圏を凌ぐ環境を根室で作り出せないだろうか
  根室の生徒たちの潜在的な能力を爆発的に開花させられないだろうか

 5年前にそのような問題意識をベースに、後先を考えずに、ふる里へ戻って塾を開設してしまいました。
そして毎年少しずつ新たな授業をメニューに加えています

 いままでに根室にないが、この町に必要と考えられる授業メニューを可能な限り提供したいと思っています。
個人でできることは極めて限定されていますが、地方がいたるところで衰微して中央だけが栄えるという時代の流れにあえて棹差したい

 根室には専門学校がない、だからニムオロ塾では今年四月から簿記の授業を設けました。意欲のある生徒たちが、専門学校レベルか、それ以上の水準の学習ができるようにと願ってスタートさせました。そして最初の実験が中学生の日商簿記3級への挑戦でした。一人道を切り開くものが出れば、それに続くものが多数出ることがしばしばあります。五十年ほど前に一人珠算の5段が高橋珠算塾で始めて出ました。そのあと5人くらいこれに続いたことがありました。その後、根室の珠算は全道トップレベルにまでなったことがあります。根室の珠算のレベルを上げることは男子一生の仕事」と言い切っていた高橋先生の凛々しい若い頃の姿が思い出されます。
 
 
 ところで、高校に入ってから簿記の学習をはじめたのでは日商1級合格は限りなく遠い目標になってしまいます。中学3年生で合格できれば高校生のうちに日商簿記一級が合格可能です。(簿記は中世には特殊数学の一分野でした。だから、どちらかというと理数系の科目です)

 日商簿記一級は北大現役合格よりも難易度が高いとわたしは思います。この資格があれば自分の好きな大手企業に履歴書を送っておけば、根室にいても就職先を決めるのはそう難しくありません。たいていの大手企業が、空きができれば優先的に採用してくれるでしょう。それぐらい社会的に評価の高い資格試験です。大学進学でも明治大学商学部をはじめとして、日商簿記合格者には別枠の入試を設けている大学がいくつかあります。大学進学上も有利な資格取得となっています。

 日商簿記一級では仕訳や損益計算書、貸借対照表などの計算を主体にした問題に加えて、論述式の問題が出題されます。科目は、商業簿記会計学工業簿記原価計算の4つで構成されています。それぞれ専門書をしっかり読み、そのうえで問題を解いて、理論体系を理解しなければなりません。

 理論体系を理解して、解答を書くのに高度な作文能力が要求されます解答欄の範囲内で過不足なく論述を完成させることは、通常レベルの高校生には無理な作業です。そのようなトレーニングが組み込まれた科目は高校には一つもありません。言い換えると、大学受験レベルの勉強ではとうてい合格ラインに届きません
 それぞれの科目の専門書を読みこなす読解力と、論述力が要求されます。こうした基礎的な力は中学生のうちから戦略的に開発する必要があります。高校生は哲学の本を数冊読み通せば読解力が飛躍的に向上します。
 基礎的文章力を開発するために当塾では英語の授業時間を20分延長して、中学生に、年生は『読書力』(斉藤孝、岩波新書)、2年生は『国家の品格』(藤原正彦、新潮新書)、3年生は『風姿花伝』(世阿弥著、林望解説)の音読及び「三色ボールペンによる要旨のマーキング」を実施しています。このトレーニングは要旨をまとめる力を涵養するのに有効です

 来年は小学生に日本語文法力と読解力強化のために、少し変わった国語授業を予定しています。中学生に英文法を教えていて、日本語文法についての知識があまりにもないことに気がついたからです。そして数学の文章題の読解力や記述式問題の要約力が学校の国語教育では育成できないことに気がついたからです。諸外国と違って高校で哲学が必須科目になっていないことも読解力の飛躍的成長の妨げになっています。よい教材を見つけました。スタートさせる新学期が楽しみです

 なぜ、このような授業をするのかについては、もう一つ理由があります。わたしは上場企業3社で主として経営企画や経営管理、経理、統合システム開発などを担当し、経営改善を主な仕事としてきました。その中で気がついたことがあります。
 上場企業の役員の大半は文書能力が高いということです。当たり前のことですが、組織が大きくなると、文書で仕事が進みます。稟議書がその際たるものです。稟議書に説得力がなければ会社の経営改革はできません。文書能力がある程度以上でないと役員候補にノミネートされることはほとんどありません。ちなみに、わたしがサラリーマン時代に書いた文書を積み上げると、A4判で80センチほどの高さになります。仕事の量と文書の量は比例します。速く、大量に、わかりやすい文書を書く技術が要求されます
 文書能力は難い本をたくさん本を読むこととたくさん書くことでしか開発できませんわたしの書棚には専門書が三分の二を超えていると思いますが、3000冊以上の本が並んでいますもちろん、全部読んだわけではありません。手の届く範囲に蔵書のあることが大事です。

 古典の名著を文庫本で100冊並べておくだけでも、楽しいですよ。6万円程度で揃えられますので、試してみたらいかがです。置いてあれば子供はいつか自分の精神の成長に合わせて読み始めます。精神的成長期には「お腹が空きはじめる=難しい本が読みたくなる」のです。そうしたらしめたものです。自然に古典の名著を手にして読みふけることになります。

 それまでに漢字がたくさん読めるように旺文社の『大学入試 でる順 漢字書き取り・読み方』740円のような問題集を毎日1ページやらせて、日本語の語彙を豊かにしておきましょう。ルビを振った本が少ないので、読めて意味のわかる語彙数が少ないと、古典の名著を読むのに苦労します。レベルの高い本を読むにはそれなりの「準備運動=日本語の語彙を豊富にすること」が必要だということです。社会に出てから大きく活躍できるように、中学生や高校生のときにレベルの高い良質な本をたくさん読んで、先人のセンスのよい智慧を仕込んでおきましょう。ほらほら、そこの人、ゲームなんてしている暇はありませんよ。


 東京で業種の異なる上場企業で三十年近く働いて、さまざまなタイプの上司、同僚、新入社員を観察した結果の結論ですが、どの業種にも共通して言えることがあります。
 身につけた文書能力は一生の武器になります。中学生や高校生のときにどのように学ぶかで人生の大半が決まってしまうのです。中学・高校時代に習慣化した読書が社会人になってなくなることはないし、中学生や高校生のときにまったく難い本にチャレンジしなかった人が、社会人になって難い本にチャレンジするような生活習慣が身につくことも考え難い。そのような人がいたとしても、非常に例外的な存在でしょう。日本語の運用能力向上の効果は社会人になってからその効果が最大限に現れます。学校教育の場でテストの点数を上げるという矮小な話しではありません。

 このように中学生や高校生のときにどのように学ぶかで、一生の基本的なところが決まってしまうのが現実です。さて、根室にお住まいのご父母の皆様、自分の子供をどのように育てますか?

 次回は、英字新聞記事をテキストに使った長文読解力強化のための時事英語授業を紹介します。

     ニムオロ塾は面白いぞ! (~o~)


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